アイスランド アイスランド大学

外国語学部 英米語学科 加藤 友麻さん

留学先 アイスランド アイスランド大学 教育学部
留学期間 2012年9月~2013年5月
留学アドバイザー 外国語学部 アマンダ ギリス准教授
出身高校 京都府立桂高等学校

Why Iceland?

首都レイキャビクの街並
「アイスランド?」私がアイスランドに留学すると話したときの反応は決まってこれでした。次に出てくる言葉は、アイスランドってどこにあるの?何語を話しているの?人は住んでいるの?そして、一番多かったのは『なぜアイスランドなの?』でした。私がアイスランドへの留学を決めたのは2回生の夏でした。それまではアイスランドという国を私自身、知りもしませんでした。

もともと交換留学で留学したいという希望があり、提携校を見ていると最初のページにアイスランドがありました。私はそのページをみて初めてアイスランドを知り、国際交流センターでアイスランド大学のことを聞いてみたところ、過去には京都産業大学からは1人も行ったことがないと言われました。『どうせ行くなら人とは違うことがしたい!』と思い、そこからアイスランドについて調べました。そして、アイスランドでは、ほとんどの国民がアイスランド語以外に英語も話せるということ、日本と似て火山国であり地震が多いことや漁業国であること、白夜やオーロラが体験できることなどを知りました。私はゼミでバイリンガルについて研究していたため、アイスランド語と英語のバイリンガルというのは、留学先として1番の魅力でした。また、日本語教育に高校生の頃から関心があったため、アイスランド大学に日本語学科があったのも理由のひとつでした。

Study in Iceland

履修科目

秋セメスターに4科目、春セメスターに3科目履修しました。アイスランド語、教育学部の専門科目、アイスランドに関する授業、言語学の授業など、様々な授業を履修していました。それぞれの科目で授業時間数はすべて異なり、週回数も科目によって違いました。私の場合は、各学期とも週4日授業があり1日に1科目ないしは2科目授業を受けていました。

授業内容

  • アイスランド語
英語留学だったため、アイスランド語は取らなくてもよかったのですが、せっかく来た国の言葉だったので履修することに決めました。アイスランド語の初級者のクラスで、全くゼロの状態から学びました。アイスランド語は、他の言語と比べ、昔から現在まで変化が少ないまま残っている言語のため、格変化をたくさんする言語です。そのため覚えることは山のようにありました。授業は文法を中心にリーディングをしながら進めていくスタイルでした。基本は講義形式でしたが、時々会話の練習もありました。英語でアイスランド語の文法を説明されるので、英語力も当然必要でした。しかし、春セメスターでは続きの授業を履修したにも関わらず、説明はほとんどアイスランド語になってしまいました。クラスメイトの大半がアイスランド語を専門に勉強しにきている人だったので、私はおいていかれないように毎回必死でした。

  • 教育学部
英語教育を中心とした言語教育について学ぶクラスを各学期とも履修しました。秋セメスターでは、教授法や学習者の自主性、学習スタイル、そして評価の方法など、言語教育に関する基本的な知識を身につける授業でした。春セメスターではそれに加え、教材分析やトピックベースの教授法を取り上げて学習しました。それぞれの授業は講義だけではなく、それぞれのテーマをグループでディスカッションする時間がたくさんありました。また、模擬授業をしたり実際にアイスランドの学校へ行き、子供たちがどのような教育を受けているのかを見学する機会がたくさんあったりとどちらかといえば学習者中心の授業でした。

そのなかでもアイスランドの学校を実際に見学させてもらうというのは、貴重な体験でした。アイスランドには移民も多く、私が見学に行った学校には移民の子供たちのためのクラスがありました。そのクラスはアイスランド語の学習だけでなく、母国語もしっかり残していこうという方針でした。そこで教えていらっしゃる先生に、バイリンガルの子供たちがどのように言語を獲得していくのかという自分の専門分野と密接に関わったお話を聞くこともできました。

  • アイスランドを知る授業

秋セメスターではアイスランドの文化についての授業、春セメスターではアイスランドの自然と文学についての授業を履修しました。特に春セメスターの授業ではフィールドワークがたくさんあり、美術館を訪れたり、バードウォッチングをしたり洞窟に行ったりもしました。留学生それぞれの国の言葉や、おとぎ話を比較するプレゼンテーションの時間などもあり、アイスランド以外の国とも比較ができてとても面白かったです。
小学校のホームルームの様子
フィールドトリップ溶岩の洞窟にて

課題とテスト勉強

アイスランド語のテストに向けて
何よりも大変だったのは授業を受けているときではなく、授業以外の自習時間でした。ほかの留学生よりも英語ができないという自覚があったので、おいていかれないように予習は欠かさずにやるようにしていました。リーディングの量は今まで日本でやっていたものよりも格段に多く、慣れるまでは本当に大変でした。また、アカデミックなエッセイも書き慣れていなかったため、何度も見直して書き直しました。アイスランド語に関しては、テストの結果で成績が決まるので、テストの1ヶ月前から復習して文法事項を頭にいれていました。何度も友達と確認しあい、テストに備えました。日本語学科のアイスランド人の友達とは、お互いの母語を教え合って、刺激を受けながら一緒に勉強に励むことができました。
普段の課題、そしてテストに向けての努力が実り、最後の成績はすべて10点満点中の8点以上をとることができました。そのときの達成感は非常に大きく、本当に嬉しかったです。

英語について

英語の力をあげるためのクラスもありましたが、私はせっかく交換留学生として来たので、専門的なクラスを受講しました。もちろん授業は英語で受けていましたし、リスニングやリーディングに関しては半年を過ぎた辺りからある程度自信がつきました。しかし、私が最も苦手としていたのはスピーキングでした。さらにライティングも自分ではできているつもりでしたが、添削されるとアカデミックな文ではなかったり、文法的なミスもあったり、思っている以上にできていないことがわかりました。そこで私は、授業中のディスカッションやクラスメイトと話す機会があるときは積極的に話すように努力しました。授業以外でもアイスランド人の友達と勉強するようにしていました。他の技能に関しても、1日1本TEDの動画を見るようにしたり、英語で日記をつけたりもしていました。

Life in Iceland

天気、気候

12月朝9:30撮影
凍っている湖の上で
アイスランドという国名からたいていの人は寒い国という印象を持つと思います。しかし実は気温は日本の北海道と変わらないくらいです。冬は一番寒い時期でも-10℃程度で、夏は20℃近くになる日もあります。ただ、風が強いので風がある日は体感温度がかなり下がります。京都の寒さに慣れている私は、強風以外はそんなに辛い寒さではありませんでした。

アイスランドでの生活で一番辛かったのは冬の日照時間の短さでした。一番日照時間が短い時期は朝の10時頃に明るくなりだし、夕方5時には真っ暗になります。これは予想以上に精神的に厳しいものでした。何に対してもやる気が起きず、日光を浴びていないせいでビタミン不足になり、体もだるい感じが続きました。この期間は友達と過ごす時間を増やし、市販のビタミン剤を飲むことで乗り越えることができました。

日本人との出会い

せっかく留学しているのだから、日本人と関わらないようにする人もたくさんいると思います。しかし私にとってはこの小さな国での日本人の出会いはかけがえのないものでした。私が留学した年は日本人留学生がすごく多かった年で、最初は日本人の少ないことを期待してきていたのですごくがっかりしました。しかし、ここで出会った日本人留学生は志が高く、いい刺激を受けましたし、専攻も地質学や、言語学、法学などバラバラだったため人の話を聞くことで自分の視野を広げることもできました。

またアイスランドという小さな国にはアイスランド在住の日本人もたくさんいらっしゃいました。30年も前からこの地に住んでいらっしゃる日本人の方にはお食事に招いていただいたり、大使館主催の天皇誕生日を祝うパーティーにも招待されたり、日本人とアイスランド人夫婦の子供たちのための日本語教室にボランティアとして参加させていただいたりと、小さな国だからこそできることもたくさんありました。ここで改めて日本の文化を学んだり、すばらしさを感じたりすることができたのは、よかったのではないかと思います。
日本語教室のみなさんと
寮の前で撮影したオーロラ

余暇

アイスランドにきて、なんでもいいので新しいことにチャレンジしてみようと思い、時間があるときにはアイスランドの料理やお菓子を作ったり、編み物を習ってやってみたり、写真を撮りに出かけたり、日本ではあまり見なかった洋画を見たりもしました。ひとつひとつのことは小さいかもしれませんが、日本ではやろうと思わなかったことができました。他にもアイスランド人の友達にアイスランド国内を案内してもらったり、一緒に日本食を作ったりと余暇も有意義に過ごせました。

そんな中でアイスランドでの1番の楽しみはなんといってもオーロラ鑑賞でした。世界でも唯一首都でオーロラを見ることができる国で、実際私も寮の前でも何度も見ることができました。緑色やピンク色のゆらゆら動く空のカーテンは本当に神秘的で、オーロラ予報は日課のようになっていました。

Travel around Europe

ベルギー ブルージュにて
帰国前にはアイスランドで出会った友達と3週間のヨーロッパ旅行をしました。行った国は8カ国で、アイスランド以外の国の文化や雰囲気を感じることができましたし、旅行に出かけたことで、留学だけでは気づかなかったことに気づけました。例えば、アイスランドでは英語が90%以上の確率で通じますが、スペインやポーランドでは英語が通じず、とても苦労しました。アイスランドなら英語が通じることは当たり前のことだけれど、それが当たり前ではないのだということに気づくことができたのです。

そして、英語を話すことに自信が持てたのも、英語はコミュニケーションのツールにすぎないということを認識できたのもこの旅行のおかげでした。また、いろいろなものを見て、いろいろなものを食べ、いろいろな人と話すことで、自分の知っている世界の狭さを実感しました。この旅行を通じてもっと世界のことを知りたいと思えるようになりました。

After studying in Iceland

留学の成果

9ヶ月におよぶ私のアイスランドでの留学生活は、ここには書ききれないほどたくさんの経験ができましたし、とても充実したものになりました。留学前より英語に自信を持てたことももちろんひとつの成果ですが、それ以上に様々な人と接することで、自分の視野が広がったことが一番の成果であると思っています。日本にいては気づけないような価値観の違いや、文化の違いは、外に出て初めて気がつきました。そういった違いを否定するのではなく、受け入れて楽しめるようになれたのは、長期間の海外生活のおかげです。

また、新しいことにチャレンジしてみることのおもしろさ、どんなに挫折しそうになっても諦めなければ、それは自分の糧になることを学びました。アイスランドでの生活は決して楽しいことばかりではありませんでした。最初は思い描いていた理想の留学とはほど遠く、そのギャップにすごく落ち込みました。友達もなかなかできず、英語が伸びているという実感もなかなか湧かなかったため、自信をなくして一人で泣いたことも何度もありました。課題提出が提出期限を超えてしまいそうになってあきらめかけたときも、アイスランド語の授業についていけず、休もうとしたこともありました。しかし、最後まで諦めずにすべての授業に出席し、課題も期限までにすべてを提出することができました。そんな辛いときに励ましてくれたのは、日本にいる家族や友達、アイスランドでできた仲間でした。同じ悩みを抱えた友達がいるということを知って、私だけではないのだからもう少し頑張ろうと思えたし、諦めかけていた私に喝をいれてくれて最後まで頑張ることができました。

将来のこと

この留学を通じて、自分がどんな人間なのかということを改めて客観的に見ることができたと思います。これから自分に合う企業を探し、就職活動を進めていくとともに、ゼミで専門的に学んでいるバイリンガルについて留学を通じて学んだことと絡め、論文作成に取り組もうと思っています。また、これから留学を考えている人のなにかお手伝いができればと思っています。この留学での経験をこれからの人生にも活かしていきたいです。

最後になりますが、今回、京都産業大学海外留学特別奨学生として採用していただき、本当にありがとうございました。また、留学前の準備から留学中、単位認定まで1年以上の長い間お世話になった担当者をはじめとする国際交流センターのみなさま、留学アドバイザーのアマンダ先生にも感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。このアイスランドへの留学は私ひとりでは決してできませんでした。家族や日本にいる友人、アイスランドでできた友人、他にもたくさんの人に支えていただき、無事に終えることができたと思っています。残りの学生生活は短いですが、悔いのないように勉学に励み、成長していきたいです。私の留学に関わっていただいたすべての人に感謝しています。
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