アメリカ カリフォルニア大学リバーサイド校

文化学部 国際文化学科 下中 歩美さん

留学種別:派遣留学
留学先:カリフォルニア大学リバーサイド校
留学時の年次:3年次
留学期間:2011年4月〜2012年1月
留学アドバイザー:江尻 雅一 准教授
出身高校:奈良県立西和清稜高等学校

 元々留学に憧れがあり、二回生の頃にアメリカで一ヶ月のインターンシップをしたのですが、そのときに語学力がもっと必要だと感じて、翌年同じアメリカに長期留学しました。アメリカを選んだのは、主流の米語を身につけたかったから、インターンで滞在したときすごく楽しかったから、そして世界の中心として存在している大国の社会や文化を知りたいと思ったからです。

 到着して最初のほうは、授業中先生の口を見てしっかり集中しないと理解できず、それぞれ訛りのあるクラスメイトの英語も全く聞き取ることができなくて苦労しました。授業はただ聞いているだけでなく毎回ディスカッションをするのが普通で、私にとって聞き取りにくいアラブ系のクラスメイトと当たったとき、はじめは会話が弾まず申し訳ないとも思っていました。しかし耳は慣れてくるもので、一ヶ月経ったころは先生の話を耳だけでも理解できるようになり、一学期(約三ヶ月)が終わったときにはアラブ系の友達と一時間くらい濃い話もできるようになっていました。英語ができるというのは、ネイティブの使う綺麗な英語だけわかるということではないと思います。どんな英語でも聞き取れるということは、これからの時代大きなアドバンテージでもあります。

 アメリカ生活で印象に残っていることは、祝日や記念日の過ごし方です。独立記念日やクリスマス、ハローウィンなどの祝日をみんなが盛大に祝います。例えば、七月四日の独立記念日ではアメリカ全土で花火が上がったし、クリスマスは家族よりも恋人たちの日というイメージが日本ではありますが、アメリカではみんなのためのクリスマスという捉え方で、ホストファミリーや店先、町全体が楽しみにしていたのを覚えています。祝日のたびに、既に自立している家族や親戚が集まりパーティーをして楽しむ文化は素晴らしいし家族の絆がとても強いと思いました。日本では家族と住んでいるけど会話が少なかったり、本音を話していなかったりする人が比較的多いと思います。その点、アメリカでは個人が自立しているからこそ家族のメンバーと対等にコミュニケーションできて良い関係を作れているのだと思いました。

 留学中辛かったことは、ホストファミリーの親類やアメリカ人ばかりが集まるときに自分だけ話に入れず孤独で、でも話さないと伸びないので「話さないと、積極的にいかないと」と自分を焦らせてストレスが溜まっていたときです。日本に帰りたいとも思っていました。でもそんなときに、此処に来た目標とか、今までTOEFL頑張ってきたこととか、留学経験者への憧れを思い出して「やっぱり頑張ろう」と奮い立たせていました。こういうとき、目標を持たず遊び感覚で来た人と差が出ると思います。留学に限らず何にでも目標や憧れを持つというのはすごく大事なことだと身をもって経験しました。

 留学で学んだことは本当に沢山あります。まずは大学教育の違い。語学に加え大学の授業も取っていたのですが、アメリカの大学の授業方法は日本の大学と全く違っていて、学生でなく大学として見習うべき点が非常に多くありました。現在この学んだことを大学に提案してみようと考えています。ほかに、日本の会社はやはり素晴らしいことを再認識しました。自動車のホンダとトヨタを使っている人は多く、カメラは皆キャノンかニコンで、パソコンはWindowsなら東芝、そしてゲームセンターにいくとほぼセガのゲーム機でした。これはアメリカ人だけではなく、留学生も日本製の電子機器を使っている人が沢山いて、「日本製はクオリティが高い」とも言っていました。日本の技術力は世界に誇れるのだと改めて認識し、日本人であることに誇りを感じました。

 今後は、夢があるのでそれに向かって努力していくつもりです。就職活動もしますが、入社を目標にするのではなく夢へのアプローチ方法の一つとしてするつもりです。留学してきた人は就活をしない人が結構いて、私も帰国してから一ヶ月くらい迷っていました。けれど就活は自己分析や日本の超新卒主義含め今しかできない体験であり、色々な企業を知ることができる期間なので、やって損はないと思います。あとは英語力をもっと高めて、英語以外の言語も習いたいなと思っています。

 これから留学しようか考えている人達へ。まず語学の中で自分がどのスキルを一番伸ばしたいのか考えてみてください。話せるようになりたいのか、読めるようになりたいのか、書けるようになりたいのか、またはビジネス英語を身につけたいのか、など。それによって行く学校が変わると思います。例えば会話系を中心に伸ばしていきたいなら、オーラルスキル重視の語学学校を見つけるべきです。もっとアカデミックな論文を書いたり読んだりできるようになりたいなら、学部留学か大学付属の語学学校がいいと思います。またTOEICの点数を上げたいだけなら、留学するより日本で徹底的に問題集やる方が上がります。それから現地に着いて、時間とお金があればできるだけ休暇中に旅行もしてください。行くたびに何か発見や面白いことがあるし、日本から行くより安くつく場合が多いからです。

 留学していた10ヶ月間は、一日一日で見ると辛い日のほうが多かったと思います。でも全体を振り返ると、とても楽しい10ヶ月でした。価値観が変わったとかよく言いますが、本質的な性格は変わっていなくて、ただ自分の視野が以前より広くなり、興味のある分野が増えました。例えば自分が外国人となることで移民問題に関心が向いたり、中国人と友達になって検閲やメディアについて考えるようになったり。また、色々なニュースや事柄をアメリカと比較したり、つなげてみたりするようにもなりました。「アメリカではどうなんだろう」とか。アメリカのニュースも気になるし、長期間過ごす国は絶対自分に帰国後も影響を与えます。

 最後に。語学留学で行きましたが、大事なのは語学力以上に教養だと思います。たとえ綺麗な発音でスラスラ喋れても、中身がただの挨拶程度では意味がないと思います。訛りのひどい英語でも自分の意見を主張して面白いことを話していれば相手は聞いてくれるし、社会性の高い話題を話せます。それには教養が必要です。語学に固執しすぎないで自分を成長させる機会だと思って楽しんでください。


  • 成績優秀賞受賞

  • クラスメイトと
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