経営学部 卒業生インタビュー
認定NPO法人 大阪NPOセンター 事務局長 堀野 亘求さん(1994年卒)

2019年1月18日(金)に、私たちのゼミに堀野亘求さんをお招きし、インタビューしました。ゼミ学生が、それぞれ質問の担当を決めて、インタビューに臨みました。

経営学部 在間ゼミ2年次生:池田 裕亮さん、楠瀬 裕二郎さん、隈村 悠生さん、中川 翔さん、柳川 雅央さん、山口 会斗さん、山口 公平さん

認定NPO法人 大阪NPOセンター 事務局長
堀野 亘求さん(1994年卒)

隈村:大学時代にサークル活動や部活をしていましたか?

堀野さん:入学時に遠足に行くサークルに入りましたがすぐにやめました。もともと産大を志望しておらず、1年生の7月くらいまでは他大学への再受験も考えて、大学に通いながら受験勉強もしていました。でも、他大学の学生との交流がきっかけで、自分や産大に自信を持ち、ここで学ぶことにしました。第1志望の大学ではありませんでしたが、経営学部を志望していました。社長になりたいと思っていたからです。人に使われるよりも、『ドラゴン桜』風に言えば、「ルールを作る側」になりたいと思いました。

隈村:大学時代に力を入れていたことは何ですか?

堀野さん:アルバイトをしていました。コンビニエンスストアの同系列の異なる店舗を3つ掛け持ちして、月に30~40万円稼いでいました。商品の発注やアルバイトの管理を含め、店舗の経営について実践できました。アルバイトのお金を貯めて車を買いたいと思っていて、実際に購入することができました。何事も目的をもって行動することが大切だと思います。アルバイトばかりして勉強をしていなかったというわけではありません。友人の授業ノートを参考にして自分でオリジナルなノートを作り、よい成績で単位を取得していました。学部のゼミでは佐々木利廣ゼミで学びました。佐々木先生とはずっとつながりを持っています。

中川:卒業後はどのような仕事をしていましたか?

堀野さん:企業研修を売る会社に就職しました。社長の経営力、営業スキルを高めることを目的とする研修プログラムを企画して、企業に売り込みます。新入社員の研修プログラムも提供していました。人と直接かかわる仕事をしたいと思っていました。「その会社」という就「社」の対象を選んだのではなく、自分の目的がかなう就「職」先を選んだのです。入社してしばらくは営業を担当していましたが、そのうち研修の企画にも携わるようになりました。

中川:会社の仕事はおもしろかったですか?

堀野さん:企業の社長と1対1で話ができるだけでなく指導する立場でしたし、仕事はとても楽しかったです。すべてが勉強でした。当時知り合って今でもつながっている方々もいます。様々な地域や業種の方々とかかわりを持てたことが、今の大阪NPOセンターの仕事にも生きています。

柳川:なぜ転職しようと思ったのですか?

堀野さん:研修会社では様々な企業の社長に改善点をアドバイスしていたのですが、30歳を過ぎる頃には、その仕事に対して、ある違和感が生じたのです。自分自身はまだ会社を経営した経験がないにも関わらずアドバイスをするのは果たして正しいのか、ということです。しかし、自分が経営するだけの経験値は足りないと感じ、勉強しに行きたいと思いました。そこで、経営学部時代のゼミでお世話になった佐々木先生に相談しました。佐々木先生は、単にゼミの先生というのではなく、私の人生における師という存在です。その後、会社をやめて大阪市立大学の大学院に進学し、修士号を取得しました。

柳川:大学院で修士号を取得された後、大阪NPOセンターに就職されたのですか?

堀野さん:実は、前の会社の社長から誘われて、一旦、もどりました。が、1か月ほどでやめることになり、ハローワークにも通って就職活動をしました。そこで見つけたのがひらかたNPOセンターでした。実は枚方市はNPO活動の先進地域で、その組織も公設民営で他の地域より早い時期に設立されていました。その職員として6年間くらい働きました。ちょうど次の事務局長にならないかと言われた頃に、大阪NPOセンターから働かないかとお誘いを受けました。私自身、枚方市の枠内にとどまらない活動をしたいと思っていたので、大阪NPOセンターに転職することにしました。

山口(公):現在の大阪NPOセンターではどのような仕事をしていますか?

米国ミシガン州にて
堀野さん:入ったばかりのころは、NPOを作りたい人や、社会的な活動をしたい企業からの相談に乗ったり、講座を開いたりしていました。現在は、それらの仕事はスタッフに任せています。事務局長として、内閣府や文部科学省の委員会などに参加し意見を述べたり、米国をはじめ諸外国にも出かけ、海外のNGOや大学と一緒にプロジェクトを進めたりしています。

山口(公):大阪NPOセンターの仕事で、どのような点が面白いですか、また大変ですか?

堀野さん:私たちの仕事は、儲かるか儲からないかではなく、社会が良くなるかならないかで決めています。いくらお金をもらっても社会に役立たないことであればしません。仕事の面白いところは、社会のため、公益のためにやっているので、相手が政府であっても対等に話ができることです。そして、スタッフに対しても常に対等な関係でいたいと思っています。そのためルールを作ってスタッフを管理するということはせず、スタッフに「好きか嫌いかで仕事をしていいよ」と言っています。好きなことを好きな人となら楽しく仕事ができます。その方針で組織運営がうまくいっています。大変なところは、以前はお金を集めるのが大変でしたが、現在では人材を集めるのが難しいです。インターンではたくさんの学生が来てくれて、就職を希望する人もいます。しかし、親御さんが反対されて採用に至らないこともしばしばあります。親御さんや大学のキャリアセンターの方は、NPOに対して「ボランティアのような仕事」という固定観念があるように感じます。NPOに対する社会の理解を深めて、人材を確保していくことが課題です。

山口(公):再び社会人として大学院で学ばれたそうですが、なぜですか?

堀野さん:2013年に京都産業大学大学院マネジメント研究科の博士後期課程に入学し、2018年3月に博士(マネジメント)の学位を取得しました。博士課程で学びたいと思っていたものの迷いもありました。そこで、やはり佐々木先生に再び相談して、進学を決意しました。大阪NPOセンターは中間支援組織です。その業務に携わり意義を感じていましたが、学術的な観点からも組織の社会的価値を分析したいと思っていたのです。

山口(公):大学院での学びはどのように役立っていますか?

堀野さん:社会に出ても必要な時に何度でも学ぶといいと思います。自分自身が大学院に行き学んだ立場なので、もし、後輩のスタッフが大学院で学びたいと思った時にも、「気兼ねなく学びに行け」と言って応援できます。大学院の研究を通して学んだ内容そのものだけではなく、後輩を応援できることも、これからの組織運営や社会に役立つと思っています。

池田:大学生のうちにこれだけはやっておいたら良いと思うことは何ですか?

堀野さん:留学や旅行でもなんでもいいから、学生のうちに海外に行くべきです。行けるのなら留学がいいと思いますが、旅行でもいいです。英語を学ぶという目的でもいいし、観光でもいいと思います。休学して行くというのもいいでしょう。例えば、フィリピンは、英語も公用語なので語学研修ができ、日本からも近いので安く行けます。

楠瀬:大学生のときに身につけるとよいと思うことは何ですか?

堀野さん:自分で物事を考え決めるということです。どういう勉強をしたら役立つかと考える人が多いと思いますが、それよりも、何事に対しても「自分で決めた」という意識を持つことがもっと大切です。社会人になると、仕事や生活の中で様々なことを決断することが必要になります。それを通して自ら成長しないといけなくなります。学生のときにも、自分で考えて決断する力をつけてほしいです。

インタビューを終えて

  • 海外でも様々な活動をしておられる堀野さんのお話を伺い、自分自身も大学生のうちに一度は海外に行ってみたいと思いました。
  • 社会に出てからの学ぶ姿勢がとても参考になりました。自分の学びたいことややりたいことを考え、目標を立てて取り組むことが大切だということ、また、それらの知識や経験を得るために行動を積み重ねることが大切であることを理解できました。
  • 大学で学んだことが本当に将来役立つのか不安に思っていましたが、本学の先輩でも素晴らしい方がおられると実際に感じることができたので、自分自身もがんばろうと思いました。
  • NPOの存在は知識としてはありましたが、どのような取り組みをしているか具体的に知らなかったので、とても勉強になりました。3年生になったら就職を意識する時期になるので、大阪NPOセンターにインターンシップに行きたいと思いました。
  • 大阪NPOセンターが様々な組織や企業にアドバイスをしているとは知らなかったので、とてもよい機会になりました。
  • 堀野さんのお話を、これからの大学生活や職業選択に生かしていきたいです。
  • 転職に対してあまり良いイメージを持っていなかったのですが、堀野さんがNPOへ転職されて直接社会に役立つ仕事をされていると伺い、イメージが変わりました。また、NPOについて、さらに調べたいと思いました。
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