Vol.049 自転車競技部 吉岡 直哉さんインタビュー

今回は、大学卒業後に渡欧し、ベルギーのプロチーム
「TEAM EURASIA」で活動される
自転車競技部の吉岡 直哉さんにお話しを伺いました。

大学卒業後、いきなり海外のチームに所属しようと決心されたのには、何かきっかけがあったのですか?

吉岡 直哉さん(法・4年次)
昨年の8月にU23ロード日本代表に選ばれ、欧州遠征に参加する機会に恵まれました。実際に出場してみると、ヨーロッパのチームのレース運びや走り方、駆け引きの仕方などレースレベルの高さに驚いたのと同時に、日本に比べて地域の協力体制が充実していることや一般の方々の関心度が高いことも魅力的に感じました。
沿道からもたくさんの方々に応援していただき、このような環境で自転車競技に取り組んでみたいと思ったので、ベルギーのチームに所属することを決めました。
ヨーロッパは自転車競技の本場ですし、その中でもベルギーはかなり高いレベルの国なので、困難なことは多いと思いますが、選手としてのレベルアップのため、また、目標に少しでも早く到達するために、リスクを承知で飛び込もうと決心しました。

海外生活を送る場合、心配事の1つとして「言葉の壁」が思い浮かびますが、ベルギーのチームでは、どのようにコミュニケーションをはかるのですか?

U23ロード日本代表@欧州遠征
ベルギーでは、公用語としてオランダ語やフランス語、一部ではドイツ語が話されています。そういった言葉はあまり分かりませんが、試合の時に使うのは英語が多くなると思います。今までに、何度も海外遠征を経験して少しは英語に親しんでいるので、何とかなるのではないかと、あまり心配していません。

本格的に自転車競技を始めたのは、高校2年生だとお聞きしましたが、どんなきっかけがあったのですか?

「ジャパンカップ」日本代表として出場
叔父が昔、少しだけ自転車競技をしていて、たまたまレース用の自転車を貸してくれたのがきっかけです。
自転車競技を始める前は、気が向いた時にジョギングをするくらいで、これといってスポーツをしていたわけではありませんでした。

自転車を借りて走った時、運命を感じたのですか?

最初、軽い気持ちで道路を走ってみると、前を走っている人をどんどん抜いていくことができたので「もしかして、自転車競技に向いているのではないか?」と自分でも思いました。一度、自分の力を試してみたくなり、公式大会ではありませんが小さな大会に出場してみると、いきなり上位に入ったのです。更にやる気が出て、公式大会に出場したいと思い、高校の先生に頼み込んで自転車競技部を作ってもらいました。部員は自分1人でしたが、とても楽しかったです。

公式の大会に出場してみて、どのような結果が出ましたか?

自分でも驚きましたが、本格的に自転車競技を始めて2ヶ月でインターハイ出場を果たすことができました。
練習風景
インカレ 団体追抜き
花背峠タイムトライアル

特別な才能があったのですね。

運にも助けられたと思います。前の年のインターハイで京都府が優勝しており、出場枠が多く与えられていたので、出場することができました。自分自身、自転車競技には向いていたと思いますが、運がよく大切な場面でチャンスに恵まれたと感じることが多くあります。

高校時代は200mという単距離を競う「スプリント」、大学では最低数kmの長丁場である「ロード」というふうに種目が変わった理由は何ですか?

大学進学前の春休みに時間がたくさんあったので、思う存分、練習ができることが嬉しくて、毎日毎日ロードを走り続けました。1日140km以上は走っていたと思います。すると、ロードのタイムが急激に伸びて、転向することになりました。

吉岡さんとしては、「スプリント」と「ロード」とどちらが好きですか?

ロードの方が好きです。根本的に「自転車」が好きなのだと思いますが、ロードの方が距離が長い分、自転車に乗る楽しく幸せな時間が長く続く気がするのです。長く続く緊張感やその後に訪れる勝利の喜びも理由の1つかもしれません。

本学の自転車競技部は、強豪校の1つとして数えられていますが、実際に所属してみて感じられることはありますか?

“京都”は、自転車競技をするものにとって、とても環境が良いと思います。まず地形が起伏に富んでいますし、市内からすぐのところに山があり練習がしやすいと思います。
更に、本学のキャンパスは山のふもとにあり、緑が多く、やる気があれば、授業の合間に練習することも可能です。花背峠や自転車競技のレース場にもなっている美山へも練習で出かけることができますし、このうえなく恵まれていると実感しています。
全日本大学対抗選手権大会
全日本学生ロードレースカップ 優勝
全日本学生ロードレースカップ

同学年の木村 圭佑さん(経営・4年次)も日本代表に選ばれ「ツアー・オブ・ジャパン」などの大会に出場されていますが、お互いにライバル心はありますか?

ライバル心というより、良い刺激を与えてもらっていると思います。2人は、レース展開の仕方も性格も全く違うタイプです。例えば、木村君は頭脳を使ってレースを組み立てますし、私はどちらかというと体力勝負で乗り切ろうとするタイプです。得意分野も、木村君は上り、私は平たんな道が得意です。また、木村君はチームのまとめ役を担ってくれていますが、私は人をまとめるのが得意ではありません。全く違うタイプの2人ですが、良い刺激を与えあい高めあえたと思っています。卒業後、彼は日本のトップチーム「シマノレーシング」で選手を続ける予定ですが、お互いに違うチームで頑張れたら良いなと思います。

卒業後、新たな目標に向かって進まれることと思いますが、目下の目標があればお聞かせください。

今年の全日本選手権で入賞、同大会タイムトライアルで3位以内に入賞することです。
大学での競技生活では、全日本学生選手権クリテリウム大会で優勝することができたので、ある程度は満足しています。ただ、学生だけでなく、社会人も含めて“日本一”になりたいという気持ちがあり、その夢を果たすために挑戦し続けたいと思っています。

最後に、これから大学に入学する新入生の方に一言メッセージをお願いします。

「楽しんでください!」この一言です。
クラブ活動に限らず、これから様々なことに出会い、取り組む機会があると思いますが、何をするにも“楽しい!”と思えないと頑張れない気がします。実際、私は自転車が好きで、楽しくてここまできました。辛い練習や乗り越えないといけない壁も、“楽しい!”“好きだ!”と思えるから頑張れる。そして、その先には頑張っただけの成果が待っていると思います。何事も楽しく取り組むことが道を開いていくのではないかと思うので、頑張ってください。

インタビューの最中、吉岡さんはとても謙虚で控えめな様子でしたが、心の底から「自転車が好きだ!」と伝わってくるほど、秘めたる情熱をこめてインタビューに答えてくださいました。海外での挑戦は、とても勇気のいる決断だったと思いますが、自転車王国ベルギーでの経験を積んで、また日本でも活躍する輝いた姿が見られることを期待しています。

(2014.03.07)
【写真提供:自転車競技部】

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