台湾・輔仁大学(交換)

法学研究科法律学専攻 若井 優さん

留学種別:交換留学
留学先:台湾・天主教輔仁大學
留学時の学年:修士課程2年
留学期間:2007年9月〜2008年6月
担当留学アドバイザー:指導教授の溝部英章先生、台湾出身の清河雅孝先生、中国語学科の森博達先生をはじめ、たくさんの教員のお世話になりました。
出身高校:京都成章高校

留学体験談

留学のきっかけ

 私の場合、留学のきっかけは語学そのものではありません。確かに、学部学生時代、法学部で日本近代政治の研究していたころから、第二外国語として中国語を学んでいました。しかし、当時は留学について考えたこともありませんでした。ところが、大学院進学後、「李登輝論-台湾独立の世界史的意義」を修士論文のテーマとし、台湾における国民国家形成について研究することになり、留学について検討するようになりました。

 なぜなら、社会の様子や日常の風習などその現地の実情を知ることは、文化や歴史的背景の異なる外国の政治の問題を研究していく前提として非常に重要なことであると考えたからです。そしてその社会の実体を掴むためには、現地語を話せるようにならなければいけません。私にとって、語学力を身につけ、現地社会を体感する最も適した方法は、交換留学生として台湾に赴くことでした。また、幸い、留学期間中の台湾は、立法院選挙と総統選挙が行なわれた政治の季節の真っ只中にありました。その場に居合わせたからこそ感じることができた現地の空気を読み解き、台湾の生の姿を掴み、それを研究に反映させることができたと自負しています。

留学生活全般

 輔仁大學では、日本からの留学生は基本的に日文系(日本文学系=日本文学学科)に所属することになっています。しかし私は、日文系の講義に加えて日文所(日本文学研究所=日本文学研究科)の講義も履修することができました。日文系や日文所では、台湾の学生が日本語で日本語を勉強する授業でTA的役割を果たしながら中国語を学んだり、中国語で日本文学や日本の政治外交などを講義する授業に出席したりしていました。

 輔仁大學で学ぶ外国人流学生の大半は、輔仁大學言語中心(センター)の講座を受講し、中国語を学びます。私も留学期間中、毎週12時間、言語中心で中国語を勉強しました。(但し現在は週に15時間へとカリキュラムが変更されたようです。)言語中心では、中国語を学ぶ各国からの留学生と交流することができ、私も国際色豊かな留学生活を満喫することができました。

 留学のそもそものきっかけである台湾政治の研究についても、輔仁大學の大学院の講義に出席したほか、他の研究機関に在籍する何義麟先生や呉叡人先生など著名な教授にインタビューしたりするなどして進めていきました。また、李登輝元総統や馬英九総統らの講演を聞くため、各種講演会や集会にも積極的に参加しました。さらには、台湾独立建国聯盟の黄昭堂主席の紹介で、日本の新聞社の台北支局にインターンシップし、2・28事件関連のイベントの取材に同行するなど、ジャーナリスティックな視点から台湾政治を観察する機会にも恵まれました。総統選挙時期には日本李登輝友の会が主催した総統選挙見学ツアーや、選挙後の5月に実施された第9回台湾李登輝学校研修団に参加した縁で、日本に帰国したいまも、日本李登輝友の会や台湾研究フォーラムの活動にときどき出席しています。

現在の語学力スコア

 中国語力のスコアといえば、(HSK= Hanyu Shuiping Kaoshi)がメジャーだと聞きます。このHSKは大陸中国つまり中華人民共和国の教育部が認定する中国語検定試験です。一方、台湾(中華民国)の教育部が認定する中国語検定試験が、華語文能力測検(TOP=Test of Proficiency-Huayu)です。留学前は簡単な中国語読み書きができるほどの語学力しかなかった私ですが、台湾留学で日常会話は問題なく使いこなせるようになり、TOP試験の1級にも合格しました。

留学したことで学べたこと・得たもの

 私の留学の目的は台湾の政治について現地でのフィールドワークを通じて研究することでした。その場に居合わせたからこそ感じることができた現地の空気を読み解き、台湾の生の姿を掴み、それを研究に反映させ、無事に「李登輝論-台湾独立の世界史的意義」という題で修士論文を書き上げることができました。

 しかし、留学の成果は学業の面だけではありません。慣れ親しんだ環境を離れ、言葉も文化も風習も異なる異国の地で、生活するということは、それだけで貴重な経験だといえます。留学中は、見るもの聞くもの全てがめあたらしく新鮮に感じられ、日々の雑事まで細かくブログに書き込んで記録していました。

今後の進路や夢、これから取り組もうと思っていること等について

 私の場合、修士課程二年目の秋から留学を始めたため、修士課程三年目の春に帰国するというスケジュールで、普通は二年間で修了する修士課程に三年間在籍したことになります。当初の私の最大の悩みは、6月末に帰国することで春の就職活動に間に合わないということでした。しかし、指導教授のおかげで無事に就職先も決まりました。就職先はアメリカのほか中国の上海や江蘇などに事業所を有するメーカーです。将来的には中国に勤務し、台湾留学中に垣間見た奥の深い中華世界に、今度はビジネスという切り口で挑んでいければと考えております。

  • 寮のルームメイトとその友人ら。

  • 日文系の友人らと
    台湾の伝統菓子(湯圓)を作る。

  • 言語中心の戸外学習。

  • 台湾民主紀念館(旧中正紀念館)
    の門。展示内容や名称の変遷が
    台湾のダイナミックな政治変動を
    象徴する。

  • 各種研究会にまめに出席。

  • 京都産業大学の理事長
    廣岡正久先生、
    法学部清河雅孝先生、
     輔仁大學を訪問。

  • 総統選挙直前に開かれた民進党
    の決起集会。

  • 李登輝元総統による講演。

  • 李登輝閣下から李登輝学校の修了証書を頂く。

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