コンピュータ理工学部の筒井稔教授が
地震発生時に励起された電磁波の検出に成功

 コンピュータ理工学部コンピュータサイエンス学科の筒井稔教授が、地震発生直後の地震波により直接励起された電磁波を地中および地上の両方で検出する事に成功し、地震波と電磁波の振る舞いを解明し、3月17日(月)に開催された関西サイエンス・フォーラム「地震予知研究公開講演会」で発表されました。

 本研究の成果は米国の科学雑誌IEEE Geoscience and Remote Sensing Letters (Vol. 11, Issue 11, pp.1-5, Nov., 2014)に掲載予定です。

掲載論文名

Behaviors of Electromagnetic Waves Directly Excited by Earthquakes
(地震によって直接励起された電磁波の振る舞い)

著者 筒井稔(京都産業大学)

研究概要

 地殻活動により地中で電磁波が励起されるだろうとの仮説の下、筒井教授は本学構内および和歌山県白浜町と串本町に深さ100 mの非導電性のボアホールを構築し、その内部に電磁波センサーを挿入して地中電磁波の観測研究を続けている。1998年から始めたこの研究で、2011年11月までに検出できたのは地上の雷放電による膨大な数の電磁波パルスのみであった。しかし、地中媒質の電気伝導度が検出に影響しているとの考えに基づいて、モニターする周波数を25 ヘルツ以下にする事により、地震発生時の電磁波を検出する事に成功した。両者の波形の正確な時間関係を調べたところ、地震発生後の地震波の伝搬により、大地が揺らされ、それにより大地全体から電磁波が励起されている事が判った。観測の一例を図に示します。

 この電磁波の励起機構を解明するために、花崗岩に衝撃を加える室内実験で、電磁波の検出を試みた。その結果、衝撃印加直後に花崗岩内にはP波が伝搬して行き、その波頭において電磁波が励起されている事を突き止めた。即ち、P波の振動による花崗岩内での圧電効果によって電磁波が励起される事が確かめられた。

 更に観測を続けていて、2013年4月13日に発生した淡路島の地震では、地震波によって励起された電磁波が地上へも容易に放出されている事を明らかにした。

 これらの関係から、地震発生前の地中の活断層の破砕帯では、小石が破壊されると、そこの岩盤では電磁波パルスが励起される事が予想されるので、それらの電磁波パルスの検出に成功すれば、地震前兆現象としての電磁波パルスの検出となり、地震予知の実現に繋がるものと期待されており、それを見つけるために、現在もその観測が続けられています。

京都産業大学の北東約5.6 kmの深さ10 km の 花折断層で発生した地震より、(a)大学構内観測点で検出した地震の東西方向成分の波形。地震波振動により岩盤内で励起され、(b)ボアホール内で検出された電磁波磁界の東西方向成分、およびその僅かな時間の遅れの後に(c)地上で検出された電磁波磁界の東西方向成分。

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