ダブリンでの経験

海外留学特別奨学金報告書

氏名 北野 流透
学部学科 外国語学部英語学科イングリッシュキャリア専攻
渡航先 グリフィスカレッジ(アイルランド)
渡航期間 2022年9月〜2023年7月

留学のきっかけ

英語力向上とジャーナリズムを学びたいと考えて留学しました。新型コロナウイルスによって休止していた留学プログラムが、私が3年生の時に解禁され、「留学に行くなら今しかないんだ」という気持ちになったことも決断する上で大きかったです。アイルランドのグリフィスカレッジを選んだ理由としては、当時から現在までメディア業界やジャーナリストに強い憧れを持っており、将来は英語を活かしながらメディアや報道に携わりたいと考えていました。そのため英語圏であり、メディアやジャーナリズムを専門とする学部で学べる留学先がいいなと考えており、グリフィスカレッジはこの2つの条件を満たす唯一の大学でした。

留学に向けて

留学に向けては、英語学習(IELTS)と履修している授業に力を入れました。英語学習は、海外の大学に行くことを想定した内容を学べるIELTSの勉強をしました。IELTSの勉強は、留学に行ってからライティングやリーディングの面で非常に役に立ったと感じました。授業内では、留学生と受けていた授業で、留学先で周りの学生について行けるように、その授業内でも積極的に取り組みました。

留学準備

上記の通り、グリフィスカレッジで学部の授業を履修したいと考えていた私は、学部留学のために他の留学先よりも高いIELTSのスコアが必要で、4技能をどれも欠かすことなく伸ばすために努力しました。スピーキングに関しては学内のグローバルコモンズで行われているDiscussion in Englishというイベントの参加とファシリテーターとしての運営が効果的だったと感じています。他3技能についてはIELTSバンドスコア7.0を目指す教本で問題形式を理解し、過去の問題集で高得点が取れるまで練習しました。特にライティングは勉強にとても時間がかかり、高得点を取ることも他の技能より難しいため、重点的に対策するといいと感じました。IELTS対策の結果、学部留学に必要なスコア以上のスコアを取得でき、無事留学への切符を手に入れました。

ダブリン

活発なアイリッシュパブ文化と豊かで美しい自然が共存する小さな町でした。金曜日や土曜日は町中のパブに人が集まりライブミュージックとともにお酒を楽しみます。驚いたのは緯度が高いため、6月の時点で夜の11時半ごろまで空が薄明るく、日がとても長いことです。冬は寒いですが、別段日本と比べてとても寒いということはなく、春や初夏にかけても暑さを感じることはほぼなかったので比較的過ごしやすい気候だと感じました。
アイルランドは英語が公用語ですが、アイリッシュアクセントと呼ばれるように、英語になかなか強いアクセントがあります。イギリス英語ともまた大きく違うゲール語に由来するアクセントは、アメリカ英語とイギリス英語を主に学んできたのでリスニングに苦労することが多かったです。特に年齢の高い男性はアクセントが強くホストファザーにはゆっくりと話してもらう必要がありました。
ダブリン1有名なパブ、テンプルバー

グリフィスカレッジ

グリフィスカレッジはとても国際的な大学で、世界中から学生が集っていました。イタリアやフランス、スペインなどのヨーロッパ各国に加えインド、中国、ナイジェリアやアメリカなどからの学生も多く、世界中の人と交流することが出来ました。その反面、アイルランド出身の方はあまり多くなく、私のような外国人の学生の方が多数派でした。学部もビジネスや法学のほかにジャーナリズムや音楽、デザイン専攻などもあり、専門性が高く珍しい学部が多くあるように感じました。いろんな国からの留学生が英語を使って生活するので、異文化理解の観点はもちろん、さまざまなアクセントの英語に初めて触れることができ、英語の国際言語的な側面を強く意識するようになりました。

授業

私はjournalism and media production というコースに在籍しており、Communication Historyというコミュニケーションに革命をもたらした印刷、新聞、ラジオ、テレビ、インターネットなどの発明の歴史を学びながら「人々の新たな社会へのニーズを受けてコミュニケーションの発明は生まれるのか、新たな発明が生まれた後に社会がその影響を受けて変わっていくのか」という疑問を検証していく科目などの講義的な授業と、実践的な授業もとても多かったです。例えば、writing for media というニュースの論評や作成の授業では、実際に一次情報を含んだ情報収集に行き、自分が掴んだ情報を使ってニュースと特集記事を執筆しました。Photography 1 と2では最初の授業からカメラを持たされ学外に出て操作方法を学び、最終的に自分で課題写真4枚のコンセプトを決めモデルに撮影協力を依頼し、撮影、その編集まで行いました。他の専攻の学生も交えて一つの雑誌を制作するVisual Communication の授業では、先生はほとんど内容や制作に干渉せず学生自らが取材内容を決め、広告枠を販売しデザインや校正、さらには実際の出版に至るまでを行いました。この授業で完成した雑誌を学内で人々が読んでいる姿を見たときはとても達成感を感じたのを覚えています。一緒に授業を受けていた学生はすでに明確に「スポーツキャスターになる」や「写真編集者として活躍する」といったような将来のビジョンを持っており、それに伴って授業も専門的なものが多いのではないかと感じていました。

ホームステイ

私は約一年間アイルランド人の家族のお宅にホームステイをしていました。場所はダブリンの市内中心地からバスで40分ほど移動するような郊外で、とても自然が美しい場所でした。清潔な家に暖かいホストファミリーに迎えられ市内を案内して下さったり、ファミリーの別荘に連れて行って下さったりと、最初のセメスターで不満などがほとんどなかったので、交渉して期間を延長させていただき二学期目も滞在しました。一学期目はトルコからの留学生とブラジル出身の女性の方とハウスメイトになり、大学外でもアイルランド以外の方とも国際交流ができるのはホームステイの魅力だと感じました。
二学期からハウスメイトになり、5か月ほど共に生活したネパールとモンゴルからの留学生とは一生の友達と言えるほど仲良くなることが出来ました。休みの日に一緒に外出したり旅行に行くだけでなく、私には自室がありましたが、時間が空いているときは彼らの部屋で一緒にゲームをしたり映画を見たりしていたので、ほぼずっと一緒に過ごしていたと思います。とても暖かいファミリーでしたが、やはり他人の家に滞在させていただくうえで自由にできない部分や意見がぶつかることもあり、そんなときも支えあえるハウスメイトでした。

ホリデー

ヨーロッパの学校は基本的に12月後半から新年1月にかけて大型の休みがあり、その間にハンガリー、オーストリア、チェコ共和国、ドイツの4か国に行きました。それぞれクリスマスシーズン中だったので、どの国でもクリスマスマーケットやイルミネーションを楽しむことが出来ました。ヨーロッパの各国間の移動は飛行機も安く、陸路でも移動できるので、安いホステルに宿泊すればかなり節約しながら旅行することが出来ました。ヨーロッパ各国でその国の言語の最低限の挨拶と英語さえ喋ることが出来れば観光できることが分かり、次の旅行にもつながるいい思い出になりました。
1月にはイギリスのロンドンとウオーリックに行き、観光と後述するインターンシップを体験しました。
アイルランドにもダブリン以外にも観光地があり、海沿いのカラフルな家で有名なコーブや北アイルランド沿岸部の六角錐状に連なる岩が特徴的なジャイアンツコーズウェイなどにはハウスメイトと一緒に行きました。
最後にアイルランドから日本に帰国する際、イタリアのヴェネツィア、ローマ、ナポリの3都市、フランスのパリ、スペインのバルセロナ、ギリシャのサントリーニ島とアテネ、最後にトランジットがてら観光をし、計10か国をめぐることができ、ヨーロッパ留学の醍醐味でもあるヨーロッパ周遊が出来ました。

ロイター通信へのインターンシップ

新年あけてすぐの1月中旬からメディア業界の中でも世界の報道機関に情報を届ける通信社であるロイター通信に興味を持ち、ロンドンで3日間のインターンシップに参加しました。日本のインターンシップとは違い、参加者は私一人で、インターン生のために用意された特別な内容ではなく普段の仕事を見学させていただくようなもので、当時たまたま行われていたBAFTAというイギリスのアカデミー賞の新人俳優賞発表セレモニーの取材に同行させてもらい、憧れのジャーナリストの仕事を一番近くで見学させていただきました。取材が終わるとすぐに近くのカフェに駆け込みパソコンを開いて編集を始めながら一秒でも早く届けないといけないと言う姿を見て、ジャーナリストに対する憧れはより一層強くなりました。
本部に戻り自分が立ち会った瞬間が全世界のメディアにより報道されているのを見たときはとても感慨深い気持ちになり、いつか私もロイターの人々のような情熱のあるジャーナリストになりたいと思いました。

将来

帰国したのが四年生の7月で、留学中は留学生活に集中しており就活はしていなかったので、一年間の休学をはさんで2025年の春に卒業と就職ができるように現在就職活動をしています。留学前から一貫して憧れていたメディアやジャーナリズムの仕事を第一の目標にしていますが、グローバルコモンズでのディスカッションイベントでの経験や塾講師のアルバイトの経験などから、英語教育や英会話の業界にも興味があります。どちらにせよ、この留学経験で得た英語力か1年間ですがメディア関連の学習経験を活かせる職業に就くことを目指しています。

まとめ

留学先で学びたかった学部で学べたことや一生の友達を作ることが出来たこと、最後にロンドンのロイター通信で勇気を出してとても貴重な経験が出来たことは人生の中でとても意味のあることでした。海外での生活を通して日本での生活を見つめなおすことが出来たのも、この一年間の生活で得た物の1つです。
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