昔と今の傷処置の違い

皆さんは転んで擦り傷ができた時はどうしていますか?

  • イソジン、オキシドール、マキロンなどで消毒する
  • 絆創膏やガーゼを貼って、できるだけ濡れないようにして傷が乾くのを待つ

こういった対処をしていませんか?これらの処置はこれまで常識と思われてきましたが、現在は「湿潤療法」が主流となっています。

「湿潤療法」とは

体が本来持っている自己治癒能力を最大限に活かし、痛くなく、早く、きれいに傷を治す治療法です。 傷ができると、傷口にはジュクジュクした液体(浸出液)が出てきます。この液体の中には“自己修復細胞”がたくさん存在します。被覆材(注1)で傷を保護し、湿らせた環境にすることで傷が治りやすい環境を作ります。

湿潤療法の処置方法

  1. 傷口を水道水でよく洗い、傷表面に付着している細菌を洗い流す。もし、洗浄時に痛みが強い時は生理食塩水を使用する。(水道水1Lに食塩9g程度を入れて作る)
  2. 基本的に消毒はしない。消毒液を使うと細菌だけでなく、傷を治すための細胞も傷害してしまう。ただし、下記のような場合は医療機関を受診する。
    • 縫合が必要となりそうな深い傷
    • 傷の奥に砂やガラスなどが残っている場合(洗い流すだけではとれない)
    • 動物に噛まれた傷など
  3. 創傷部に被覆材を貼付し、浸出液が多い場合はその上からガーゼで保護する。
  4. 1日1~2回、傷口の周囲を洗い、被覆材の交換を繰り返す。 その際、傷口の周りが赤くなる、熱を持つ、臭いがする、腫れやズキズキとした痛みが続くなど症状がある場合は感染が疑われるので医療機関を受診する。

(注1) 被覆材とは創傷を覆う医療材料で、薬局などで購入できます。創傷部に貼ることで、創傷部分の湿潤環境を保持し、疼痛を緩和して治癒を促進するものです。

被覆材の他に食品用のラップフィルムで代用できます。これを「ラップ療法」といい、処置方法や注意点は「湿潤療法のやり方」と同様です。

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