原井 孝典

留学体験から得られたもの

ツェルマット

 ドイツに来ておおよそ11カ月が過ぎました。これまでに感じたことや留学の参考にして欲しいことなどを、簡単に説明したいと思います。

 ドイツは、もう紅葉も終わり、長く厳しい冬になっています。気温は、それほど低くなく、過ごしやすい気候です。ですが日本と違って、この時期は大変雨がよく降ります。

 さて、私がこの留学で最も印象に残っていることは、異なった環境の中で自分自身を見つめなおす機会を見つけられたことです。私は、8月半ばにスイスを一人旅しました。京都で一人暮らしをしていましたが、一人で海外旅行をしたのは初めてでした。スイスへの憧れはあったのですが、正直、直前になると不安でいっぱいでした。5日間のチューリッヒ、ツェルマット、ベルンを電車で時間をかけて巡りました。電車の中では、見たこともない景色が映像となってみることができるので、気持ちは興奮し続けていました。けれども、夜ベットに入ると日本の家族のこと、勉強に対する不安そして、寂しさが駆け巡っていきました。しかし、そんな気持ちを変化させた景色がありました。それは、ヨーロッパのアルプス山脈、ツェルマットに行った時です。町は、木造の建物が多く並んでおり、その家々のベランダには、赤い花が植えられていて、大変きれいでした。また、町はアルプスの山々に囲まれた谷に位置しているので、町にいるだけでもその山々の雄大さに感激させられるばかりでした。翌日に、登山列車に乗って展望台へ上りました。頂上に上った時、「私はちっぽけな存在で、ドイツまで来てなんでこんな不安と闘っているんだろう。」と感じました。その後、徒歩で下山をしましたがその時もずっと、広大な景色と新鮮な空気を感じ、もっと大きな器を持ち、目標に向かって努力し続けたい自分の中でだんだん何かが変わっていっているような気がしました。無事、何も起こらずこの一人旅を終えることができ、そして自分自身を振り返るいい機会になったと思います。

Weinachtsmarkt in Koeln
04/12/2011

 良いことばかりではありませんでした。私は、ドイツ語の文章を読むスピードが他の人よりも遅く、早く読むことができたとしても内容が全くと言っていいほど理解できていませんでした。ですから、毎回授業で担当の先生にそこを指摘されていました。まず、自分の勉強法に欠点があるんだと思い、真剣に考えたり、人のまねをしてみたりと試行錯誤をしました。そして最終的に声に出して文章を読み、単語を声に出しながらノートに自分の決めた字数を書いて覚えていくことが自分に最も合っている方法だと導き出しました。その後、単語量もみるみると増えていき、文章のすべてが把握できなくても、大体の意味がより速いスピードで理解できるようになりました。諦めていたらそれまでだったと思います。けれども、自分自身をまず疑い、そして新たな方法を導きだし、それを試してみる。

 私からドイツへの留学を考えている人に留学をすると「これ」が変わるというようなアドバイスはできませんが、一つだけ変われることがあります。それは、ネガティブな自分がポジティブになるということです。個々によって差はあると思いますが、言葉、文化の壁に絶対にぶち当たり、その壁を乗り越えることによって自分自身、考え方が変わっていく、これが留学の醍醐味だと私は思っています。

 この留学もあと少しになってきました。悔いのない充実した生活を送りたいと思います。

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