大岩 楓(ドイツ)

 私は2回生の夏休みを利用してドイツのライプチヒに一ヵ月間留学する機会を得ることができました。私自身、留学は三回目でしたので海外に対する不安はありませんでした。

 ドイツに到着し、レベル分けされたクラスで本格的にサマーコースの授業が始まると、上のレベルに行けば行くほど外国人ばかりのクラスで、私は日本人ばかりのクラスで授業を受けていました。私が思う本来の留学は「一人で外国へ行き、自分を追い込む」ということが一番良い留学だと思っていたので、正直始めは戸惑いました。日本人が周りにいる安心感の反面、私が求めていた留学とは少し違うのかなと違和感を感じていたのです。そんな違和感を感じながらも、毎日授業を受け、寮で生活をし、買い物に出かけたりしながら、異国で暮らすという普通では体験できない毎日を過ごしていました。

 そして、いざ気が付いてみると私達日本人はいつも日本人だけで固まって生活をしていました。学校には、ドイツ語を学びに来ている外国人がたくさん居るにもかかわらず、毎日挨拶を交わす程度で普段の会話はなく、外国人から「日本人は本当に積極性がない。だからドイツ語が上達しない。」と思われていました。もちろん、ドイツ語を上手く話すことができる人たちは積極的に話しかけ、コミュニケーションをとっていました。「私もそうしたい!」と思いながらもなかなか一歩が踏み出せずにいました。

 そして、学校が午前中で終わったある日、BMWのツアーがあり私は集合場所へ向かっていました。その時にモヤという女の子が「BMのツアーに行くの?」と話しかけてくれたので、私はここで一歩踏み出すしかないと思い、必死にドイツ語を話しました。理解してもらえない部分もありましたが、彼女に私の言いたいことが通じた時は本当に嬉しかった、と同時に外国人と関わることがこんなにも楽しいとは思っていませんでした。

 ドイツでの生活が残り一週間になった頃、私は先生から「最後のお別れパーティーでピアノ演奏をしてほしい」と頼まれたので、感謝の気持ちを込めて日本人の皆で「旅立ちの日に」を合唱しようと決めました。そして、歌ってくれるメンバーを集め、練習をし、ドイツ語に訳した歌詞をパワーポイントにまとめ、パーティー当日を迎えました。合唱が終わった時には拍手大喝采で、先生やチュータさんも泣いてくれました。何より一番嬉しかったのは、その歌を通じて、今まで話さなかった外国人と話すことができ、彼らの受け入れ方が変わったところです。本当にやって良かったと思い、自分から皆に「歌を歌おう」と働きかけてやり切ることができ幸せでした。

 私はこの留学で学んだことが三つあります。三つ目はこれから留学する皆さんへ向けた言葉でもあります。

 まず一つ目は、日本人はやはり、引っ込みがちで日本人の中にいると安心してしまうということ。自分を表現することを苦手としていること。そこから外国人と日本人の差が生まれていること。その差とは、同い年でもドイツ語を話すレベルに大きく差があるということです。外国人は分からない時すぐに質問をし、ドイツ語をどんどん話していました。そのような積極性が学力に大きな差を及ぼしており、またこれから国際社会で活躍しようと思うと外国人に負けない積極性が必要だと実感しました。

 二つ目は、英語の大切さです。授業は当たり前ですがドイツ語で進められます。しかし、先生がクラス皆の理解が乏しいと感じた時、英語に切り替わります。それは街のレストランでも同じでした。ドイツに滞在しながらやはり、全世界の共通語は英語なんだと改めて実感しました。

 三つ目は、「自分から動く」ということです。今の時代、留学は当たり前と言われています。だからこそ、自分はどのような留学がしたいのか、自分の求める留学とは何かをしっかり考えて下さい。一人で留学しても、今回の私のように十人で留学しても、限られている時間の中で留学を最高のものにするのもそうでないものにするのも自分です。どんな形であれ、一日一日を全力で悔いなく過ごすことができたのなら、それは本当に素晴らしい留学をしたと言えることができるでしょう。私は1ヵ月間「じぶんから動く」をモットーにやり切ることができました。自分を信じ最後まで貫くことができたからだと思います。皆さんも、誰にも真似できないような、自慢できるような留学をして下さい。

 最後になりましたがこのような素晴らしい機会を与えて頂いた京都産業大学、Inter-dafの先生方、心配をかけていた家族、サポートしていただいた皆さんに感謝します。本当にありがとうございました。

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