結果分析・授業計画/改善に向けての取り組み(平成26年度 秋学期)

1.結果の総評

 外国語学部では、12の学科・専攻に特別英語のセクションを加えた13のセクションごとに、各授業担当者が協議して、各セクションの教育効果をバランスよく総合的に評価できるように実施科目を決定した。また、結果の分析についても、各セクションの責任者が取りまとめ作成した「結果分析及び改善計画報告書」に基づいて、最終的に学部長・FD/SD推進WG委員がこの報告書を作成している。
 全学共通の設問に関する学部平均値について、「授業参加の程度」は全学平均とほぼ同じであったものの、「シラバスを読んだ」、「シラバスを参考にした」の設問では全学平均を下回った。
 学部独自の設問では、「体系的な学習」、「専門知識・語学力の段階的修得」、「知的好奇心・学問的関心の向上」のいずれにおいても、学部平均値が4.16〜4.19、「総合的な満足度」が4.25と、それぞれ春学期を0.1ポイント以上上回り学部全体としては良好な結果を得た。しかし、「事前事後学習」については、春学期と同様に約6割の学生の事前事後学習時間が1日平均1時間未満という結果となっており、継続的な学修や自学自習の習慣の重要性といった観点から言っても、問題点として指摘される。

2.調査結果にみられる本学部授業の課題

 
  1. 学部全体で「シラバスを読んだ」の割合が64%、そのうち「シラバスをかなり参考にした」と「シラバスをどちらかといえば参考にした」の割合が合わせて70%となっており、シラバスを活用している割合が低くなっている。また、科目の性質(必修か選択か)によってシラバスの活用法に偏りがある。学生達がシラバスを授業選択時や時間割作成時に参照するものと捉えているため、必修科目のシラバスには余り関心が向かないことが考えられる。
  2. 「事前事後学習」に関しては、学部全体で「ほとんどしていない」の割合が31%、「30分〜1時間未満」の割合が32%となっている。この値は80%以上出席している学生でもほとんど変わらない(それぞれ、30%、32%)。また、講義科目の方が語学科目に比べて事前事後学習の時間が少ないと言う指摘もあった。
  3. フランス語専攻からは以下のような指摘がなされた。春学期から秋学期への変化を見ると、「体系的な学習」、「総合的な満足度」などの内容に関する評価は向上しているが、出席や事前事後学習については減少している。これは、今年だけの現象ではなく、昨年についても同様である。また、これはフランス語専攻に限ったことではなく、学部全体でも同じである。となると秋学期の開始時において、学部全体での指導が必要となろう。

3.2の各項目についての改善計画

  1. シラバスの活用度を増やすためには、最初の授業の時にシラバスを配布することが大切である。さらに、学期を通じて学生達が定期的にシラバスを参照するよう、各回の授業内容と事前事後学習の内容を上手く結びつける工夫が必要であろう。これによって、学生達の学習時間の確保と学習の習慣化も促進されると期待する。
  2. 事前事後学習に関しては、毎回小テストを行い、毎回家で学習することを具体的に学生に指示し、授業で必ずそれをチェックすることによって事前事後学習の時間が増えたという報告があった。そのためには、シラバスに毎回の授業ごとに事前事後学習の内容を書くことが必要である。また、学修時間には授業時間だけではなく、予習・復習等教室外での自主学修も含まれるという単位制度の仕組みを学生のみならず教員も理解する必要がある。
  3. 「2.調査結果にみられる本学部授業の課題」の3)に関しては、フランス専攻からは以下のような推測と考えが述べられている。 外国語学部の多くの授業は、セメスター制に移行してはいるが、かつての通年授業を前後に分割したという名残が残っている。そのため、春学期には新しい授業が始まるという緊張感があり、受講生は授業に頑張って取り組む。しかし、秋学期になると、春学期の継続のような感じになり、だれてきたりして、出席や事前事後学習が減ってくる。他方、秋学期の終わりになると、一年間の授業をやり遂げつつあるという感覚から、授業の内容についての評価が高くなってくる。   上述の状況分析が正しければ、各セメスターの授業の完結度を高めていくのが良いのではないかと考えられる。そうすることにより、春学期の授業も達成感が大きくなって、内容についての評価が向上し、また、秋学期には春学期とは異なる新しい授業が始まるという緊張感を持ってだれることなく授業へ取り組んでいくことが期待される。

4.備考

  1. 5つのセクションが教員間の情報や意見の交換の必要性を指摘していた。そのうち2つのセクションは、同じ科目を複数の教員で担当する場合の情報や意見の交換の必要性を強調していた。
  2. 学生に自ら調べ発表させる双方向授業の満足度が高いという報告があった。双方向の授業にするために、文法、会話、講義などすべての授業で工夫する必要があると指摘している。
  3. イタリア語専攻からは、「専攻イタリア語(構造)U」の独自設問で行った調査の報告がなされた。その結果は、この授業の目的である文法力と作文力の向上はかなりうまく達成できているが、聞く力と話す力に不足を感じており、「話せるようになりたい」と強く思っている学生の姿が浮き彫りになったということである。
  4. パワーポイントの使用が全体的に増えたため、その分かりづらさを指摘する意見がやや目立ったという報告があった。講義科目に関しては、パワーポイントの利用法に関して、専門的な見地から、教師が一度レクチャーを受けたほうが良いかもしれないと指摘している。
  5. 平成26年度からインテンシブ科目が1、2時限目に固定されたことの影響を調べるために、インテンシブ科目の3年間分のデータ処理を行った結果、以下のようなことが分かった。
    A)「授業参加の程度」の平成26年度の学部平均値は、おおよそ平成24年度より高くなっているが、平成25年度より低くなっている。

    I.授業参加の程度
    <春学期> <秋学期>
    H24 H25 H26 H24 H25 H26
    1年次 4.78 4.80 4.77 4.59 4.74 4.63
    2年次 4.50 4.68 4.64 4.45 4.57 4.55


    B)内容に関する項目(「体系的な学習」、「専門知識・語学力の段階的修得」、「知的好奇心・学問的関心の向上」、「総合的な満足度」)の学部平均値は、春学期は平成24年度、平成25年度、平成26年度と順に高くなっており、秋学期も平成25年度の1年次を除き順に高くなっている。「総合的な満足度」を例に挙げる。

    I.授業参加の程度
    <春学期> <秋学期>
    H24 H25 H26 H24 H25 H26
    1年次 4.20 4.25 4.28 4.18 4.34 4.24
    2年次 4.05 4.07 4.17 4.01 4.14 4.19

改善に向けての取組(TAを使った授業の導入と運営方法について)

PAGE TOP