結果分析・授業計画/改善に向けての取り組み(平成26年度 秋学期)

1.結果の総評

 この調査結果は、経済学部が導入科目として重視している「ミクロ経済学入門B」「マクロ経済学入門B」を含む主な講義科目(全51科目)と、導入科目「ミクロ経済学入門B」「マクロ経済学入門B」の演習クラスとして力を入れている「入門セミナーB」の23クラスを対象に実施した2014年秋学期の学習実感調査(Bアンケート)について分析し、まとめたものである。

1. 少人数科目(入門セミナーB)について

 受講生の入門セミナーBに関する満足度は概ね高く、受講生の75%が、この科目の受講により総合的に見て「満足・どちらかといえば満足」と回答した。アンケートの結果から、入門セミナーBは、導入科目(ミクロ・マクロ経済学入門)の演習科目として十分に機能していると評価できる。特に、主体性を持って学んだ受講生は、学びの喜びや成長の実感を持つことができ授業の満足度が高い傾向が見られた(図1参照)。

2. 講義科目について

 講義科目では、アンケートを実施した51講義のうち2科目のみが突出して受講生の評価が高かった。評価の高い講義の特徴は双方向性の高い授業であり(図2参照)、受講生の積極的な学びを引き出すことに成功している。講義科目全体としては、60パーセント以上の受講生が「満足・どちらかといえば満足」と評価した科目が75パーセントを占めるが、それを下回る評価の講義も13科目あった。また、事前事後の学習課題を課し、解説をきちんと行った講義科目は、課題を課さないもしくは課題を課しても解説を行わなかった講義科目よりも満足度が高い傾向があった。今後、受講生の主体的な思考を促す試みを拡げ、また継続することで、多くの講義を改善できる可能性がある。

2.調査結果にみられる本学部授業の課題

1.少人数科目(入門セミナーB)について

 入門セミナーBに関する満足度は概ね高い一方で、学力別に分けたクラスのうち、努力を要する受講生のクラス(レベル1)の多くで授業の満足度が低い傾向がある。詳細を見ると、演習科目との進度の統一が十分でない(演習の授業の進度に、1限のミクロ経済学入門やマクロ経済学入門の講義科目より遅れが出る)、学びの面白さを感じる受講生の比率が低いといった傾向が見られた。教員の力量の問題もあるが、学習に若干の遅れがある受講生のサポートが十分でないことが問題である。レベル1クラスのサポート体制の強化が重要な課題である。

2. 講義科目について

 アンケートを実施した51講義のうち2科目のみが突出して受講生の評価が高いが、そのほかの講義科目の評価は高いとはいえなかった。受講生の「満足」の比率は低く、「どちらかといえば満足」の評価がほとんどであった。「学びの面白さを強く感じた」と回答した受講生の割合も高くなかった。今後の講義科目の課題は、講義科目の魅力を高めることにつきる。教員が、一方的に講義をするのではなく、受講生が主体的に学び、成長を実感できるための工夫が求められる。

3.2の各項目についての改善計画

1.少人数科目(入門セミナーB)について

 レベル1のクラスのいくつかにTAを配置し、数学で躓いている受講生のサポートを進め、1限のミクロ経済学入門やマクロ経済学入門と演習科目との進度の統一をはかる。また、TA導入の結果として、受講生の演習科目に対する理解が進むかどうかを注意深く確認する。

2.講義科目について

 2015年度はまず、学部として受講生の評価が突出して高かった2つの講義の参観を行い、実際の講義から双方向の授業の魅力について学ぶとともに、担当教員から直接、授業の工夫について話を聞く機会を設けたい。また、それぞれの講義科目の担当教員に、参観した授業を参考にした独自の授業改善に取り組んでもらう予定である。
 これまで行った「学習成果実感調査」は入門セミナー(演習科目)の授業改善を主眼に作成したものであるため、今後、調査の質問項目を講義科目の問題点を明らかにできる内容に変更する。講義科目の改善には時間を要するため、各教員の講義科目の改善に向けた取り組みの成果を調査データで確かめながら継続的に改善の試みを進める予定である。

改善に向けての取組(経済学入門・入門セミナー)

改善に向けての取組(導入教育の向上)

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