若者に多い急性アルコール中毒

あなたの身近に急性アルコール中毒になった人はいませんか。東京消防庁の発表によると、令和元年度に急性アルコール中毒で救急搬送された人は、東京消防庁管内だけで18,212人です。その内、20代の搬送者は8,802人と約半数を占めています。今回は、若者に多い急性アルコール中毒について、紹介します。
急性アルコール中毒とは
短時間に多量のアルコールを摂取することにより、一過性に意識障害が生じるものです。アルコールを一定量摂取すると、思考や理性を司る大脳が麻痺し、気が大きくなったり、判断力が鈍くなったりします。血中アルコール濃度が0.3%を超えると泥酔期と呼ばれる状態になり、0.4%を超えると、呼吸中枢にも影響し、死に至ることもあります。
急性アルコール中毒の怖さ
お酒を飲み過ぎると何が怖いのでしょうか。泥酔しても寝れば治る、嘔吐すれば酔いも覚めるから問題ないと思っていませんか。急性アルコール中毒の影響として考えられる危険な症状として、以下のようなものが挙げられます。
- 嘔吐後の吐物による窒息
- 低体温症(脳が麻痺し、体温調整ができなくなる)
- 転倒による頭部外傷など(打ち所が悪いと、身体に障害が残る可能性が高い)
- 酩酊状態に陥り、他者へ暴行・暴言・失禁などの迷惑行為を行うことがある
病院に運ばれた後、点滴の針を自己抜去する、病院の備品を壊す、暴言を吐くなどの事例が多数あります。
急性アルコール中毒者への対応

- 1人にせず、誰かが必ず付き添う
- 吐物による窒息予防のため、横向きに寝かせる(回復体位)
- ベルト、ズボン、スカートなどの衣類を緩める
- 体温低下を防ぐため、毛布や上着をかける
- 経口摂取可能であれば水、お茶、スポーツドリンクで水分補給する
次のような症状が見られる場合、迷わずにすぐ救急車を呼びましょう
呼びかけても 体をゆすっても反応がない
体が冷たくなっている
呼吸がおかしい
大量に嘔吐・ 吐血している場合
119番通報!

病棟看護師は見た!
急性アルコール中毒の悲惨さ
症例ごとに対応は異なりますが、病院へ運ばれた後、「アル中」の人は、どのような経過をたどるのでしょうか。次のようなことにならないよう注意しましょう!
- 点滴で補液を行う
- 尿失禁などが見られる場合はオムツを着用させることもある
- 家族や保護者に病院から連絡が入る
- 意識レベルが改善すれば1日で退院となるが、吐物がついた身体や服で帰ることになることが多い
- 病院の物品を壊すと、弁償しなければならないこともある
- 二度と急性アルコール中毒にならないように医師より厳しく指導が入る
アルコールと上手に付き合っていこう

飲酒の無理強い、一気飲みを煽ることはアルコールハラスメントに当たります
人によっては一口のお酒で、重症になる人もいます
楽しく安全に飲酒できるよう心掛けましょう!