Vol.063 茶道研究部 田村 圭亮さん、梶原 大輝さんインタビュー

地域交流や国際交流での茶会開催をはじめ、
裏千家主催のハワイセミナー参加など幅広い活動をされている
茶道研究部の代表者の方にお話しを伺いました。

茶道研究部に入部した動機を教えてください。

田村 圭亮さん(経済・4年次)、梶原 大輝さん(経営・3年次)

田村)高校までは、テニスや剣道といったスポーツのクラブに入っていました。大学に入学した時に、今まで、あまり経験のなかった文化系のクラブに入ろうと思いました。その中で茶道研究部を選んだのは、「せっかく京都の大学に入学したのだから、日本を代表する伝統的なことに触れたい」「教養を深めたい」と思ったことが理由です。

梶原)私は他府県出身で、もともと「京都のイメージ」というものを持っていました。それは、「お寺が多い」や「伝統的なものが溢れている」というような漠然としたものでしたが、憧れもあり、京都らしいものに携わりたいと思っていました。新入部員の勧誘で、何度かクラブを訪れたのですが、回を重ねるごとに興味が出てきたので、入部を決めました。

「茶道」と聞くと、作法が複雑で敷居が高い気がしますが、実際はいかがですか?

田村)確かに、作法にはたくさんの決まり事がありますし、最初は大変です。しかし、作法には意外と合理的な理由があり、深く理解すると納得できることがたくさんあります。また、正座なども最初は苦痛ですが、慣れてくると、平気で長時間座ることができるようになります。

実際に「茶道」を経験してみて、いかがでしたか?

梶原)入部する前は、抹茶とお菓子が好きなので楽しいのではないかという軽い気持ちでしたが、実際には、お菓子や掛け軸、お花などの部屋の装飾などを選ぶにも季節感を大切にしたり、お客様や周りの方々への心配りなど、学ぶことがたくさんありました。

田村)茶道は、お茶をたてて飲むだけ…というように思っている方も多いと思いますが、季節を感じ、茶室という空間や時間を演出することが重要です。また、相手の気持ち、状況を察しておもてなしをするので、常にアンテナを張っていなければなりません。その、習慣は、茶道以外にも役立つことだと思います。
お箸を正しく持つようになったり、お世話になった方へお礼状を書く習慣も身に付きました。

梶原)1つ1つの動作を大切にし、感受性を豊かにする茶道に打ち込むことによって、落ち着きが出てきたとも言われます。

茶道研究部は、幅広く活動されているようですが、具体的な内容を教えてください。

梶原)毎年行う大きな活動としては、春、秋の茶会と1年次生が主体となって行う神山祭の茶会です。また、地域交流や国際交流にも力を入れていて、幼稚園~中学生の方々や留学生に体験会を開催しています。年齢や国籍、文化などによって反応が違いますし、興味の持ち方が全く違い、私たちにも勉強になります。

田村)茶道が大切にしている「礼儀」や「おもてなしの心」は外国の方をはじめ、みなさんが興味を持たれます。「おもてなし」は「サービス」ではありません。お互いの存在を感じ思いやりながら、居心地の良い空間を作り出すことです。

梶原)練習や茶会、準備などを通して、年齢に関係なく人と人の繋がりを大切にすることは、茶道の魅力の1つだと思います。

空間づくりでの工夫とは、具体的にどのようなことですか?

茶室では全ての道具の組み合わせが重要ですが、その中でも掛物(掛軸)が最も空間を演出する上で重要だと言われています。掛物は茶会のテーマであり、メッセージなのです。掛物には様々な種類がありますが、季節は勿論、招待する人や様々な場面に応じて選びます。
季節の道具の代表的な一例ですと、夏には見た目にも涼しいガラスの道具などを選びます。冬は熱が逃げにくい楽茶碗や筒茶碗などを選びます。季節に迎合するのではなく工夫して暑さ寒さを楽しむのも茶道の楽しみの一つではないでしょうか。

梶原)私は、お菓子が大好きなので、個人的に資料館に行ったり、季節ごとにお菓子を食べ歩いたりして勉強しています。京都は、和菓子の技術が優れていて、様々な演出が可能です。暑い時には、葛を使った透明感のあるものや、水の流れを感じる形のものなどを用いますし、寒い時には、お饅頭など丸く温かみのあるもの選んでいます。

田村)本学は、自然に恵まれているので、学内で季節を感じる花を見つけ、生け花の材料にすることができます。また、近くにある上賀茂神社など重要文化財で茶会を開くなど、茶道に携わる者として本当に恵まれた環境だと思います。

田村さんは、今年の7月に裏千家が主催された「ハワイセミナー」に推薦を受け、参加されたとのことですが、日本の茶道との違いはありましたか?

田村)現地の参加者は日系の方が多く、裏千家の茶道を学んでおられる方々なので、作法などに大きな違いを感じることはありませんでした。ただ、茶室に飾る花にハイビスカスや首飾りのハワイのレイなどを使っていましたし、華やかな色使いの茶椀やアレンジされた茶器にも驚きました。しかし、不思議に違和感がなく、ハワイの明るい青空の色や空気が影響するのかもしれないと思います。違う文化の中で息づく「茶道」と触れ合うことは、とても、良い経験になりました。
ハイビスカス
首飾り(レイ)
野点席(ハワイにて)

今後の目標など、お聞かせください。

田村 前主幹(経済・4年次)

田村)クラブ自体は引退しましたが、私にとって「茶道」はとても大切な存在で、今後も関わっていきたいと思い、お茶関係の仕事に就職することになりました。日本では、お茶は身近過ぎて、逆に深く理解している方は少ないように思い残念です。少しでも詳しく知ってもらえるようにしたいです。

梶原)私は、昨秋から田村さんの後を引き継ぎ主幹になりました。自分の事だけでなく、全体に目を配る難しさなど感じると同時に、先輩の偉大さを感じています。また、クラブの活動を通じて、目上の方とお話する機会が増えましたし、緊張することも多くありますが、自主的に新しいことに挑戦することで、多くの発見がありとても充実しています。
また、本学に新しい茶室ができたことにより学外からも注目されていますし、その影響があるのか、今年は通常の2倍ほどの入部希望があり、茶道部には活気が溢れています。
来年は、50周年記念茶会を開催する予定ですので、まず、みんなで協力して茶会を成功させたいと思っています。

クラブの活動を通じて感じたこと、伝えたいことはありますか?

梶原 現主将(経営・3年次)
梶原)誰でも、初めてのことに挑戦するのは、勇気のいることかもしれません。私は、大学に入学し茶道に挑戦しました。その挑戦によって、好奇心を持ち新しい発見がいくつもありました。世界が広がりましたし、人脈も広がり、たくさんの影響を受けることができ、とても良かったと思っています。みなさんも、ぜひ、自主的に行動し、挑戦してほしいと思います。
茶道研究部は、まだまだ新入部員募集中です!少しでも興味があれば、体験しに来てください。

茶道を通じて、様々な経験を積まれたお2人でした。
インタビュー時、田村さんは茶道のイメージどおりの「和装」で、梶原さんは、茶道研究部の主幹とは思えないようなイマドキのスタイルで登場され、驚きました。
服装は違っても、それぞれに茶道への思いは強く、まだまだお話を聞いていたいような気がしました。活気溢れる茶道研究部の更なる飛躍を期待しています。

(2014.09.16)【写真提供:文化団体連盟本部・茶道研究部】

PAGE TOP