中国・華東師範大学(交換留学)

文化学部 国際文化学科 3年次 向井 寛也さん

留学種別:交換留学
留学先:中国・華東師範大学
留学時の学年:3年次
担当留学アドバイザー: 久米 裕子 教授

留学のきっかけ

中国語の先生に行ったほうがいいよと勧められたことと、中国人の友達からおいでよと言ってきてくれたことがきっかけでした。元々中国という国に興味はありましたが、一年留学に行くつもりはありませんでした。ただ、6月に日本中国友好協会の〈日中友好大学生訪中団〉の団員として、中国に初渡航し、中国でとても良い思い出を作り、中国のことがより好きになりました。そのことを中国語の先生にもお伝えしてみたところ、一年留学してみるのはどうかと勧められました。先生は、訪中団では中国でいい思いしかしてこなかったかもしれないけれど、一年間いるときっと悪い思いもするはずだ、その悪い部分もすべてひっくるめて中国のことを好きになれば、より中国のことが好きな人間になれるよと仰ってくれました。その後考えた末、先生に言われた通り、中国の悪い部分も見てこよう、その上で悪い部分もすべてひっくるめて中国のことを好きになって帰ってこようと思い、8月に一年留学に行く決意をしました。また、留学に行くかどうか迷っている際、中国人の友達にも相談してみたところ、是非おいでよと言ってくれたので、これは行くしかないと思ったのもきっかけの一つです。
完全に自分の意思で行ったわけではないので、自分の意思で留学に行こうと決意した人に比べると情けないかもしれませんが、このように周りの人たちが自分を留学に導いてくれたのは今でもよかったと思っています。

留学先国、大学を選択した理由

元々中国という国は好きでしたし、興味もありました。なので、留学先国は中国・台湾以外は考えませんでした。中国に興味を持ち始めたきっかけは第二言語で中国語を選んだからです。選んだ理由は特になくなんとなく選んだのですが、勉強してみるとそれがとてもおもしろく、勉強していくうちにどんどん中国語にハマっていきました。自分が本気で勉強していると中国語の先生などの自分の周りの人たちからも、「君がそこまで本気で勉強するなら、こっちもとことん背中を押してあげるよ」と言わんばかりにたくさんサポートをして頂きました。先生が京産大の中国人留学生との交流会をひらいてくれたりと周りのサポートもあって、中国語学習がより楽しいものになりました。留学先の大学を選んだ理由は二つあり、一つ目は上述のきっかけにもあった通り、華東師範大学に友達がいたからです。この友達とは2018年の3月に京都産業大学と華東師範大学との交流会をきっかけに友達になりました。この友達が是非ウチの大学へと言ってくれたのでこの大学を選びました。二つ目は、私は留学初心者だったので、初めて中国へ留学をするならば、選択肢の中で一番都会である上海がよいのではという先生からの助言もあってこの大学を選びました。大学で選んだというよりは、都市で選びました。友達がいたからという理由と都市の都会度合いで選択したので、台湾を選ばなかったという理由は特にありません。自然と中国を選びました。

留学先大学での授業・学習内容・試験・課題について

授業はとても楽しく、毎回毎回が楽しみでしかたありませんでした。留学を振り返って、何が一番楽しかったかたいうと授業だったかもしれません。毎回毎回が楽しみで、授業を受けたくてしょうがなかったので、おかげで一年間を通して一度も授業を休みませんでした。朝から大好きな中国語を勉強できる日々は幸せでたまらなく、毎朝ルンルン気分で教室に向かいました。朝、教室に入って世界各国からのクラスメートと交流する日々はとても刺激的でした。授業が好き過ぎたので、気がつけば授業のない土日よりも授業のある平日のほうが好きと感じられるようになっていました。特に春学期の口語の授業がおもしろかったです。春学期の口語の授業では、先生が教科書に載っている文の空欄部分を自分で考えてきなさいという宿題を課すのですが、その空欄部分をクラスの何人かが大喜利感覚で面白い文を考えてくるのでおもしろかったです。私はその時間を毎回楽しみにしていました。私も家で夢中になって答えを考えましたし、その答えを考えている時間も楽しかったです。また忘れられないのは華東師範大学の先生方です。どの先生も優しくとてもいい先生ばかりでした。特に私は春学期の口語の先生が大好きでした。とても気さくな先生で、楽しそうに授業をされるので、受けているこちら側もとても楽しかったです。授業をされる先生も楽しそうで、受けている側も楽しかったのでウィンウィンの授業でした。この先生に関して忘れられないエピソードがあります。それは、春学期の授業中に、“何をしているときが楽しいか”という話題になったときに、みんなが「サッカー!」や、「ゲーム!」や、「スイーツを食べてるとき!」などとて口々に答えていく中で、誰かが先生に「先生は何しているときが一番楽しい?」ときくと、先生は「私?うーん、私は、仕事してるときが楽しいかな?中国語を教えるっていうこの仕事が楽しいっ!」と答えました。「職業病かな?えへへ~♡」と笑っていらっしゃいましたが、私はお仕事が楽しいと言えるこの先生がとても理想的だなと思い、仕事が好きと仰ったことがとても印象に残りました。学習内容については、春学期はリスニング、閲読、口語の三種類、秋学期はリスニング、閲読、口語、総合の四種類でした。すべて語学の授業といっても、授業を通して様々なことを学ぶことができたと思います。試験は中間試験と期末試験がありました。リスニングの試験はHSKの内容に沿ったもの、閲読と総合は教科書の内容に沿ったもの、口語は先生が作成した問題でした。リスニング、閲読、総合は筆記試験で、口語は口頭試験でした。試験にまつわるエピソードが一つあり、春学期の口語の期末試験のときに、試験内容がクラス内で二人一組になってペアを作り、店員さんとお客さんのように役を割り振り、寸劇をするといったものでした。私は仲の良いフランス人のクラスメートとペアになり寸劇をしました。その際、ただ寸劇をするのではなく、小道具なども用いて行いました。特にお客さん役の私が小道具で日本円を出したときは、先生は日本円を初めてみたとのこともあってとても面白がっていました。フランス人のクラスメートと協力して寸劇を完成させることができたことは留学中の忘れられない思い出になりました。

滞在先について

滞在先の寮はお世辞にもあまりきれいではありませんでしたが、学校の中に所在しているということもあって、食堂や教室に行きやすく、生活はとても便利でした。教室まで徒歩10分以内で到着することができました。学校の敷地の中に住むというのは日本ではあまりないので、日本人の私からしたらとてもおもしろかったです。

留学先国や大学の雰囲気について

日本に帰ってきて思ったことは、日本が元気ないなということでした。それほど中国という国は元気のある国だと思いました。元気があるというのは具体的にはどういったことかというと、クルマやバイクのクラクションが日本よりも鳴り響いていたり、繁華街では店頭で大音量の音楽を鳴らしていたり、レンタルサイクルを解錠する音も街中には鳴り響いていたり、夜になれば路上でダンスする人がいたりなど、活気に満ちあふれているなと感じられることがたくさんありました。日本人からすると、そういったものは活気に満ちあふれているというよりはうるさいと感じられるかもしれませんが、一年中国にいた自分からするとそれをうるさいとは感じず、むしろ元気がいいと感じられます。中国よりも比較的静かな日本に帰ってくると、自分は逆に元気がなくさみしいと感じられました。自分の留学していた華東師範大学については、キャンパスがとても大きいこともあって、穏やかでのびのびした雰囲気が感じられました。学生も非常に穏やかな感じでした。またキャンパス内は芝生の広場やバスケットコートやテニスコートなどもあって、雰囲気はとても開放的でよかったです。

友人関係について

友人関係については、こだわりと反省点と成功点の三つにわけて書いていきたいと思います。まずこだわりについてですが、私はせっかく留学をしているのだからもっと海外の人と関わっていき、外国人の友達がほしいと思っていました。外国人の友達ができると、話すときも日本語ではなく中国語になり、会話をするだけでも中国語の勉強になるのでメリットもたくさんあります。逆に日本人同士で一緒にいすぎると日本語を話してしまい、中国語の勉強にもならないので、あまり日本人同士では一緒にいないでおこうと思っていました。次に反省点ですが、留学全体を通して、友達ができなかったわけではありませんが友達は少ないほうだったと思います。留学を振り返っても一人で行動することが多かったです。ご飯もよく一人で食べました。あまり仲間内というのができなかったように思えます。全体的に交友関係が狭かったような気がするので、もっと交友関係を広げたかったです。一人でご飯を食べているときや、一人で歩いているときにふと、あれ、どうして自分は一人なんだろうと思ったり、自分には一緒にいる人が誰もいないのかと思ってしまったり、複数人で歩いている人を見るとちょっとさみしくも思えたりもしました。複数人でバスケやサッカーなどをしている人を見ると、いいな、複数人で何かするって楽しそうだなって思ったりもしました。ヒマになったときに、誰か誘ってどこかに遊びに行こうと思ってもちょうどいい人がいなかったりしてさみしい思いをすることもありました。友達がそこまで多くできなかった原因は、クラスがそこまで打ち解けていないクラスだったからだと思います。クラスメートと一緒にご飯を食べに行ったり遊びに行ったりすることが少なかったです。それと前述の通り、私はもっと海外の人と関わっていきたいと思っていましたが、周りは私と同じスタンスの人が少なく、同じ国同士の人たちで関わっていることが多かったです。海外の人とより関わっていきたいといったスタンスが却って逆効果になってしまったのかもしれません。最後に成功点ですが、留学生活後半に、学校の遠足を通して、いろんな国の人を交えたグループができました。グループの内訳は、日本人が自分含めて三人、ハンガリー人が二人、イギリス人が一人、インドネシア人が一人、アメリカ人が一人、ミャンマー人が一人というグループでした。このグループで留学後半のわずかな時間でしたが、カラオケにいったり、食事にいったりもしました。このグループ内では全員中国語を話します。世界各国の人たちがどこの国の言語にも寄らずお互いが譲り合って中国語を話すこの状況は、中国における理想の国際交流だと私は思いました。留学後半にグループができたということもあって、帰国後も連絡を取り合っています。ハンガリー人の友人に到っては京都に遊びに来てくれました。このように留学が終わってからも途切れない絆ができたということは私の留学生活の誇りに思えるものの一つだと思います。留学中にできた友達というのはかけがえのないものだったと帰国してからもしみじみと思います。私の海外の人ともっと関わっていきたいというスタンスを貫き通した結果がこのような交友関係へと発展したので、自分のこのスタンスを貫き通してよかったです。

苦労したことや大変だったこと

いろいろありましたが、留学全体を通して苦労したと思ったことは、自分の留学経験に付加価値をつけることです。これが一番一年間の留学を通して苦労したことなのではないかと思います。留学というのはどんな人でも一年行って帰って来ればもうそれは留学です。ですが、その過ごし方や、中身、どんなことを勉強したのかなどは全員違います。留学経験をというものは人と差をつけなければならないものだと私は思うのですが、何をすれば、どう過ごせば価値ある留学になるか、人と違う留学になるか、人と違う経験ができるか、これを追求するのがけっこう難しかったりします。行って勉強して帰ってきましただけだと面白みがないですし、それは誰にでもでき、みんなと同じになってしまいます。そこで留学にどう自分で付加価値をつけられるかが留学経験ポイントになってくるのではないかと思います。これに私は悩み苦労しました。答えが出たかどうかはわかりませんが、私なりに考え出したのは一日一日を濃く、大切に過すこと。これを意識していこうと思いました。例えば具体的にどのようなことをしたかと言うと、私はほぼ毎日の食事を学校の食堂で食べていたのですが、その際、ただ食べて終わりなのではなく、食べたご飯の料理名、値段、点数、五段階評価、感想など記録をノートにつけていきました。一日一日の食事でさえも大事にしていきたいという思いからこのようなことを始めました。記録が重なっていくにつれて立派な食堂のデータブックにもなりました。それをクラスメートと一緒に閲覧したりもしました。このデータブックはクラスメートからの評判もよかったです。小さなことかもしれませんが、食堂のご飯を食べてデータブックをつけていくなどは他にやる人はあまりいないと思うので、自分だけの留学経験をつくることができたのではないか思います。一日一日を大事に過していきたいという思いからつけ始めた食堂のデータブックが、自分だけが描くことのできる留学経験になり、結果として付加価値にもなったのではないかと私は思います。

課外活動(ボランティア・サークル等)について

留学中はボランティア活動も行いませんでしたし、サークルにも興味のあるものがなかったことと、周りの人たちもあまり加入している人が少なかったので加入しませんでした。ただ、今思うと、加入しておけば、またそこで交友も増えたかもしれませんし、留学生活をより充実させることができたかもしれなかったので、何か加入しておけばよかったと後悔しております。

留学経験から得たこと

留学経験から得たことは、中国語で世界の人たちと通じ合うことができるということです。私は留学中に出会った人たちとはすべて中国語でコミュニケーションをとっていました。中国語好きの私からして、この感覚はとてもたまりませんでした。中国においてだけかもしれませんが、中国では中国語があれば世界各国の人と通じ合うことができるということを私は中国留学を通して得ました。

これから留学する方へのメッセージとアドバイス

お伝えしたいことはたくさんありますが、留学中私が一番意識していたことは、留学中は何もかもが中国語の勉強です。授業だけが語学の勉強ではありません。食堂のおばさんからも、寮のおばさんからも、道路工事のおじさんからも、コンビニの店員さんからも、タクシーの運転手さんからも、公園のベンチに座っているおじいさんからも、地下鉄の駅のアナウンスからも、地下鉄に乗ったときの中国人同士の会話からも全てを中国語の勉強に役立てることが出来ます。どんなところからも中国語を吸収していってください。留学中というのはコンビニに行くだけでも、「袋子要不要?」というようなワンフレーズワンフレーズが中国語の勉強になります。これは中国に限らずどこの国もそうだと思います。このようなことは教科書にも載ってないですし、学校でも教えてくれないことだと思いますし、現地でしか学べないことでもあると思います。このようなことを学ぶことこそ留学の醍醐味なのではないかと私は思いますので、現地でしか学べないことを現地でしかできない学び方で学んでみてください。今述べたことはきっと中国語だけではないと思います。どこの国の語学留学者もこのような姿勢は大事だと思いますので、このような姿勢で留学生活を過ごしてみてください。私は中国のエスカレーターに乗ったときは、エスカレーターのアナウンスをいつも意識して聞いていて、シャドーイングの要領でブツブツとそのアナウンスを唱えていたので、今ではそのアナウンスが空でペラペラと言えるようになりました。他には、信号待ちなどで立ち止まったときは、自分の隣の人が何をしゃべっているのかよく盗み聞きをしたりもしていました。そのようにして街中でも中国語力を高めていました。このスタンスの甲斐あって街を歩く中国人が何を話しているのかがだんだんとわかってくるようになりました。このスタンスをとり続けた影響で、日本に帰ってきてから道行く人が全員日本語をしゃべっているのが逆に気持ち悪いと思えたほどです。気持ち悪いと思えてくるのはここまで感覚が狂うほど街中での中国語学習に力を入れた証拠なのではないかと私は思います。本気で語学を伸ばしたいと思っている人は、留学中はこのようになんでも耳をたてて聞いてみるといったスタンスをとってみることをオススメします。語学留学者は、上手くなりたい!という向上心を絶やさずに貪欲に学習し続けてください。

今後の進路や目標等

私はこれから進路を決めていきますが、これから進路を決めるにあたっては「やる気と向上心を持ってとりくめるもの」「楽しくて仕方のないと思えること」このような指針で進路を決めていくことができればいいなと思います。先述の通り、私は、留学中は授業が楽しくて楽しくて仕方がありませんでした。留学で味わったあの楽しくて楽しくて仕方ないという感覚、毎日ルンルン気分で教室に向かっていたあの日々が忘れられません。あのような気分で教室に向かうことができたのも、授業を受けたい!中国語が上手くなりたい!というやる気と向上心があったからこそ実現できたのだと思います。また毎日が楽しくてしかたなかったという思いも私の留学中の中国語学習の原動力にもなりました。時々、しんどい、やる気が起きないということがありましたが、やはり大好きな中国語なので授業に行く足だけはとまりませんでした。それに教室に着いたら自然と今日も頑張るぞという気持ちに切り替わっていることが多かったです。このようにやる気と向上心というのは非常に大事なものだと留学を通して気づかされたので、将来の進路を考えるにあたっても、やる気と向上心は大事にしていきたいと思います。また、私は何もかも嫌々やっているようではいいことがないと思っています。私の中国語学習も嫌々やっているものではなく、やりたいからやっているものでした。将来の進路を決めるにあたっても、自分が嫌々やらされるものではなく能動的な姿勢で取り組めるものを選びたいです。もう一つ、授業についての項目でも書いた通り、私は春学期の口語の先生が、仕事をしているときが一番楽しいと仰ったことがとても印象に残っています。私はお仕事が楽しいと言えるこの先生がとても理想的だと思い、この先生のように"仕事が好き"と言える大人に憧れました。この先生のように自分も将来"仕事が好き"と言うことができたらいいなと思います。
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