理学部物理科学科セミナーのお知らせ(2010.10.13)
下記のように物理科学科セミナーを開催します。奮ってご参集くださりますようご案内申し上げます。
日時 | 2010年10月13日(水)13:15〜 |
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場所 | 京都産業大学理学部2号館3階 会議室 |
講演者 | 加藤 立久 氏(京都大学高等教育研究開発推進機構教授) |
題目 | 「スピン系を包む化学」 |
対象 | 本学学生・教職員 |
講演概要
化学者は古くから金属イオンを配位子で“囲む”工夫をして面白い磁性機能を実現してきた。このような従来の配位子化学とは異なり、“スピンを包む”アプローチで分子磁性をコントロールしようとする試みを紹介したい。
金属内包フラーレンは、炭素フラーレンの発見当時から提案された中心空洞に何かを“包む”アイデアの一つの実現例である。金属内包フラーレンEu@C82、 Gd@C82、Gd2@C79N等々は特徴的な高いスピン状態を持ち、スピンを包んでいる炭素ケージの化学修飾でスピン状態を変化させることもできる。
複数の分子会合で形成する超分子が複数のスピン系を”包む“例として、環状銅ポルフィリン・ダイマーが金属内包フラーレンLa@C82を閉じこめた例、自己集合する柱状籠ケージが複数の・スタッキング・ゲスト(ポルフィリンなど)を包摂した例、Cu2+イオンの配位結合力を利用した人工DNAオリゴマーの例を挙げる。それぞれ面白いスピン結合状態が電子スピン共鳴分光法で観測されている。

施錠”された環状銅ポルフィリンダイマー