経営学部 卒業生インタビュー
有限責任監査法人トーマツ 中田 明さん(1986年卒)、原 浩之さん(1985年卒)、伏見 及さん(1986年卒)

私たちは、平成29年5月31日(水)、3人の大先輩を訪ねて、日本の「四大監査法人」の一つとして知られる、デトロイト トーマツ グループを訪れました。
デトロイト トーマツ グループは「経済社会の公正を守り率先してその発展に貢献する」ことを経営理念の第一に掲げ、公認会計士を中心とするプロフェッショナルファームとしてさまざまなサービスの提供を行っています。デトロイト トーマツ グループでは、監査だけではなく、ベンチャー企業に対する成長支援やタックスプランニング対策等の幅広い専門的なサービスを提供しているそうです。
3人の先輩方は、公認会計士としてそれぞれ、監査、税務、そして、ベンチャー支援をされています。

インタビュアー

経営学部 橋本ゼミ:松島 良太さん、橋本 貴登さん、山口 美波さん、岩見 具征さん、藤崎 泰成さん、伊藤さん

左から、松島さん、橋本さん、山口さん、岩見さん、伏見 及氏、原 浩之氏、中田 明氏、藤崎さん、伊藤さん
有限責任監査法人トーマツ
中田 明さん(1986年卒)、原 浩之さん(1985年卒)、伏見 及さん(1986年卒)

中田 明さんインタビュー

中田 明さん(1986年卒業)は、有限責任監査法人トーマツのパートナーで公認会計士として上場企業等の監査に従事されています。インタビューでは、中田さんがなぜ公認会計士を目指したのか、そして現在のお仕事の内容などについて、お話ししていただきました。

なぜ、簿記の勉強を、そして会計士を目指そうと思われたのですか?

親族に会計士がいまして、いろいろと話を聞くと面白い職業だと思いましたので、頑張って会計士の資格を取ろうかなと思いました。会計士の資格をとるためには、まず簿記検定試験を受けた方が良いと聞きましたので、簿記の勉強から始めました。

経営学部在学中はどのような勉強をされていましたか?

ちょうど大学に会計職講座センターというものが立ち上がった時でしたので、そこに通って日商簿記の3級や2級を教えていただきました。

たくさんの監査法人がある中で、トーマツに入所された理由は何ですか?

当時、「ビッグエイト」という本に紹介されていた欧米の8つの会計事務所の中で、日本の会計事務所の中で唯一イコールパートナーとして載っていたのがトーマツでした。グローバル組織の中で日本の法人として断固たる存在感があると、認識したからです。

お仕事の中身についてですが、監査の魅力とは何でしょうか?

業務上さまざまな個別企業に対して、その中枢部まで入っていくことになります。そのため、ある特定の企業だけでなく、さまざまな業種の実態を知ることができるということが大きな魅力です。業務上、最初にやらなければいけないことは、その企業の事業内容を知ることです。そして、その企業が置かれている内部環境や外部環境を理解した上で、最終的にその業績が適正に決算に反映されているかどうかをジャッジするのが会計士の仕事です。知的好奇心がある方には良い職業だと思います。それと同時に色々なところにもアンテナを張らなければならないので、新聞等のメディア等を通じて常に情報収集をするようにしています。

監査を行う上で最も気を付けておられることは何ですか?

誠実性をもって仕事をする。これが第一です。一方で、監査では、目の前にあることを妄信することなく、疑いの目を持って対応することもあります。つまり懐疑的に監査するということです。また、会計基準は日々変化しているのですが、それをキャッチアップするだけでなく、次に何が出てくるのかを予測する、つまり、何かが出てから対応するのではなく、先読みして対応することが大事だと思っています。

後輩たちが監査法人に就職するためには何をすべきでしょうか?

人間性を磨かなければいけないと思います。面接などの時間は非常に短いので難しいと思いますが、人の話を聞くことができる、人と話すことができる、人から情報をもらうことができるようにならなければならないですね。結局はどれだけ人に信用してもらえるかが大事なのです。この人と話してよかった、時間の無駄じゃなかった、もっとこの人と話したいと思わせる、そのように思わせるものが、内面からにじみ出るものがベストではないでしょうか。頑張ってください。スキルとしては、資格はもちろんのこと、外国語などができるに越したことはないでしょう。また、もともと文系が多い職場ですが、理系の方も増えてきていて、統計をやっていたとか、会計とは関係のないシステム開発をしていたような方も採用されています。

最後に在学生にメッセージをお願いします。

元気に頑張ってください。おとなしくなりすぎずにもっと活気を出してください。皆さんはまだまだ若いので可能性があります。だから、チャレンジして悔いのない人生にしてください。会計は違う分野から見れば不可解なものですが、考え方によればビジネスの基礎となるところも大いにあるので、会計の基礎がわかっていれば社会の役に立つと思うので、真面目に向き合って頑張ってほしいですね。

原 浩之さんインタビュー

原 浩之さん(1985年卒業)は、公認会計士・税理士として、デトロイト トーマツ税理士法人のパートナーとして活躍されています。私たちは、原さんの大学時代、どうしてこのお仕事に就かれたのか、またそのご苦労や、現在主として行っておられる税務業務に関してインタビューをしてきました。

なぜ簿記の勉強を始めようと思ったのですか?

高校時代の友人の父親が税理士だったのでその繋がりから会計専門職を知り、性格的にも営業職よりも経理職の方が向いていると思ったので、その時には税理士を目指そうと決めていました。
そこで大学も経営学部に進学し簿記を勉強し始めたのですが、2年生までは正直そこまで勉強はしていませんでした。しかし、3年生になり、ゼミや当時学内にあった会計職講座を受講すると同時に本格的に簿記の勉強を始めました。最初のうちは税理士を目指していましたが、4年生の時、学内掲示板に公認会計士試験の合格者が掲示されていたのを見て、自分にもできるのではないかと思い、また友人から公認会計士を一緒に目指さないかという誘いがあったことなどから、公認会計士を目指すことになりました。

勉強方法はどのようなものでしたか?また、後輩へのアドバイスはありますか?

簿記の勉強に関しては会計職講座を中心に勉強していました。そこで簿記の基礎を学びつつ、日商簿記1級、そして公認会計士試験へと学習していきました。公認会計士試験の方は、最初のうちは担当の先生にもらった会計士試験の過去問題をたくさん解いていましたが、もう少し基礎からしっかり学びたいということで専門学校にも通っていました。大学在学中は日商簿記1級の合格を目標に勉強し、公認会計士試験には3回目で何とか合格することができました。難しい会計士試験ですが、山あてなどはせずに基本をしっかりと勉強することが大切だと思います。

税務の仕事内容とはどういったものがありますか?またどういったときにやりがいを感じますか?

まず基本的な業務として、法人税などの申告書作成業務があります。入社したころは会社から資料を収集して税金を計算するというような仕事が中心でした。クライアントが税金の支払いを効果的にしたいという際にどうすればよいか、といった相談を受けることもあります。しかし、経験を積んでいくと、どうすれば効果的にできるのか、効果的にできなくてもA法とB法とがある場合に、それぞれのメリットやデメリットを紹介し、どちらを選択すべきかをスキーム(を)作って提案する仕事が多くなります。
この仕事はクライアント目線の仕事です。そういった意味ではこちらも頼られることが多く、自分の仕事でクライアントに喜んでいただけるとこちらも嬉しくやりがいを感じます。しかし、その反面、税務の仕事は失敗するとクライアントのビジネスに支障が出てしまいダイレクトに迷惑がかかってしまいますので、緊張感は非常にあります。

現在の職場ではほかにどのような仕事があるのか、教えていただけますか?

デロイト トーマツ税理士法人はこの業界最大手の一つなので、クライアントに上場企業もあり税務相談内容も複雑なものが多いと思います。
私のいる大阪事務所はいくつかの部門に分かれており、国外取引が多い企業や、国内の企業が海外に進出する場合の税務に関する相談を受ける国際税務を扱う部門があります。また移転価格税制の対応に特化した移転価格専門の部門があります。それ以外に、経営承継に関する税務を扱う部門があり、例えば親族で経営している会社があれば、親が子に株を継がせ、事業を継承するためにどうすれば良いかという税務問題に対応しています。相続時には大変多くの税金がかかってくる可能性があるので、税理士の役割が重要になってきます。私は今そこを担当しています。様々な税務の仕事を経験できる可能性があるという点では当法人はおもしろいと思います。

京都産業大学経営学部の強みと在学生へのメッセージをお願いします。

当時の経営学部の先生たちは会計士や税理士の資格の勉強をすることに、とても熱心に教えてくれましたね。そういうところに力を入れていたのかなとは感じました。あとは今も京都産業大学は一拠点の総合大学でいろいろな人材を輩出しやすいことや、いろいろな分野のことを学べるということが強みではないでしょうか。京都産業大学にはいろいろなコンテンツがあると思うので、それらを活用し、学生のうちにしっかりと勉強して資格などを取得しておけば将来の可能性を広げることができるので、会計の分野でなくてもよいので是非資格取得に挑戦してほしいと思います。

伏見 及さんインタビュー

伏見 及(1986年卒業)さんは、京都産業大学経営学部を卒業後、有限責任監査法人トーマツにて公認会計士として活躍されています。また同時に、デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社にも所属され、奈良県のベンチャー企業を支援されています。今回は、ベンチャー支援の仕事についてインタビューさせていただきました。

簿記を勉強しようと思ったきっかけはなんですか?

私は商業高校の出身で、卒業のためには簿記の勉強をやらなければいけなかったからです。卒業するためには日商簿記検定試験3級を取得しなければならなかったので、自然な流れで勉強することになりました。

どういった経緯で公認会計士を目指そうとお考えになられたのですか?

もちろん簿記を勉強していたという理由もありますが、大学時代になにか資格を取りたいと考えました。その時、会社の経営について興味がありましたので、それならその分野の一番レベルの高い資格を目指してみようということで、公認会計士を目指しました。また、ちょうどいいタイミングで、大学に会計職講座が開設され、私もそれに参加することができましたので、ここで頑張ってみようと公認会計士を目指したということも理由の一つです。

どのような経緯でベンチャー企業のサポートをされることになったのですか?

私は現在、本籍としては有限責任監査法人トーマツに所属し、大阪と奈良の事務所を担当しております。その中で奈良では主に中堅・中小企業のサポートをしています。では、なぜ現在ベンチャー企業のサポートをしているのかというと、ベンチャー支援が国策になったこともあって、大変多くのニーズが発生しましたので、私の仕事の内容も自然とベンチャー支援をするようになりました。

ベンチャー企業支援のやりがいはどこにありますか?

自分の助言や勧めたことがダイレクトにクライアントの経営成績に繋がることですね。そして、結果的にそれが中堅・中小企業の夢の実現へのお手伝いになることがやりがいです。

京都産業大学でよかったと思えることはなんですか?

京都産業大学のOBの中には、中堅・中小企業の経営者やベンチャー企業の社長がたくさんいます。そのため、お互いに親近感がわいて仕事がやりやすいといった点が一番だと思います。やはり、共通の事柄があれば、それだけでも輪が広がりますので。

多忙な監査法人に長年勤務していらっしゃるということで、長年同じ企業で働き続ける秘訣のようなものはありますか?

同じ企業に長年勤務し続けることができる、あるいはできないといったことが、良いことなのか悪いことなのかは別として、その企業に魅力があって、自分に向上心やワクワクする心があれば、よほど勤務環境の悪い企業でなければ続けられるのではと思います。大学で勉強したことの延長である必要はなく、入社してから自分のやりたいことなどを突き詰めていくことが出来れば、どのような仕事でも長年続けることが出来ると思います。

公認会計士の方の中には、独立される方も多いとお聞きしますが、トーマツという大きな組織でお仕事をし続けることの最大のメリットは何ですか?

トーマツは、わが国のいわゆる4大会計法人(ここではトーマツの他、新日本、あずさ、PwCあらたを指す:聞き手注)の一つであり、またBig4(ここではデロイト トウシュ トーマツリミテッドの他、アーンスト&ヤング、KPMG、PwCを指す:聞き手注)メンバーファームの一員であることもあり、視野が世界に広がる機会が非常に多く、学べることもたくさんあります。企業の様々な立場の方と話すことができ、また企業内部の情報にも直に触れることもでき、さらに企業経営の実際に触れることができるといったことはやはり大きなメリットですね。

後輩の学生へのメッセージをお願いします。

今は昔と比べてなんでもすぐに出来る世の中になったし、すぐに変わってしまう世の中になりました。でも、だからこそ、今の時代や仕事にワクワクして欲しい、もっと楽しんで欲しいと考えています。

インタビューを終えて

3人の先生方は大変お忙しい中、面会時間の調整をしてインタビューに応じてくださいました。私たちは、監査、税務、そして、ベンチャー支援のそれぞれに関心がある学生がインタビュアーとなって十分な予習をしてからインタビューに臨みました。
それでも知識が十分でない私たちに先輩方は、時には厳しい指摘もされつつ、それぞれのお仕事について丁寧に説明をしてくださり、非常に勉強になりました。また、どの先輩方も関心のあることにチャレンジすることの大切さを話されていました。
学生時代に頑張って公認会計士という大きな資格を得て、社会人になってさらに大きな仕事に邁進されている先輩方に接し、非常に大きな勇気をいただく機会となりました。
最後になりますが、この場を借りまして、あらためて御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
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