水野 公太郎(ドイツ)

ドイツ留学体験記(ライプツィヒ)

 ライプツィヒで留学を始めてから半年が過ぎ、この度、留学体験記を書かせていただくことになりました。へたくそな文章で申し訳ないのですが、これまでの留学生活を通して感じてきたことを書いていきたいと思います。

 2009年3月、僕はライプツィヒで留学を始めました。僕は海外に出たことがなく、さらにドイツ語も英語もほとんど話せなかったので、出発の時、不安と緊張でいっぱいで見送りに来ていた人達とうまく話せなかったのは、ライプツィヒに来てから半年たった今でも鮮明に覚えています。ドイツに来てから最初の一カ月は、まだ旅行気分が抜けず、目に入ってくる全ての事が素晴らしいことに見えがちで、自分がドイツで語学研修をしているという現実が目に見えていませんでしたので、行動範囲はかなり狭いものでした。また、言葉や文化の壁もかなり感じていました。コースが始まってからもしばらくそんな状態が続きました。しかし、コースを受講している他の国の友達やドイツ人の友達との交流を通して、ドイツ語が喋れるようになりたいという思いはしだいに高まっていきました。もちろん、コースの授業やテストは簡単なものではなく、かなり苦労したのを覚えています。半年たった今では聞き取りはできるようになりましたが、自分が伝えたいことが瞬時に口から出てこないもどかしさ、自分の未熟さをまだまだ感じている、そんな状態です。

水野 公太郎(ドイツ留学体験記)
水野 公太郎(ドイツ留学体験記)

 今まで素晴らしい経験をたくさんしてきました。毎日の授業、パーティなどでの人々との交流、タンデムプログラム、自転車旅行・・・。この半年間で数えきれないほどの素晴らしい経験をしてきました。ですが、悩まされてきたこともたくさんあります。その一つがなぜドイツ語を学びにドイツに来ているかという動機がはっきりしていないことで、半年たった今でも将来にどう役立てていきたいのか、決められずにいます。というのも僕は4回生で、本来なら就職活動すべき時期にドイツで留学している状態です。もちろん、周りの人たちにドイツ語を勉強している理由を聞かれることも時々ありますが、僕は聞かれる度に「ドイツ語に興味があるから」としか言えません。ドイツの大学に入学することやドイツで働くことなどは今のところ特に考えていません。もちろん、そのようなことは、かなり魅力的なことではあると思います。コースを受けている生徒のほとんどは、はっきりとした理由があり、感心させられると同時に、僕はこのことに悩まされている状態です。ある日、僕は知り合いの方からある言葉を聞きました。「言葉も文化も違う見知らぬ土地に来て、そんな過酷な環境で生活していく。それを続けていくだけでも人生において、素晴らしい経験になるじゃないか。」僕はこの言葉を聞き、それまで悩んで、憂鬱に過ごしていた毎日でしたが、かなり前向きに留学生活を過ごせるようになりました。僕はまだ将来に悩んでいる身で、今は目の前のことをただひたすら頑張っていくことしかできていませんが、答えが出てくる日はそう遠くないと思っています。

 これから留学を考えている方に対してアドバイスになるのかはわかりませんが、僕は4回生という大事な時期にちょっとした軽い気持ちでドイツ留学に来てしまいました。やはり、なぜドイツに来てまでドイツ語を勉強するのか、ドイツ語を将来どのように役立てたいのかをはっきりさせられていたら、もっと有意義で素晴らしい留学生活になったのではないのか、僕はそう感じています。ですが、ドイツで勉強してみたい、少しでもそんな思いがあるのならドイツ留学に挑戦してみてはいかがでしょうか。たとえ僕のように、将来に留学の経験をどのように生かしていきたいのか決められていない状態で来てしまったとしても、言葉や文化の壁を通して自分の未熟さなどを知り、見知らぬ土地で生活していくことは留学を通してでないと味わうことができないでしょうし、それだけでも素晴らしい経験になるのではないでしょうか。もちろん、ドイツに来てしばらくは、誰だって言葉や文化の壁に悩み、くじけそうになるようなことはあると思います。しかし、それ以外にも、少し踏ん張ってみれば、人間はどんなに過酷な環境でも生活していくことができていきます。留学は人生においての修業期間、僕はそう考えています。実際に、僕はライプツィヒに来てから、ただ単にドイツ語が話せるようになりたいと思うようになって、これまでの人生で一番勉強をしていますし、留学を通してでないと経験できないことをたくさんしてきました。ライプツィヒでの留学は、僕を成長させてくれました。残りの半年間も、一生懸命、ライプツィヒでの勉強に励み、自分が将来どのような道に進んでいきたいのか、答えを見つけ出したいと思っています。

 最後になりましたが、僕のライプツィヒ留学に協力してくださった、京都産業大学の職員の方々、先生方、家族、僕を応援してくれた友人たち、ドイツで出会った全ての人々に感謝しています。この留学体験記を通して、少しでもドイツ留学に興味を持ってくれる人が出てきてくれたら僕は幸せです。

水野 公太郎(ドイツ留学体験記)
水野 公太郎(ドイツ留学体験記)

2009年8月
外国語学部ドイツ語学科
4回生 水野 公太郎

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