2024(令和6)年能登半島地震・水害 第3回現地ボランティア 活動報告
2025.02.17

「2024(令和6)年能登半島地震・水害 第3回現地ボランティア」実施概要
日程 | 2024年11月8日(金)~10日(日) |
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活動場所 | 石川県輪島市・鳳珠郡能登町 |
宿泊先 | 浄土真宗大谷派奥能登ボランティアセンター |
活動内容 | 被災家屋の片付け |
参加者数 | 学生6人+引率スタッフ1人 |
活動内容
11月8日(金)
宿泊場所である浄土真宗大谷派奥能登ボランティアセンターに到着した後、能登半島地震の概要や本学のこれまでの取り組みを共有しました。
11月9日(土)
2日目は、輪島市門前町皆月(みなづき)地区で支援活動を行いました。輪島市門前町は地震での被災だけでなく、9月に発生した大雨でも甚大な被害を受けた地区です。途中、思わぬ通行止めや土砂崩れの被害を目の当たりにし、被害の大きさをうかがい知ることとなりました。
皆月地区では、災害支援団体SEEDS OF HOPEが活動の調整を行っておられ、またこの日はライオンズクラブも活動に入られていて、一緒に作業を行いました。お伺いした家では、すぐ横を流れる川が氾濫し、家の中に泥を含んだ水が入っていたため、床下の泥出しを行うニーズが上がっていました。すでに床がはがされ、養生を進められており、参加した学生は、その続きから作業を行いました。「養生」は、これ以上家屋を汚さないように根太(床下の梁)や束(床下の柱)にブルーシートなどを巻き付ける作業です。地味な作業ですが、これを怠ると後のそうじが大変になるため、ダイナミックな作業だけではなく、細やかな心遣いが家を守ることになるという気づきがあったようです。
同時に、養生作業が終わった部屋から、泥出しを行いました。床下には、水分を含んだ泥が10cmほどの深さで堆積しており、スコップで持ち上げると、その重さは想像を超えるものでした。また、床をはがすことができない部屋の床下に入り、泥をかき出す作業も行いました。
電気の止まった高さ30cmにも満たない真っ暗な床下に、不織布のつなぎを着てヘッドライトをつけて入り、小さなへらとちりとりで泥を集める作業の大変さに、学生たちは、水害は「泥」の被害だということを実感していたようです。
作業の合間に、学生たちは住民の方々からお話を聞いたりして、しっかり関わりを持ち、住民の方の抱えるやるせなさや寂しさ、故郷に対する思いを受け止めていました。
宿泊場所に戻ってから行った振り返りの中で、学生たちから地域住民とのやりとりの中での気づきの共有がありました。学生から、9月のままのカレンダーを見て、被災された方の時が止まっているという心境に思いを馳せ、どうしたら再びカレンダーをめくれる気持ちになれるのかというエピソードが語られました。




11月10日(日)
積み上げられた廃棄物を仕分けし、袋詰めし、処分場に運搬する作業が中心で、学生たちは明治期のお寺や地域の様子を収めた写真や文書をごみ袋に詰め、100年以上経つ古い家財を解体し、トラックに運びました。貴重な文書ではないか、と確認しながらの作業でしたが、ほとんどのものを処分せざるを得ないという状況でした。
作業を通じて、学生たちは、貴重な地域の歴史が人知れず消えてしまうことへの悲しみを感じ、災害が地域の歴史を奪ってしまうということを実感していました。


参加した学生の声
学生の語りから
私たちが作業することで、被災された方の苦しみが少しでも楽になってほしい、それがカレンダーをめくる心の余裕につながればいいなと思います。そして、物理的にカレンダーが11月になるだけではなく、被災された方の中で止まったままかもしれない心の時計が再び動き出すために、私に何ができるのだろうと思っています。
振り返りの中から
- 門前で隆起した浜を見て、見たことがない風景に言葉を失った。
- 床下に入って泥をかき出していると、その作業のあまりの非日常さに、自分が今どこで何をしているのか、一瞬わからなくなった。
- 作業中、床ばかり見ていたが、ふと天井を見るときれいな木目や立派な欄間があり、そこに生きてきた人たちのかつての生活に思いをはせた。
- 「さよなら」と声をかけて、「また明日ね」と言えないつらさを感じた。また行きたい。
- にぎやかだった街の昔の話を聞くと、胸がしめつけられるようだった。
実施にあたり、日本財団ボランティアセンターとの共催として、学生の交通費、現地移動にかかる費用をご負担いただきました。また、現地活動のコーディネートに日本ソーシャルワーク教育学校連盟(ソ教連)DWAS-JAPANの山本 克彦先生にご尽力いただきました。宿泊では、浄土真宗大谷派奥能登ボランティアセンターのご協力をいただきました。重ねてお礼申し上げます。
皆月地区での活動に際しては、災害支援団体SEEDS OF HOPEの皆さま、共に汗をかき、泥をかき出したライオンズクラブの皆さまに感謝申し上げます。
発災から11カ月が経ったところでの活動でしたが、9月に発生した水害の爪あとはあまりにも大きく、復興の途上にあった地域でも、「振り出しに戻るどころか、もっと悪くなった」という声が多く聞かれました。これから寒さが増し、作業の継続が難しくなる中、泥にまみれた家を見るしのびなさや、1年のうちに2回被災した運命を嘆く声にどう向き合うのか、心の支援の必要性も強く実感することとなりました。
また、避難所から仮設住宅への移転、各地で進められている公費解体においても、さまざまな行き違いや住民の思いとの乖離などの課題が顕著になりつつあることが感じられました。まだまだ現地における支援の必要性があることを改めて実感しました。
復興のさなかの水害により、能登半島は再び被災しました。被災された方々は、それでもふるさとへの思いを口にし、復興への歩みを進めています。その思いに寄り添い、引き続き私たちにできることを考え、取り組みを続けていきたいと思います。
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