第4回 Monthly GSC「自分にしかできないこと」で築くキャリア

左から理学部 宇宙物理・気象学科 岸本真教授と理学部物理科学科 齊藤国靖准教授
Monthly GSCは、グローバル・サイエンス・コース(GSC)登録学生を対象に英語に関するテーマをコンテンツに教員や上級生(大学院生)を招いたセミナーやワークショップを毎月開催しています。

今回は2021年7月14日にオンラインで開催された第4回Monthly GSC を取材しました。
理学部物理科学科の齊藤 国靖 准教授が講師をされ「オランダ滞在期」と題し、企業やオランダなどで得た経験について話をされました。
(学生ライター 国際関係学部2年次 竹本逸美)
セミナーは先生の経歴に沿って、学部、大学院での研究や企業での経験からオランダ滞在の話、そして今の研究について話をされました。
京都大学理学部で物理学・宇宙物理を専攻され、卒業後は大学院に進み、その間過ごした京都にはたくさんの思い出があるとおっしゃっていました。在学中にはバレーボール部に所属され、学部時代は練習、大学院では研究に明け暮れた日々を過ごされました。学部の卒業研究では理想化された淡白な勉強とは真逆の自然にみられる「非一様な世界」に興味を持ち、非線形物理学の実験を行われました。
上高地の写真。波が立ったり、雲が流れたりと外に目を向けると非一様な世界が広がっていると気付かされました。
以下写真4点は齊藤国靖准教授提供
卒業研究でのB Z反応と呼ばれる化学反応。真ん中の円の中心から縞模様が溢れるように非一様に動いている。化学反応でありながらある種の振動子である。
修士を終えた齊斎藤先生はその後、当時ベンチャー企業であったDeNA(ディー・エヌ・エー)で2年間システムエンジニアとして活躍。競争の激しいIT業界のなかではさまざまな背景を持つ個性豊かで優秀な人々と働き、自分にしかできない事で活躍されている同僚や先輩後輩からは刺激を受けたと仰っていました。
DeNAを退社後、自分にしかできないことである研究の道へ進んだ齊藤先生は、博士過程でイギリスのレスター大学に短期留学をします。そこで行った共同研究がPRL誌(Physical Review Letters)に掲載され先生は博士号を取得、翌年にはオランダ屈指の工科大学であるトゥエンテ大学のポスドク研究員(博士研究員)に着任、家族でオランダに移ります。工学部に所属し多国籍な研究グループの中で粒子系の変形に伴う応力ネットワークの変化に関する研究を行いました。研究も生活も、苦労とやりがいを感じ過ごしたオランダ生活だったと振り返られました。
トゥエンテ大学、先生の所属されていた工学部は真ん中よりやや左下の高い建物
研究グループの写真、齊藤先生(1番左)は唯一のアジア人
帰国後は、東北大学で5年間教員として研究と教育に携わりオランダでのポスドク時代に築いた国際的な人脈を生かし、積極的に海外出張をされました。そして、2021年に本学に着任され、現在は授業を行いながら非平衡統計学の構築を最終目標に研究をされています。

セミナーの最後には、キャリア形成について自分にしかできないことを見つけること、キャリアの早い段階で思い切った判断をすることの重要性、日本人にない考え方、モノの見方、国際的な人脈、日本を客観視する力をつける海外経験の貴重さ、そして社会に出た際には目標としてやりたい事、実現したい事を常に意識して仕事をすることが大事だと締めくくられました。

「自分にしかできないことを見つける」というメッセージは研究や学問の世界のみならず、これからキャリア形成を考えていく私たち学生にとって必要な要素であり、齊藤先生のお話や経験を聞くことでその重要性を感じることができました。
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