ポーランド 国立アダム ミツキェヴィチ大学

外国語学部 英語学科 イングリッシュ・キャリア専攻 岡 由希さん

留学先 ポーランド 国立アダム ミツキェヴィチ大学 民俗言語学科
留学期間 2016年9月~2017年7月
留学アドバイザー 外国語学部 アマンダ・ギリス教授
出身高校 香川県立 高松桜井高等学校

留学のきっかけ

私が英語に初めて触れたのは、小学校低学年の時でした。友人に誘われ、一緒に英会話スクールに通い始めました。だんだん英語が分かるようになるにつれ、英語を好きになり、英語を話すことや勉強することが楽しくなりました。中学生、高校生の時には、英語スピーチコンテストにも三度出場しました。コンテストで賞をいただいたりすることもあり、英語という言語が自分の中で次第に大きな存在になっていきました。また、この頃から自分の英語力に納得いかないと感じるようになり、さらに高みを目指したいと考えるようになりました。自分の中ではっきりと留学を意識し始めたのは、高校二年生の時です。アメリカからの留学生と関わる機会があり、一緒に出かけたり、英語のレッスンを受けたりしたのですが、自分の伝えたいことを上手く伝えることができず、とても悔しい思いをしました。それと同時に、海外へ行ってもっと英語を勉強して、自分の気持ちを表現できるようになりたい、もっとたくさんの外国の方たちと関わりたいという気持ちも芽生えました。それ以降は、進学する大学を考える際に、各大学の留学プログラムについても意識して調べるようになりました。

留学に向けて

大学入学後は、日々の英語の授業はもちろんのこと、試験対策をしている特別英語の授業を受講するなど、英語力の向上に力を入れました。また、留学に必要なIELTSのスコア取得のための勉強や対策にも励みました。一回生の時は、自分の人生で一番勉強した、と自信をもって言えるほど勉強漬けでした。また、大学入学直後から、積極的に留学説明会に参加したり、留学春祭などに行って先輩方のお話を聞いたりして、留学についての情報収集に努めました。私は、金銭的な問題もあって留学するなら交換留学、と親と約束していたので、交換留学することを目指しながら、各協定校の留学時期や授業内容についても詳しく調べました。国際交流センターの方や英語学科の教授の方々にも相談しながら、一回生の秋ごろには応募する大学を決定しました。

なぜポーランドなのか

なんで英語留学なのにポーランドに行くの?と多くの方に聞かれました。私が、非英語圏に英語留学を決めた理由は主に三つあります。まず一番の理由は、周りに日本人があまりいない環境で英語を勉強したいと思ったからです。一回生のときに英語海外実習で三週間ほどイギリスに短期留学した際、クラスメイトのほとんどが日本人で、休み時間にはよく日本語が飛び交っていました。英語圏の国々は日本人の留学先として人気であることは分かっていたので、長期で留学するときには、日本人が少なく、半ば強制的に英語を話さざるを得ない環境に身を置きたいと思いました。二つ目は、授業内容です。それぞれ大学によって、所属する学部や受けることのできる教科が違うので、事前にホームページや先輩方の報告書を見て調べました。その際、ポーランドの国立アダム・ミツキェヴィチ大学(UAM)で受講できる授業にとても関心を持ったのでポーランドを選びました。最後の理由は、物価の安さと立地です。ポーランドの物価は日本やユーロ圏の国々より大分安いです。交換留学なので、学費は京都産業大学に支払うためUAMに払う必要はないですし、寮費も無料、生活費も安く、学生証を持っていれば国内の公共交通機関は50%ほどのディスカウントがあります。また、ヨーロッパの中心に位置しているので、他の国々にも訪れやすいと考えました。

ポーランドでの学び

ツーリズムの授業で行ったオーストリア・ウィーン
大学では、英語やポーランド語など言語の授業はもちろん、ポーランドの歴史や文学、ツーリズム、地域社会と学校生活、移民、グローバリゼーション、未来都市についてなどたくさんの種類の授業があり、私も様々な内容の授業を受講しました。1クラス各90分で、言語以外の授業は週に1回でした。私は、秋学期、春学期それぞれ8コマずつ履修しました。具体的には、私は、言語や異文化のほかに、第二次世界大戦中、またその前後の歴史について関心があったので、Historical Trauma and Every day Beautyという19世紀のポーランドの侵略や戦争などを含んだ歴史を様々な観点から取り上げる授業を受講したり、将来は航空業界への就職を目指しているので、ツーリズムについての授業を受講したりしてその分野に対する知識を増やしました。多くのクラスが、講義方式の授業でしたが、自分が思っていたよりも授業内容を理解することができ、留学前の京都産業大学での勉強が身になっているなと感じました。しかし、ディスカッションやグループワークを行う際には、他の留学生についていけず、全く発言できないことや、完璧に理解できないことも多く、自信をなくすことも多かったです。それでも、間違ってもいいからとりあえず自分の意見を話す、ということを心がけ、留学終了時には授業内で話すことへの抵抗や緊張が薄れたように感じます。あちらでの授業は決して簡単ではありませんでしたが、簡単ではなかったからこそ自分の言語力や精神力を成長させることができたように思います。

ポーランドでの生活

私は、UAMの寮で一年間生活しました。1人部屋で、シャワー、トイレ、洗面台を隣の部屋に住む学生とシェアしました。私は1人部屋でしたが、階によっては2人部屋もあるようです。キッチンは1フロアに1つしかないので、同じ階の人と共有しました。晩ご飯どきにはキッチンが混んでいて大変なときもありましたが、よい出会いの場でもありました。同じフロアに住む留学生と一緒にご飯を作りながらお話することで、自然と友達も増えていきました。洗濯機の使用は完全予約制で、1回につき1ズウォティ(約30円ほど)かかりました。寮は街の中心部にあり、ポズナンの中央駅からも空港からも近く、ロケーションはとてもよかったです。トラムに乗れば10分ほどで大きなショッピングモールにも行くことができます。トラムは1回の使用で1.5ズウォティ(約45円ほど)ととても安かったです。また、街にはオシャレなカフェも多かったので、休日にはよく他の留学生とカフェへ行って話をしました。またポーランド国内は比較的移動しやすく、鉄道やバスに乗れば乗り換えなしで他の都市へ行くことも可能でした。
寮の一人部屋
ポズナンの旧市街(stary rynek)
ポーランドのカフェ

ポーランド語について

ポーランドの公用語はポーランド語です。正直、私は、ポーランドに行くまで全くと言っていいほどポーランド語の知識がなく、話せる単語と言ったら、こんにちは、くらいでした。お店や駅などでも、比較的若い方の中には英語を話せる方もいましたが、年配の方はポーランド語しか話せない方が多くいました。初めは、ポーランド語を使う場面では、UAMのチューターやポーランド人の友人に頼りきっていましたが、ポーランド語のクラスを履修することで、徐々に挨拶や自己紹介、日常で使えるポーランド語を学習していきました。日本へ帰国するころには、自分でお店へ行って注文をしたり、駅で切符を買ったりできるようになりました。非英語圏で勉強することの強みの1つは、英語とともにもう1つの言語も学習できることだなと感じました。

休暇

ポーランド滞在中に大きな休暇が2つありました。クリスマスとイースターです。私の英語のクラスを担当してくれていた先生が実家へ招待してくれたので、ポーランドのリアルなクリスマスやイースターを体験することができました。クリスマスには、伝統的なポーランドの料理を食べたり、先生の家族とプレゼント交換をしたり、教会のミサに行き、イースターには、イースターの象徴である卵に柄をつけたり、絵付けしたり、卵料理をたくさん食べたりして、カトリック教徒がどのようにこれらの休暇を過ごすのかを実際に体験できました。みんなで夜更かししてゲームをし、日本やポーランドについて語り合ったのもとてもよい思い出です。最後に会った時には、いつでも帰っておいでと言ってくれて、ポーランドにも家族ができたようでとても嬉しかったです。彼女と彼女の家族には、とても感謝しています。
クリスマスツリー
お世話になった先生と
散歩途中、オドラ川の河川敷にて

最後に

ポーランドでは日々新しい経験がたくさんあり、毎日充実した生活を送ることができました。留学中はポーランド人だけでなく、様々な国の学生たちと関わる機会が多く、自分の価値観も広がりました。また日本を離れ、客観的に世界を見られるようになったことで、日本の良いところ、悪いところ、またポーランドの良いところ、悪いところを発見できました。学習面では、正直、楽しいと思うことより、つらいと思うことの方が多く、何度も壁にぶつかりました。今まで自分は何を勉強してきたのだろう、とか、留学するという選択は正しかったのだろうか、と本当にたくさん悩みました。しかし、英語を理解して、それにレスポンスできた時の達成感や家族や友人など周りの方々のサポートがあったおかげで、つらくても諦めずに最後まで留学生活を全うできたと思います。また、今回の留学生活は、自分を見つめなおし、これからの将来についてよく考えるよい期間になりました。今回の留学を通して、私は、語学力だけでなく、人間力、精神力も高めることができたと思います。
最後にはなりますが、今回留学するにあたり、さまざまな面でサポートをしてくださった、留学アドバイザーのアマンダ先生、国際交流センター長の関先生、国際交流センターの皆様には本当に感謝しております。また、快く留学に送り出してくれた両親、つらいときに支えになってくれた家族や友人には、感謝してもしきれません。周りの方々の支えがあったからこそ、約1年間ポーランドで充実した留学生活を送ることができました。これからも、周りの人たちへの感謝を忘れずに、より一層勉学に励んでいきたいと思います。また、海外留学特別奨学生として、これから留学を考えている方の力になれたらと思っています。
PAGE TOP