城野 杏奈(ドイツ)

 私がケルンへ行ったのは、2011年の3月、大学で1年間ドイツ語を勉強した後でした。ケルン大学での春季短期語学実習は3週間、なんとカーニバル休暇の真っ最中からスタート。着いたらまずはケルンのカーニバルについてお勉強です。体験9割の。

 というわけで、単にドイツ語を勉強するだけでなく、いろいろなところへ連れて行ってもらいました。先述したカーニバルはもちろん、ケルンから近いボンやアーヘンなどの名所、オーケストラのコンサート、そしてケルン大聖堂。ガイドさんの説明があるとより一層おもしろくなりますね。できる限りでドイツを堪能してきました。私のような出不精じゃなければ、休日を利用してベルリンとかミュンヘンとかベルギーとか、遠くへ行くことだってできます。日本にいるのと違って地続きなんですから。

 こう聞くと「遊んでばっかりだったの?」と思うかもしれませんが、勉強だってきっちりしましたよ。午前中の初級クラスでしたが、授業は当然ドイツ語オンリー(あるいは英語)。色々な国から来た人たちと混じって勉強していると、それぞれの母国語がどんな形でドイツ語に出てくるのかも分かって面白かったです。べ、べつに現実逃避とかそんなんじゃ(略)

 しかし、ドイツに行って少しだけですが生活すると、言語だけではなく文化においても学ばざるを得なくなります。文化と言っても高尚なものではなく、もっと身近な部分、世俗とか習慣といった部分においてです。海外のスーパーに行ったことのある人なら苦労しないのかもしれませんが、レジの前のベルトコンベアーがなんなのか、さっぱりわからなかったんです。「カゴごと乗せるの?」とか言うレベル。さらにレジ袋は「買います」って言ってやっと貰えるのですが、これがドイツ語で言えなかったんですね。無言でプラス三円してレジ袋着けとく大阪とは違う、徹底したエコの洗礼を浴びました。エコバッグって便利なんだね。電車についてもそうです。日本と違って改札が無いためうっかり無賃乗車してしまえるんですが(もちろん罰金付きます)、その理由の一つが「切符の買い方がわからない」と言われるほど、自動券売機がややこしいんだそうです。それが怖くて定期券の利くケルン市内から出られなかったのは良い思い出です。自動改札機って親切だったんだな……。

 勉強してわかるようになると使ってみたくなるもの。3週間はあっという間に過ぎてしまう短さでしたが、ドイツ語の社会の中に身を置いた経験はすべて私の貴重な財産となりました。「行ってみたいな」「でも言葉が通じるか不安だな」と揺れているなら行ってみた方が絶対に良いと思います。「旅の恥はかき捨て」っていうじゃありませんか。ね!

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