経営学部 卒業生インタビュー
株式会社八百鮮 市原 敬久さん(2006年度卒)

インタビューに応じてくださったのは、株式会社八百鮮の代表取締役社長である市原敬久さん。大学時代のゼミ活動を通して福祉に関わり、大学卒業後、スーパーマーケットで社会人経験をしてから大学の友人3人で八百鮮を創業。29歳で八百鮮の代表取締役に就任し、現在は、大阪に4店舗、名古屋に1店舗で販売を行っています。

経営学部 大室ゼミ:長谷川 右近さん、尾形 早佑莉さん、加藤 功志さん

株式会社八百鮮 取締役代表
市原 敬久さん(2006年度卒)

株式会社 八百鮮とは?

八百鮮は、魚・野菜・肉を販売している小さなスーパーです。対面販売を基軸にお客様と直接接することによって生まれる「生の声」を大切にし、少しでもお客様に信頼と感動を与えられるような努力を行っています。また、創業当時から障がい者雇用に積極的に取り組み、商店街への出店で商店街活性化などの社会貢献にも挑戦しています。

~始めに自身の大学生活について~

私は1、2回生のときはバンド活動ばかりしていて、正直私は、不真面目な方だったと思いますね。3回生のときに、ゼミに入っていて、そのゼミには商店街革命部、福祉革命部、イベント企画部というのがあって、イベント企画部でした。飲み会の企画とか旅行の企画とかしていました。その時は学生と一般企業が一緒になって新しいモノを生み出そうという取り組みもしていました。

「大学生活の思い出」

ある日、先生に福祉革命部に入らんかと誘われました。福祉革命部は、障がいのある人たちが働いている会社にいって、経営を学ぶところです。それで福祉革命部に入って、その福祉革命部をNPO法人にして、1つの会社で事業を行っていくということをやってみないかと誘われたので、まあその当時、福祉には興味なかったのですが、法人化することには興味があったので、やることにしました。それで3ヶ月くらいでNPO法人を設立できました。それと同時に、福祉の勉強のために障がい者の働くところに行きました。障がい者の人たちが一生懸命働いている姿や障がい者を支える施設のスタッフの人たちと触れ合っていくうちに、福祉はすごい業界だなと感じました。このときに私は障がい者の人たちのために、自分(施設のスタッフ)が支えていかないといけないという姿がかっこいいと思いましたね。福祉革命部に入ったことによって、福祉の魅力に気付かされました。

「八百鮮の誕生」

現在の八百鮮ができた経緯は、学生の時にさかのぼります。山本先生(現在、大阪成蹊大学教授)との出会いで、ヤマト福祉財団の故・小倉昌男氏の本に衝撃を受け、福祉と経営の融合について考えるようになりました。それを実施するために私は福祉革命部で設立したNPO法人で、各地の福祉事業の経営実態調査、改善策を提案していました。また、社会に出てお金や成績のために働くのではなく、社会に貢献しかっこいい大人になりたかったので、大学卒業前にゼミ仲間の岩崎さんとNPO法人で出会った山本陽介さんと起業しようと考えていた。そこで、起業する前に、経験を積むため、スーパーに就職しました。その時に父親の会社が倒産してしまって、スタッフが離散する姿、金融機関の対応を見て、単なる金儲けはむなしいと痛感し、「人を幸せにする経営」を意識するようになりました。大学時代の恩師の影響と小倉昌男さんの本の影響により障がい者に役立つ会社にしたいと思い、スーパーでの経験を生かして、3人で起業し八百鮮が誕生しました。

~八百鮮について~

八百鮮の現状は、魚と野菜を主に売っていて、最近になって肉も売り始めました。今の年商は約20億で、従業員の数が社員とパートで約60人です。開業当時は、1日の売上が5〜10万円でした。現在、全部の店舗の1日の売上を足すと、約700万円ですね。7年間で約100倍、売上が伸びました。

「ポイントは障がい者雇用」

八百鮮では障がいを持つ人たちを雇っている店舗もあれば、雇っていない店舗もあります。障がい者雇用をするというよりも普通に求人募集をかけているので、障がい者として雇っているとは思っていないんです。単純に、人として良い人なのか、というのは誠実さであったり、素直さであったりを持ちあわせているかを基準でみたとき、障がい者であるかないかは関係ないと思う。だから人として見たときに、一緒に働きたいと思う人を雇っています。障がい者の枠はなくて、みんなフラットにみています。

「障がい者の実態」

障がい者雇用をやってみて、わかったことがありました。障がい者手帳を持って、障がい者枠として、雇って欲しいと思う人たちは割りと働くところがいっぱいあるんだけど、大学出るまで障がいであることに気づいていない人がいる。大学出れる頭脳を持っていても、社会でうまく馴染めなかったり、人間関係がうまくいかなかったりっていう人がたくさんいて、職を転々とする人もいる。カウンセラーや精神科で発達障害の可能性あるかも。という診断は受けるけど、自分では大学も出てるから、この先障がい者としてずっと働くことを受け入れることができない自分がいる。八百鮮にも、もちろんいて、障害者手帳持っていない人は、「私は障がい者です。」といって面接には来ないですね。まあ私はわかっているけど知らないふりをして雇うなんてこともあります。なかなか雇ってもらえない人たちの受け皿になっていることは企業的に価値のあることだと思っています。かといって「障がい者雇用しますよ」といって売り出しているわけではありません。なぜかといったら、障がいを受け入れていない人が居づらい環境になってしまう。だからあまり表立って「障害者雇用をしています」という風にはしていません。

最後に、学生へのメッセージをいただきました。

学生へのメッセージ:目的を何にするか決める。

若者は目的を手段化する傾向にある(※人生において、大学に行くことは手段であるのに目的だと思い込んでしまう)ので、社会に貢献したいとか感動ある人生を生きたいとか明確なゴールを見つけるという作業ができれば達成するための方法はいくらでもあるので、若い学生のうちに目的を何にするか決めることが大事だと思います。
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