起業家の先輩に聞く 社会を担う人材を目指してのアントレプレナーシップ

2023.06.13

全学共通教育科目「アントレプレナーシップ演習A」(※1)(担当教員:法学部 中谷 真憲 教授、経済学部 沈 政郁 教授)は起業に関心を持つ学生が、起業する上でのノウハウや重要な考え方を、外部講師の講演や、授業でのグループワークを通し、社会で活躍できる力を身に着けることを目的として開講しています。今回はGrowHub Japan株式会社代表取締役の中岡 大記 氏をゲストスピーカーとしてお招きして行われた授業を取材しました。

(学生ライター 法学部1年次 本多 亜呂羽)

(※1)アントレプレナーシップ :アントレプレナーとは、一般的に「新たに企業や事業を創り出す人」(起業家)のこと。アントレプレナーシップは起業家精神、自分で新たに事業を起こそうとする精神。
ゲストスピーカーの中岡大記氏の講義を真剣に聞く受講生
初めに、ゲストスピーカーの中岡大記氏が自身の学生時代や卒業後の経歴、起業に関する経緯などを紹介されました。中岡氏は本学法学部から飛び級制度を利用し、本学大学院 法学研究科法政策学専攻に進み博士号を取得されたのち、国内外研究機関やNPO法人での研究・実務経験を経て、現在はWeb3システムの開発や貿易事業を行うThe GrowHub Innovations Company  日本法人 代表取締役をされています。この会社は、シンガポールを拠点に、情報の可視化に特化したテクノロジーシステムを用いて、食品製造販売に取り組む事業者の手助けを行っています。「持続可能」や「環境」に配慮することが重視される現代社会において、その製造過程を含むサプライチェーンの中で情報の透明性を高めることで、消費者が安心して食を楽しめることを目的としています。
中岡氏は起業した理由として、公共性を民間から追求するために研究だけでなく実践的なこともしたかったこと、そして、シンガポールの投資家との出会いを挙げられました。


グループワークの様子
続いて受講生との質疑応答の時間が設けられ、「IT関係のことをどのように勉強したのか」、「ブロックチェーン(※2)に対する国の法規制はどのようなものなのか」、「今使っているシステムがハッキングされた時の対策は?」など、さまざまな質問が挙がりました。授業後半には「 日本と外国で輸出入する商材を探す」、「ブロックチェーン技術を用いてビジネスをするとどんなアイデアがあるか」をテーマにグループワークが行われました。ホワイトボードを用いることで意見が可視化され、活発な話し合いが行われました。ここで中谷教授から、与えられた課題に対し自分の意見を構築できるようになってほしいので、興味がある分野以外のことでも視野を広く持ち、グループワークで話し合う事が大切だというお話がありました。また中岡氏は、起業家に必要な資質として、「徹底的に関わる相手の立場に立って考えることができること」だと話されました。「相手に合わせることではなく、考えることができるように。仕事は一人で完結することはない」また、「自分の視点だけだと、独りよがりな事業になってしまうこともある。起業の世界は社会に需要があればビジネスが形成される世界である」と説明されました。最後に、「学生時代は夢を持ちましょう」と受講生に向けてメッセージを送られました。「自分が想像できないことを実現させることはできない。起業するにしても、就職するにしても、大きな夢に向かって努力する過程は自分の力になってくれる」と語られました。
(※2)ブロックチェーン:情報を記録するデータベースの一種で、ブロックと呼ばれる単位でデータを管理し、それをチェーンのように連結してデータを管理する技術。

受講生からの質問に回答する様子
取材を終えて、休憩時間もゲストの中岡氏や先生方に質問をしたり、真剣な眼差しで受講する受講生の積極性や意欲的な姿勢に驚きました。1年次生の私はそんな先輩方をただただ尊敬するばかりです。また、担当の先生方が受講生のことを考えて構成された魅力あふれる授業だと感じました。新たなことを社会に生み出していく中岡氏と先生方のお話を聞くことができ、私自身も「何かに挑戦したい」と考えられる良い経験となりました。
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