Vol.012 硬式野球部 内田 尚利さん、岩橋 慶侍さん、山田 和毅さんインタビュー

今秋7年半ぶりに関西六大学野球リーグで優勝を果たした
硬式野球部。その中でも特に活躍が際立った
3人の投手陣にお話を伺いました。

プロフィール

  • 内田 尚利(経済4年次)
    178cm 82kg
    右投げ右打ち
    北嵯峨高校出身
    今季は抑えとして緊迫した場面に登板。幾度となく本学のピンチを切り抜け、リーグ戦を通して、無失点に抑えた。
  • 岩橋 慶侍(経営3年次)
    185cm 82kg
    左投げ左打ち
    京都すばる高校出身
    1年次生から登板し今秋はエースとして6勝を挙げるなど、最優秀選手賞、最優秀投手賞、ベストナインに輝く大活躍。
  • 山田 和毅(経済3年次)
    172cm 72kg
    左投げ左打ち
    紫野高校出身
    1年次生時、龍谷大学との一戦で初先発初完封を挙げ、華々しいデビューを飾った。リーグ戦では防御率0.41でリーグトップの数字。

まず、優勝した感想を聞かせてください。

岩橋「今秋は一戦一戦が大切な試合だと感じていました。その積み重ねにより、優勝出来たことは、本当に嬉しいです。また、リーグ戦中、あまり良い勝ち方が出来なかったので、優勝決定戦では絶対完封してやろうと思っていました。1点は取られましたが、勝てて良かったです」

内田「振り返ってみると、この先発の2人が最後までしっかり投げてくれたおかげで優勝ができたと思います。力を合わせて優勝できたことが、良かったです」

山田「優勝できたことは、本当に良かったのですが、明治神宮大会の出場が懸った関西選手権で2連敗してしまったことにすごく悔いが残っています」

優勝の要因はどういったことだと思いますか?

内田「捕手の山崎勇樹(法2年次)がそれぞれの3人の特徴をしっかり理解してリードしてくれたので、とても投げやすかったです。また、山崎だけでなく、野手のみんなが守ってくれるからこそ、僕たちは安心して投げることができ、優勝できたと思います」

山田「気の抜けない試合ばかりだったのですが、投手が調子悪いときは野手が頑張ってくれ、野手の調子が良くないときは投手が頑張りました。今シーズンは、特にチームワークが良かったと思います」

岩橋 慶侍さん
山田 和毅さん
内田 尚利さん

優勝戦の岩橋投手のピッチングを見て、2人はベンチからどういった気持ちで見ていましたか?

内田「ベンチにいても、気迫が感じられましたし、いつもと違う投球を見せてくれました。1点は取られてしまいましたが、それ以外は文句なしの投球でした」

優勝が決まった瞬間、マウンドに駆け寄る瞬間の気持ちを聞かせてください。

内田「優勝が決まった瞬間は、実感がありませんでした。リーグ優勝の経験がなかったので、どうやってベンチ出ていったらいいのかも分からず、少し遠慮しながらベンチから飛び出たのを覚えています」

岩橋「自分は一瞬打たれたと思ったのでヒヤッとしました。チームメイトみんながマウンドに駆け寄ってくれた時に優勝した実感がわいてきました」

岩橋投手は最優秀選手賞、最優秀投手賞、ベストナインに輝き、個人タイトルを独占した感想を聞かせてください。

岩橋「自分としては、春季リーグ戦で5勝を挙げても優勝出来なかったので、今秋は最低5勝以上というのが目標でした。その結果、優勝できたと思います。MVPなど個人タイトルを受賞できましたが、防御率は山田の方が上なので、自分がタイトルを取れたのは本当にみんなのおかげです」

今秋リーグ戦の初戦黒星スタートについて聞かせてください。

個人タイトルを独占した岩橋慶侍さん
内田「初戦は負けたけれど、そこで落ち込むのではなく『次は勝てば良い』と全員がしっかり切り替えることができたので、勝つことができました」

その後、5連勝で勢いに乗るも、第5節の大阪学院大学戦で勝ち点を落とし、優勝戦線から1度後退してしまいました。その時の投手陣の心境を教えてください。

岩橋「第5節は、常に優勝を意識していました。優勝への大切な試合で勝ち点を落としたことは、個人的にもチーム全体としても、気持ちを引き締めるきっかけとなりました」

山田「2戦目に自分が投げて負けてしまいましたが、その時、勝てていればもっと楽に優勝できたと思っています。今、思い出しても、大学での試合の中で1番悔しい試合でした」

優勝へ後がない状態で、龍谷大学との大切な一戦を迎えた時は、どのような気持ちでしたか?

岩橋「気持ちを強く持ち、いつも通りのピッチングをすれば絶対大丈夫だと言い聞かせて挑みました。結果的には、野手に助けてもらって勝てた試合となりました」

山田「自分は2戦目に先発して負けてしまいました。内容は決して悪くなかったのですが、龍谷大学の井口投手の方が上回っていました」

内田「山田が最後まで投げ切ると思っていたので、予想外の登板でしたが、しっかり準備はできていました。ただ、負けた時にもう優勝は無理だと思ってしまいました。後に、まだ可能性残っていると聞いて『全力でやろう!』という気になりました」

岩橋慶侍さん
山田和毅さん
内田尚利さん

3人は伝統の一戦でもある産龍戦について、どのような印象を持っていますか?

岩橋「龍谷大学は、今春、全国ベスト4に入るなど、強いチームとして注目されています。そのような話を聞くと、自分たちも絶対負けたくないという気持ちになります。あと、産龍戦の1戦目の先発には強いこだわりを持っています」

内田投手は昨年の秋に龍谷大学相手に好投を見せました。

内田「自分が大学に入ったころは、龍谷大学が強い印象がありました。けれど、最近は本学がずっと勝っていますし、龍谷大学を押さえて周囲を驚かせたいと思っています。また、産龍戦は関係者だけでなく、たくさんの一般学生も応援に来てくださるので、とても盛り上がりますし、やる気が出ます」

山田投手は、1年次生の龍谷大学戦で初先発初完封をあげ、2年次生の春まで3試合連続完封勝利をするなど抜群の相性を誇っています。

山田「今までに3回完封していますし、関西六大学野球連盟リーグ戦の伝統の一戦なので気合が入ります。また、ナイター戦ということで、自分たちが普段から行っているナイターでの練習が役に立っていると思います」

山田投手は防御率1位と抜群の安定感を誇ったシーズンとなりました。

山田「防御率に関しては良かったのですが、それでも2勝に終わったので、粘り強さが足りないと反省しています。課題としては今季1度中継ぎで失敗してしまいました。これから全国大会などに出場した場合、そのような役割も担うことになるので、中継ぎとしての役割も果たせるようにすることが課題だと思います」

内田投手は、抑えとしてリーグ戦通じて無失点、幾度となく本学のピンチを切り抜けました

「先発の2人が調子の悪かったときに投げるので、自分に課された役目を果たすことに集中しました。収穫としては、最後のリーグ戦で無失点で終えることができたことです」

3投手ともピンチの場面に強い印象がありますが、どのような気持ちで投球していますか?

内田「自分の場合は、基本的にリリーフなので、ひとりで背負い込むことなく、メンタルコントロールして比較的思い切って投げてようと思っています。ここで抑えることができたら自分がヒーローだと良いイメージを描いて投げるようにしています」

岩橋「絶対に打たれなくないという強い気持ちを持っています。自分の力の120パーセントを出すつもりでいます」

山田「自分でもピンチに強いとは思っています。ピンチを迎えたら、萎縮せず思い切って三振を狙って投げ込みます」

これまでの大学生活で1番印象に残っている試合を教えてください。

山田「1年生春の産龍戦です。2戦目で初先発初完封初勝利が出来た試合です。自分自身でも凄いと思いました。同時にこれからもっと頑張ろうと意欲がわきました。緊張しましたが、本当に印象に残っています」

内田「昨年の秋の龍谷大学戦です。8回まで2失点に抑えることが出来ました。あの試合は、当時の4年次生最後の試合でもあったので絶対に勝とうと思っていました。あの時、良いピッチングが出来たので、一皮むけたという実感があります」

岩橋「僕は、2年次生の春季リーグ戦の産龍戦です。先発しましたが打ち込まれて1死もとれずに降板してしまいました。本当に情けなかったです。あの時からもっと内容の濃い練習に取り組みました。自分の大学野球生活のターニングポイントです」

試合や練習などでの3人の思い出などがあれば教えてください。

内田「今秋リーグ戦の大阪経済大学との3回戦で、1試合3人で継投して勝てたことです。その試合が僕の中で良かったというのはあります。どんな形であれ最後に3人で1試合投げることが出来たのが嬉しかったです」

山田「自分達も同じ思いです」

みなさん、どのような練習をしていますか?

岩橋「調子の悪いときはフォームが悪くなるので、フォームを意識して投げ込みます。また、ただ投げ続けるのではなくピンチを想定しながらの投球練習に重点を置いています」

内田「重点を置いたのは柔軟チェックや可動域確認など体のコンディショニングです。抑えなので毎試合、いつ出番がきてもベストの状態で投げられるよう心がけました」

山田「徹底的に走り込みました。強靭な下半身になるように鍛えています」

岩橋投手は今年の6月に大学野球日本代表の選考合宿に参加されましたが、レベルの高い選手ばかりが集まる中でプレーされた感想を聞かせてください。

岩橋「レベルの高い選手達は、常に目標を持ち、しっかり練習をしているという印象は受けました。また、他の強豪校では練習でもノルマが設定されていたりするのですが、本学の投手陣は自主性が重んじられていて練習メニューでさえ自分で決めます。任されている分、自分に一層厳しくしないと強豪校の選手たちに追いつけないと思うので、この冬しっかり鍛えるつもりです」

3人の高校時代の印象に残っているお話を聞かせてください。

岩橋「高校の2年秋まで技術的に良くない投手で、チームメイトからもそう思われていたと思います。でも、2年生の秋の大会後『変わらないといけない』と強く思いました。課題であるフォームを固めるために、つぶれても仕方ないと覚悟を決め、本気で練習し、冬でも1日200球以上は投げていました。その成果が出だし、3年生になってから周りからも認めてもらえるようになりました。この時の頑張りがあったからこそ、今の自分があるといっても過言ではありません」

内田「1年の夏にベンチに入ることができ、その年の秋からは投手ではなく遊撃手として試合に出場していました。投手に戻って2年の秋の大会で敗退した後、高校の監督に当時投げていたフォークを投げることを禁止されました。それが、ストレートを磨くきっかけとなりました。トレーニングもしっかり取り組んで、最後の夏には京都府大会でベスト8まで勝つことができました」

山田「最後の夏の大会でベスト8まで勝ち進みました。その大会で、春の京都大会を制し勢いのあった京都両洋高校に勝った試合が本当に印象に残っています。そのときは投手だけでなく、4番も務めていたので、今でも打撃に自信があります」

3人とも京都の公立高校出身ですが、対戦経験はありますか?

内田「2年生の時に1度、山田とは対戦したことがあります。山田が投手で、僕がバッターです。三振を取られたのを覚えています。スライダーが見えませんでした」

3人は寮生活をされていますが、オフはどのように過ごされていますか?

内田「特に何もしません。あまり長時間外に出たくないので、部屋でテレビを見たり、音楽を聞きながら、まったりしています」

岩橋「リーグ戦中は、あまり遊びませんが、リーグ戦が終わったら、羽を伸ばしてリフレッシュします。」

山田「僕は、実家が近いので実家に帰ることもあります。基本的には、のんびり過ごしています」

お互いのことをどのように思っていますか?

岩橋「内田さんは本当に凄い人だと思います。どんな時でも僕達のことを考え激励してくださいます。もし、僕が内田さんの立場だったらなかなか出来ないことなので、感謝しています。山田は、最初見たとき本当に凄い投手だと思いました。龍谷大学から3試合連続完封する姿を見て、完全に自分の力じゃ足りないなと感じていました。今、やっと追いついたのではないかと思います」

内田「ピッチャーとしては、リーグ戦通して故障などせずにコンディションを保てていたので、2人とも凄いと思います。岩橋は、良い意味でちょっと変わっていますね。悪い意味ではなくて自分のことに真っ直ぐです。山田は、入ってきた時から凄かったけれど、常に負けたくないと思っていました。でも、リーグ戦の結果を見ても山田の方が上だったので、先発を負かされるのは当然だと思いました。また、どんどんこの2人が成長していくにつれて、僕は出番が減ってきました。先発したいと思った時期もありました。最終的には、自分に与えられた役割しっかり果たそうという気になりました」

山田「岩橋は、周りからどんなことを言われても笑って場を和ませたりして、優しい気持ちの持ち主です。今、岩橋は1戦目を任されていますが、ピッチャーをやる以上1戦目に投げたいと目標を持ち、頑張って岩橋よりいいピッチングをして追い抜きたいと思っています。内田さんは、試合でも後ろに控えてくれているし、信頼しています。本当にいい先輩です」

自分の性格について、ピッチャー向きだと思いますか?

内田「自分自身、ピッチャータイプと思ったことはありません。4番キャッチャータイプではないかと思います。また、自分は怒りやすい性格で、1年次生のころはささいな事で、よく同級生に怒ってしまいした。でも、段々意思疎通がはかれるようになり、周りから信頼されるようになりました。最近は怒ることが少なくなり、同級生から丸くなったと言われます」

岩橋「自分ではピッチャー向きだとは思っています。また、普段とマウンドの時とは全然違うと自分でも思いますし、周りからもよく言われます。常に負けたくないという気持ちを持っていて、負けず嫌いだと思います」

山田「自分も人一倍負けず嫌いです。物心ついた時から、誰よりも1番上に立ちたいという気持ちは強かった記憶があります。精神的に強いという意味ではピッチャータイプです。反面、常に謙虚でありたいという心も持っています」

プロ野球選手で憧れの投手像を聞かせてください。

山田「ダルビッシュ投手です。あれだけ良いピッチャーと言われているのに謙虚なところに惹かれます。技術面でも精神面でも優れたピッチャーになりたいと思っています」

内田「高校の時、阪神が優勝したこともあって、藤川球児投手にすごく憧れています。1イニング、3つのアウトにかけるピッチングが凄い。球威や変化球等、魅力溢れるピッチングに惹かれました」

岩橋「プロ野球の選手は、1人1人長所があり参考にしていますが、特にロッテの成瀬投手に憧れます。成瀬投手は球速は135キロですが、キレという自分の武器を最大限いかして勝負しています。自分の持ち味を最大限に使えばプロでも通用できることを見ていると、自分の武器をしっかり磨いて勝負しよう思いました」

プロへの思いを教えてください

岩橋「プロ野球選手になりたいと思っています。今回の大学野球日本代表の選考合宿に参加してみて、自分のやってきたことは間違ってないと確信を持ちました。目標を1つずつクリアして、さらに成長してきたいと思っています」

山田「自分もプロ野球選手になりたいと思っています。僕は岩橋と違って日本代表候補に選ばれていませんし、勝ち星もなかなか挙げられていないので、可能性は低いと思います。でも、プロ野球選手は子供のころからの夢なので諦めずに頑張っていこうと思います」

最後に今後の目標をお聞かせください。

岩橋「個人的には、体もひとまわり大きくし、もっと直球を速くして、今の自分の成績を上回れるようにしたいです。大学では最後の年となるので、全ての試合に勝ち、全勝優勝を狙っています」

山田「来年は、1戦目で先発できるようにしたいと思っています。今季、チームは優勝できましたが、個人的にはまだまだ足りないところがあります。しっかり練習をして、リーグ優勝は勿論、全国の舞台で良い投球を見せたいと思っています」

内田「卒業後もクラブチームで野球を続ける予定です。今のままでは社会人のレベルでは通用しないと思っているので、もう1回鍛えなおして、社会人に通用する選手になるということが目標です。」


インタビューを終えて

3人ともマウンド上でのクールな雰囲気とは違って、明るく気さくに取材に応じてくれました。しかし、「誰にも負けたくない」という言葉が度々出てくるように、勝負に対する強い気持ちが垣間見られました。その強靭な性格が投球へとつながり、本学の秋季リーグ優勝へ導いてくれたのだと思いました。これからも3人の活躍に目が離せません。

(2012.12.05)
【記事 体育会編集局:岡田賢(経済 3年次)】
【写真 体育会編集局:長野稜(法 3年次)

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