経済学部創立50周年記念事業「丹羽宇一郎氏講演会」開催報告

広く海外に目を向け、
諸外国を知ることの必要性を語る丹羽氏


丹羽氏からのメッセージに多くの学生が感銘を受けた

 経済学部では、6月24日(水)、創立50周年記念事業のひとつとして、丹羽宇一郎氏を招聘し、「中国と日本の将来―経済と政治」というテーマで記念講演会を実施した。丹羽氏は、伊藤忠商事の社長・会長を経て前中国駐箚特命全権大使に抜擢され、この6月より新しく「日中友好協会」の会長に就任されている。
本学5号館5302教室が会場であったが、参加者総数320名(経済学部等の現役学生250名、一般参加者40名、教職員30名)で、会場はほぼ満杯、盛況のうちに無事終了した。講演会の後では、経済学部教員との懇談会も実施された。

 今回の講演では、特に若い世代に対するメッセージとして「中国と日本の将来」について語っていただいた。様々なトピックスが取り上げられたが、講演の大きな要点は次のようなものであった。
(1)中国と日本の国民との間には、歴史的な経緯からくる感情的な嫌悪感がまだ強く残っており、正しい情報が互いに行き渡らない中で、不幸な軋轢や衝突が時々発生している。これを軽減するには、両国民が真実を知るための幅広い人的交流(留学、観光・訪問など)を深め、互いが相手の現状と真実を理解する以外にない。
(2)経済的にみて、中国のGDPは日本の2倍を超えた。この巨大市場では、すでに従来の量的拡大よりも質的向上を求める声が日増しに強まっている。日中の経済関係において、この現実は改めて日本にとって大きなチャンスでもある。日本は、製品の質を何より重視する広範な生産技術がまだ一歩先んじているからである。両国がこうした事実をはっきりと認識できれば、互いに大きな経済的利益を共有できる途が開かれている。
(3)現在の日本の若者に対しては、もっと真摯に本を読むことに努力すること、加えて、広く海外に目を向け、諸外国の実際の姿を知るための留学・その他、積極的な行動をとることを強く望まれた。
(4)本学の将来については、京都にあるという立地を生かして、「ホテル・観光学」を中心とする新しい学部構想(会計学、経済原論、マネジメントなどを柱とする)があっても面白いのではないかとの提案もあった。


 講演後、参加者からの質問として、(1)アメリカでのシェールガスの将来、(2)中国経済のバブル化への懸念、(3)中国の所得格差の動向、(4)日本社会の人口減への対策などが出され、それぞれの問題に対するていねいな解説と丹羽氏自身の見通しが披露された。

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