Vol.092 馬術部 アレクサンダーさんインタビュー

留学生ながら本学の馬術部に所属し大会に出場するなど、
積極的に日本での生活を楽しまれている
アレクサンダーさんにお話を伺いました。

アレクサンダーさん(交換留学生・ドイツ連邦共和国出身)
アレクサンダーさんは、ドイツ連邦共和国出身で昨年(2015年)9月より、約1年間の予定で日本に留学して来られました。京都産業大学で学ぶ傍ら、早朝5時半から活動が始まる馬術部にも所属し、大会では優勝を果たされています。そんなアレクサンダーさんに、日本とドイツの大学、クラブ活動、習慣などの違いを中心に、留学生ならではの視点からお話を伺いました。

ドイツと日本では、大学のクラブ活動について違いは感じましたか?

まず、日本では大学がクラブ活動に密接に関わっていることに驚きました。ドイツの大学では、クラブ活動とは学生が自ら興味を持ったことに対して、グループを作り活動するだけで、大学がサポートすることはほとんどありません。また日本では、所属するクラブは1つに絞り、その競技だけに集中して活動する場合が多いのですが、ドイツでは、興味を持った複数のクラブに所属し、気分や状況に応じて活動しています。大学でのクラブに対して認識が全く違うものだと感じます。

大学がサポートしないというと、例えば?

資金は自分たちで調達し、可能な範囲内で活動します。場所についても、自分達で手配します。例え大学の施設であっても、使用料を払ったりしました。

強豪校でもそのような感じですか?

ドイツでは、大学はあくまで勉強する場所です。トップアスリートは、大学ではなく、それぞれのスポーツのエリートクラブに所属し、専門のトレーニングを積んでいると思います。全ての大学に当てはまるかは分かりませんが、少なくとも私の知る範囲で、日本のように大学にトップアスリートが集まることはありませんでした。

他に感じた違いは?

資金や施設、スケジュール、目的など全てのことを自分達で考え、責任を持って行っているドイツでは、自立心が養えます。その反面、様々なことをしなければならないので、活動自体に割ける時間がかなり少なくなってしまいます。 日本では、良い指導者がいて、そのうえ良い環境が与えられているので、練習に専念することができ、短期間で実力を伸ばすことができました。ただ、大学に対して全体的に受け身になってしまうことが短所でしょうか。

どちらの方が良いと思いますか?

難しいですね。一長一短だと思います。

言葉の壁はありましたか?

言葉は、特に問題ありません。分からない言葉もありますが、きちんとコミュニケーションを取れば何とかなりますし、日本語の勉強になっていると思います。

文化や習慣の違いで困ることはありませんか?

行動や振る舞いで素晴らしいと感じたのは、お互いに相手に対して尊敬の心を持っていることです。特に目上の方に対しての接し方は学ぶものがあります。
常に先輩、後輩という観念があり、指導者から注意を受けても、言い訳せずきちんと受け止めているように思います。
また日本では、集団行動が身に付いているので、何か出来事があれば、全員で考えたり取り組むことが多くあります。勿論、皆で助け合う気持ちは大切ですし、本当に親切で良い習慣ではありますが、効率が悪いと感じることもあります。それぞれが必要だと思うことに個々で取り組めば効率が良いと思います。これも一長一短ですね。

本学の馬術部の環境はいかがでしたか?

私にとって馬術部の環境は大変良く、大きな家族のようでした。私の日本語は不十分であり、失敗もたくさんしましたが、部員の皆は私を責めることもなく、いつも優しく接してくれました。また、本学の馬だけでなく、上賀茂神社の神馬をお世話していることには驚きました。神馬が大学の馬術部にいるなんて誰が想像できますか。私はすべての馬を尊敬していますが、そのことを知ってからは、メダイヨン(神馬)に対してある種の畏怖の念を抱くようになりました。

先日の「第52回淀馬術大会」で見事優勝を果たされましたが、今後の予定は?

留学前から興味のあった「馬術」は、この大会でいったん区切りをつけました。
今後は、留学の目的でもある「哲学」の勉強に励みたいと思います。9月に福岡で学会が行われ、ドイツでお世話になっていた教授が関わっておられるので、そのお手伝いをする予定です。
また、旅行する時間も作りたいです。せっかく日本に来たのですから、7月の帰国までに出来るだけたくさんの所を訪れたいと思っています。

一つひとつの質問に対して、目を見て丁寧に応えてくださいました。小さな頃から自立心が芽生える環境で育っただけに、自分の考えというものをしっかり持っておられるようです。
今まで、当たり前だと思っていたことが、実は万人にとって当たり前というわけではないということ、また違いはあっても両方に良い面、悪い面があるということを再認識する良い機会となりました。
アレクサンダーさんの、ますますのご活躍を期待しています。

(2016.07.04)

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