ロシア 国立プーシキン記念ロシア語大学

外国語学部言語学科ロシア語専修 萬礼文子 さん

留学種別:夏季短期語学実習
留学先:ロシア・国立プーシキン記念ロシア語大学
留学時の学年:2年次
留学期間:2009年8月
出身高校:北海道札幌平岸高等学校

赤の広場『聖ワシーリー大聖堂』

 私は外国部学部言語学科でロシア語を専修しており、2回生の夏休みに約1ヶ月間、国立プーシキン記念ロシア語大学夏期短期語学実習に参加しました。

 参加のきっかけは、1回生の時に短期語学実習があることを知り、その時から参加しようと思っていました。もともと、これと言った理由があってロシア語を始めたわけではありませんでしたが、ロシア語を専修しているからには、ロシアには必ず行きたいという思いはあり、長期留学もしたいと考えていました。その後もロシアの国自体やその言語を学んでいくにつれて、早くロシアに行ってみたい、自分の目で見て、生活して、言葉を聞いて、とにかく色々なものに触れたいと思っていました。短期語学実習を終えた今思うと、ロシアに行く前までは、いまいち実感のないぼんやりしたものに向かっていたんだなという気がします。一度も行ったことのない国の言葉や歴史、文化を勉強していました。今では授業で出てくるロシア語の会話、通りの様子、人々の生活の場面ごとに実際私が過ごしたロシアでの様子が浮かんできます。そしてそのことがとても嬉しく、もっと知りたい、もっと話せるようになりたい。という意欲も強くなりました。

 留学先では大学に付属している寮で生活し、そこから大学へ通っていました。

 この夏期短期語学実習の期間は私たち京都産業大学の学生だけでなく、色々な国からも多くの人が参加していて、ドイツ、ポーランド、チェコ、イタリア、フランス、スペイン、ミャンマー、タイなどから来ていました。このような色々な国の人達が一つの寮の建物の中で生活し、共同のキッチンを使用したり、一緒にスポーツをしたりするので、自然と仲が深まりロシア語で会話をするようになりました。

 次に、授業についてです。1クラス4〜5人の少人数で、京都産業生の中だけでクラス分けされました。外国人クラスに入りたいなどの希望があれば、すぐにかえてくれます。またどんなことを主に学びたいか聞かれ、その希望にそうように授業をしてくれます。少人数なので一人が発言する機会は多かったです。

 短期語学実習の参加はロシア語習得のためという目的はもちろんですが、もう一つロシアの色々なところを観光したいという目的もありました。大学はモスクワ市内にあり、観光雑誌に載っているような見所は地下鉄を使うとたいていのところへ行けます。また学校で企画してくれている観光もあり、自由に参加できます。私は毎日どこかに出掛けていて、1ヶ月でモスクワの主要な観光場所はほとんどすべてまわったと思います。ロシアでは、教会や美術館、博物館などの入場料がもともと安いうえ、学生だとさらに安くなります。ほとんどのところは数百円、もしくは無料で入場できました。またサンクトペテルブルグへも夜行列車に乗って行きました。狭くて古い列車でしたが、今の日本ではなかなか経験できないことだったと思います。サンクトペテルブルグにある、エカテリーナ2世の収蔵品が収められている世界遺産のエルミタージュ美術館も学生は入場無料でしたが、その豪華さと広さ、展示品の多さは圧倒されました。ロシアというとなんとなく治安が悪く危険なイメージがあるかもしれません。確かに日本よりは治安は悪く、外出する時は常に気を引き締めておく必要があります。しかし無茶をしないで自分がしっかりするところをしっかりしていれば、そこまで不安がることはないです。一人で地下鉄にのって観光に行く事も多かったですが、危険な目には遇いませんでした。

  • 大学のプーシキン像の前

  • 世界遺産『カローメンスコエ』

 ロシアでの生活で良かったなと思うことの一つに、日が長いというのがあります。モスクワの夏は夜9時をすぎたくらいに日が暮れ始めます。そのせいか、ゆっくりと時間が流れ、ゆとりがあってのんびりした感じがありました。授業のあとに観光にでかけ、帰ってから皆で夕食をつくって食べ、体育館でスポーツをし、その後に部屋でトランプをしたりDVD鑑賞をしたりする。というのがだいたい一日の流れで、友達と一緒にいるというのもありますが、日本ではちょっと考えられない毎日の活動量でした。常に誰かといるか、何かをしていたなと思います。その分、一緒に参加した同級生の存在は大きいです。一人ではやろうと思わない事、出来ないことも色々できました。また、寮の中にしても、公共施設にしても、日本に比べると不十分なところはあります。(と言っても、すごくひどい訳ではありません)ロシアに行く前までは、そのことが心配でした。しかし、それにすぐに慣れることができたのも皆と一緒に生活していたからだと思います。小さなことに気をとらわれず、前向きな友達と一緒にいることで、その環境についても、なんでもない当たり前のことだと感じることができたのだと思います。なんでもそうだと思いますが、「違う」・「足りない」・「汚い」など不満ばかり並べてもかわらないものはかわらず、ただ自分で自分を暗くするだけでしかないです。そういうのは早く慣れてしまうのが一番幸せだと思いました。

 短期語学実習では、授業でしっかりロシア語を学ぶのも、ロシアの街に出てその空気にもまれるのも、寮にこもって(ずっとこもっているのはちょっともったいないと思いますが)自分のしたいことをするのも、過ごし方、楽しみ方はそれぞれで自由で良いと思います。「こうしないと」と頭を固くせず、自由に(人に迷惑をかけない程度に)過ごせば良いと思います。ロシアにいるだけで少なくとも日本にいるよりは、ロシアの色々な刺激を受けます。そして1ヶ月、自分なりにその国で生活したという経験はそれだけで意義のあることだと思います。  私は来年、モスクワ大学へ10ヶ月の認定留学を予定しています。この短期語学実習を通して、やはり「環境」の大切さを感じました。日本ではそれなりに頑張ってロシア語をやっているつもりでも、会話となると日常生活の中で意識をしなくても入って来るロシア語にはかないません。ロシアの人々が生活している中に自分もはいり、日本語を忘れるくらいロシア語に浸かってきたいと思っています。「留学すると会話力はつくが、文法はおろそかになってしまう」と聞くので、日常生活では会話力を伸ばし、文法の方も大学の講義プラス自分でコツコツやっていこうと考えています。

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