平成22年度後期人権教育啓発講演会「歴史における共存と共生—王朝京都の庶民階級—」開催

2010.12.08

 12月8日(水)、人権委員会が主催する平成22年度後期人権教育啓発講演会「歴史における共存と共生 —王朝京都の庶民階級—」が図書館ホールで開催され、本学文化学部 井上満郎 教授による講演が行われた。

 平安時代の京都について、王朝文学にみられる特権階級によって理想化された姿ではなく、当時にテレビカメラを持ち込んで撮影したような、庶民の目から見たありのままの京都の姿を伝えたいという井上教授の趣旨のもと、講演会では様々な史料をもとに当時の様子が読み解かれた。

 井上教授は、『今昔物語集』や『宇治拾遺物語』などにおさめられた話や『餓鬼草子』に描かれた絵、当時発布された法令などから、京に蔓延する死病や汚物などの「穢れ」と身近に接していた庶民の暮らしを解説。「これらの様子は『源氏物語』などの王朝文学には絶対に描かれないが、現代にも繋がる京都の町は庶民が作り上げたもの。京都は長い時代にわたって様々な変化が積み重ねられ、他の都市に比べても多様な側面を持っている。広い目線で京都の歴史・文化を考えることが人権文化を考える上でも重要」と述べ、約40人の参加者は熱心に聞き入った。
講演する井上満郎教授
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