経営学部 卒業生インタビュー
パナソニック株式会社エコソリューションズ社 大澤 八千代さん(2012年卒)

今回インタビューに応じてくださったのは、2012年度卒の大澤八千代様(以下大澤さん)です。現在は、パナソニック株式会社のエコソリューションズ社で勤務されている社会人5年目の方です。井村ゼミの先輩ということもあり、インタビューには快く引き受けて頂きました。インタビューは、現在大澤さんは鹿児島在住なので、Skypeのビデオ通話で行いました。夜22時からという遅い時間帯でのインタビューでしかも初対面であったにも関わらず、何事にも丁寧に優しくお答えいただいた姿が印象的でした。

インタビュアー

経営学部 井村ゼミ:佐野 涼太さん、森 秀史さん

パナソニック株式会社エコソリューションズ社
大澤 八千代さん(2012年卒業)

【1.パナソニックの紹介】

パナソニック株式会社は、1935年(昭和10年)12月15日に設立された日本の大手電機メーカーです。創業自体は1918年(大正7年)で、創業者はパナソニックの旧社名である「松下電器製作所」の経営者、松下幸之助です。
主な事業内容は、家庭用電気機器(テレビやエアコンなど)や情報通信機器(ノートパソコンやカーナビなど)などの生産、販売を行う総合エレクトロニクスメーカーです。また、パナソニックは大きく分けて「アプライアンス社」、「エコソリューションズ社」、「コネクティッドソリューションズ社」、「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社」、と呼ばれる4つの会社から成り立つカンパニー制を採用しています。「アプライアンス社」は、家電の製造及び販売を行う事業領域で、主に空調やAV家電を扱っています。「エコソリューションズ社」は、住宅や非住宅空間(ビルや公共エリア)を対象に、パナソニックが培ってきた技術や製品を用いて、快適な暮らしを提供しています。また、現在扱っている商品は太陽光発電や照明器具などがあり、個人向けと法人向けにそれぞれ見合った提供を行っています。「コネクティッドソリューションズ社」は、顧客密着型の事業体制を重視していて、公共分野向けの機器の開発や販売を行っています。「オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社」は、車に関する事業領域で、車の安全装置や環境に配慮した燃料装置の開発を行っています。
 

【2.大澤さんの仕事】

大澤さんは4つのカンパニーの内の1つのエコソリューションズ社で勤務されています。入社歴は今年の4月で丸4年ということなので、インタビュー日当時で5年目だと仰っていました。所属部署はマーケティング本部で、47都道府県ある営業所の中で鹿児島営業所に配属されています。主な仕事内容は、「モノを売る」ことと「設計図面に自分たちの製品を落とし込む」ことだと仰っていました。「モノを売る」とは、パナソニックの製品をステイクホルダーに売り込むことですが、大澤さんの場合、モノを売り込むステイクホルダーの相手はとりわけ販売代理店という「B to B」の活動をしています。また、「設計図面に自分たちの製品を落とし込む」とは、建築物における設備の設計図面に自分たちの提案やアイデアを取り入れて、最終的にその建築を利用する方々にとって快適さを感じて頂けるようにすることです。現在は、鹿児島県の公共機関が発注する物件と民間のオーナーが発注する物件の大きく分けて2種類の発注元に対して、照明器具やエネルギーマネジメント製品を売り込む仕事をしているそうです。

【3.学生時代の思い出】

学生時代は、女子ラクロス部に所属しており、2回生からはゼミにも所属して、部活にゼミにバイトに勉強に、と忙しい毎日を送っていたそうです。
特にゼミで行った様々な活動が、思い出に残っていると仰っていました。当時のゼミでは、京都新聞の企画で記事を書いたり、「サイバー適塾」という関西経済同友会所属企業のリーダーシップ研修組織で、メンバー企業の大手企業の方々と協働で研究を行ったりしたそうです。中でも、今のゼミ活動でも引き続き取り組んでいるサイバー適塾とのプロジェクトのお話は印象的でした。
当時のサイバー適塾とのプロジェクトは、11社の参加企業について、ゼミ生2−3人(先輩と後輩がセットになり)1グループで1社を担当して企業の戦略的転換点の研究をし、その後、企業の方々を相手に研究報告をするというものでした。自分たちが戦略の研究をした企業(大澤さんの場合はダイキン工業)について、ヒアリングに協力してくださった各社の社員相手にプレゼンテーションするというプレッシャーや、研究報告に至るまでの後輩の指導などに苦労したそうです。特に後輩の指導に関しては、自分のグループに入った後輩(2年生)が無口でつかみどころがなく、コミュニケーションの取り方に悩まされていたそうです。それでも毎日声をかけ続けたり、飲み会を開いたりといった工夫を重ね、最後にはその後輩と食事に行ったり、意見をぶつけ合える関係になれたことが、1番の収穫だったそうです。さらには大澤さんの場合は、ラクロス部の部活のリーグ戦が重なり、ゼミ活動とクラブを両立するのがとても大変だったそうです。研究発表会の投票の結果、1位の成績を収めることができたそうです。
現在でもサイバー適塾との共同研究プロジェクトは継続していますが、私たちの場合、グループ制ではなく、ゼミ生全員が11社(年によっては12社)の参加企業について、研究テーマに沿って、研究やヒアリングを行い各社の社員相手にプレゼンテーションを行う形式を採っています。今年は、「リスクマネジメント」を研究テーマに設定して、ヒアリング調査で得られたデータを基に企業(分野)ごとにリスク報告に対する特徴や比較を行いました。
昔と今ではサイバー適塾とのプロジェクトの形式は変わりましたが、ヒアリングに協力してくださった企業の方相手にプレゼンテーションするというプレッシャーや、後輩の指導等、困難を乗り越えることで得られる経験の本質は変わらないと思いました。そして、サイバー適塾砥のプロジェクトで得られた経験は、社会人になっても活かせる何物にも代えがたい貴重な経験だと感じました。
学生時代の大澤さん

【4.社会人になってからの大きな経験話】

大澤さんの社会人になってからの大きな経験は、取引先相手を数年間かけて友好的な関係にすることが出来たという話でした。当時大澤さんは社会人1年目で、別の人が担当していた取引先相手がいました。その取引先とは、当時関係が良好ではなかったけれども、パナソニックのシェアが高かったこともあり、パナソニックにとっては関係を友好的にしたい相手でありました。そんな状況の中、その大澤さんが当該取引相手の担当者になりました。大澤さんは、何度も取引先へ訪問して様々な話や商品の提案を行いました。せっかく訪問しても、社長に会ってもらえない時もありましたが、訪問を重ねるうちに、少しずつ会ってもらえるようになったそうです。他にも、社長以外の従業員にも様々なお話をして徐々に関係を深めようとしたそうです。それらの地道な努力の甲斐あって、大澤さんは社会人2~3年目の時には、数千万円の製品の納入をさせて頂けるようになりました。現在では、会食に呼んでもらえるようになり友好的な関係に発展したそうです。

【5.今となって分かる学生へのアドバイス】

大澤さんは、社会人になってからの経験や後悔を踏まえて、3つのアドバイスをしてくれました。
1つ目は、「TOEICの勉強をすること」です。最近の企業はTOEICの点数を採用や昇進の条件にしている所が多く、時間が沢山ある学生の内に勉強をして高得点を取るべきだと言われました。社会人になってから勉強するのは、学生時代に勉強するより時間の制約が多くて遥かに大変だ、とのことです。
2つ目は、「体力をつけること」です。体力は、仕事に一生懸命取り組む気力や毎日遅れずに出社するための健康面にも影響します。大澤さんは、社会人(特に新人社員)にとって最も大切なことは、気力だと仰っていました。新人社員の間は、積極的に質問したり、皆より早く出社したりすることで、周囲から社会人として認められるように努力した、とのことです。私たちは、能力や才能のある人が社会人にとって最も必要なことだと思っていましたが、大澤さんのアドバイスを聞いて、日頃の小さな努力の積み重ねが大切で必要な力だと感じました。
3つ目は、「自分自身の性格を客観的に見ること」です。社会人になって環境が変わり、大澤さんは改めて自分自身の性格を客観的に見たそうです。その結果、短所と思われるところを改善する余地が生まれて、自身の成長に繋がると仰っていました。また、上司や家族と言った第三者から意見をもらうことで、より正確に自身を知ることができるから、素直な気持ちで第三者のアドバイスを求めていくべきだとアドバイスをしてくださいました。「素直な気持ちで」、というのは、パナソニックの創業者松下幸之助氏の言葉にもあり、パナソニックで働いている大澤さんからその言葉を聞くのは特別な重みを感じました。

【6.インタビューを終えて】

今回のインタビューはSkypeのビデオ通話で行いましたが、学生時代の思い出や社会人になってからの経験談など、貴重なお話を伺いました。私たちと同じ井村ゼミの先輩ということもあり、当時と現在のゼミ活動や雰囲気の違いや共通点を感じることが出来、自分たちのゼミ活動の背景について深く知る事が出来ました。特に、サイバー適塾に関しては、現在と形式が大きく異なり少数グループで活動していたということで、一人当たりの負担量が非常に大きく、また大澤さんに関しては部活の大会と両立していたという壮烈さを知り、先輩の偉大さを感じつつ、私たちも今まで以上に一生懸命ゼミ活動に取り組もう、というやる気が溢れました。最後に、夜間にインタビューを行ったにも関わらず、快くお引き受けくださり、本当にありがとうございました。
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