経営学部 卒業生インタビュー
キラメックス株式会社 代表取締役社長 村田 雅行さん(2006年卒業)

キラメックス株式会社は、「キラメキを最大化する」を理念として掲げ、オンラインプログラミングスクールTechAcademyを展開しているIT企業です。社名は、キラメキ(KIRAMEKI)を最大化(MAXIMIZE)するという2つの言葉からの造語で、経営理念そのものを表現しているそうです。キラメキを「自己実現からの幸せ」と捉え、インターネットというテクノロジーをつかってキラメキを増やし、社会を豊かにしたい、キラメックス株式会社は、そんな想いをもつ素敵な会社です。2009年に創業され、現在は、東京証券取引所マザーズ市場に上場しているユナイテッド株式会社の子会社として事業を行われています。私たちは、会社の発展の経緯についてもお話を伺ってきました。

インタビュアー

経営学部 在間ゼミ:上田 理江さん、福岩 彩羽さん

キラメックス株式会社 代表取締役社長
村田 雅行さん(2006年卒業)

2017年8月24日のインタビュー当日、私達は渋谷駅のハチ公像前で待ち合せました。場所は、渋谷駅と表参道駅の中間くらいのところにあります。後で気づいたのですが、渋谷駅からは上り坂ですが、表参道駅からだと下り坂になります。表参道の方に行くと、オシャレなお店がたくさんあります。キラメックス株式会社はMFPR渋谷ビルの9Fにあり、「カッコよく働いておられる!」という感じがしました。受付の電話がオシャレだったり、ロビーにジャズが流れていたりするところも、私達にはIT企業らしい雰囲気だと感じました。

幅広い仕事ができると考えて経営学部に

村田雅行さん(以下、村田さん)が京都産業大学を選ばれた理由は、ズバリ!家から近かったからだそうです。「通学時間が長いと行きたくなくなるので近所がいい」と思われたのがその理由。高校時代は理系クラスにおられましたが、「将来、幅広い仕事をするには経営学部が役立つだろう」と考えて、経営学部を選んだそうです。
村田さんは、大学時代はゼミや友達グループの活動では、旅行や飲み会といった企画を率先してやっていたそうです。「イベントなどの幹事は面倒でやりたがらない人も多いと思いますが、実は、仕事に必要な要素が詰め込まれています。旅行や飲み会の企画をたて、不備なく段取りをし、参加者の期待値を超えるものにしていくこと、これはまさにビジネスの考え方と同じですね。幹事役のような経験数が多いほど社会でも役に立つでしょう。」と村田さんはおっしゃいました。

インターネットの可能性を実感した学生時代

村田さんは高校時代からパソコンとインターネットが好きで、無料のレンタルサーバーを使って、当時活動していたバンドのホームページ(以下、HP)を作られるほどでした。
大学時代には、当時登場したばかりのアフィリエイトに注目し、インターネットで役に立つ情報を発信するメディアを作ってビジネスを始められました。アフィリエイトとは、自分のHPサイトに商品広告などをバナーで掲載し、HPサイトの訪問者がバナーをクリックして商品購入などの成果があった場合に、広告収入を受け取ることができる仕組みです。村田さんは自分のサイトに多くの人が訪れるように、これも当時登場して間もないSEOを活用したそうです。SEOとは検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)のことで、検索アルゴリズムの工夫などにより検索結果でWebサイトをより多く露出させるようにする技術です。
サイトを立ち上げ収益を出せた経験から、村田さんは、「こんな自分でもインターネットを使えば年齢や学歴など関係なくビジネスが出来る。自分もインターネットサービスを使う側だけではなく、作る側にまわりたい。」と強く感じたそうです。

楽天株式会社に入社し、2年後に半年間のカナダ留学を経て起業

村田さんは2006年に大学を卒業して、楽天株式会社に入社されました。学生時代からインターネット・ビジネスを手掛けられた村田さんは、就職活動でもインターネット関係の会社を選んで受けられていました。その中で、当時急成長中だった楽天株式会社に入社を決められたそうです。
当時、村田さんは、「入社して2年後には起業しよう」と考えておられました。学生起業も考えられたそうですが、右も左もわからい状態だったので、起業する前に社会に出て勉強しようという思いだったそうです。「楽天の2年間は本当に面白かった」と村田さんは話されました。楽天時代は、サーバーの構築・運用や、システムの調達などを担当されていました。村田さんは「どこの会社、どんな立場でも学べることは尽きません。楽天での仕事はエキサイティングですし、まだまだ学びたい気持ちはありましたが、区切りをつけて退社しました。若い間に一歩踏み出すことが重要だと考えていました。」と振り返っておられました。
村田さんは楽天株式会社を退社後、半年間カナダに留学されました。英語を身につけたいということと、独学でプログラミングを習得したい、という目的で留学されました。今後起業してインターネットサービスを作る上で、英語とプログラミングは重要だと考えられていたそうです。
日本に帰国され、2009年2月にキラメックス株式会社を1人で創業されました。最初はオフィスは間借りから始めて、システムの受託開発をされてました。生活資金を稼ぎながら、インターネットサービスをいくつも考えられていたそうです。

自分が欲しいサービスを作る

創業後いくつかの事業を立ち上げられた後、2012年からプログラミング教育事業を開始されました。村田さんは、独学でプログラミングを勉強している時に、何度も挫折しそうになったそうです。「プログラミングを1人で学ぶことは非常に難しく、誰かのサポートなしだと解決できない問題に直面する場面が多い。自分が何日も悩んでいたものが、エンジニアの友人に聞くと10分で解決したりする。なるべく挫折がなくなるようなプログラミング学習サービスがあればいい」と感じられたそうです。そういうご自身で体験された課題を、プログラミング教育事業を通して解決したいという想いをお持ちでした。2012年にリアルのスクールから「TechAcademy」を開始され、今ではオンラインで短期間でプログラミングやWebデザインが習得できるオンラインブートキャンプを提供されています。

オンラインのプログラミング学習サービスTechAcademyの魅力

オンラインのプログラミング学習サービスTechAcademyは、短期間のブートキャンプ方式を採用されています。出来る限り短期間で効率よく挫折しない仕組みが組み込まれていました。魅力的な特色は主に以下の2点あります。
第1に、学んだことを使ってオリジナルのサービスを作ることをゴールにしていることです。目的がなくプログラミング技術だけを学ぶというのではなく、自分がやってみたいサービスを作る体験までできるような仕組みになっています。
第2に、サポートサービスが充実しています。受講生にメンターがつき、テキスト型のチャットシステムや、ビデオチャットシステム(SkypeのようなTV会議の仕組み)で、わからないことを相談できます。また、受講者に課題を出して取り組んでもらい、課題メンターが、添削するだけではなく、それらのシステムで質問を受けて、回答してくれます。
教室における講座形式の教育では、受講生が講師にコンタクトできる時間が限られていますが、TechAcademyのオンラインサポートでは、質問する時間がたくさん取れます。オンライン特化型なので、受講料も教室開催より安く提供出来ていて、受講生のプログラミング学習の敷居を下げることにつながっています。地方の人も多く受講されており、現在の受講生のうち、約6割は地方の方だそうです。年齢層の内訳では、20~30歳代が中心で、学生が約2割ですが、シニア層も多いそうです。さらに、全体の4分の1は女性の受講者です。とても多様な方々がオンラインでプログラミングを学んでいることがわかりました。村田さんは、私達にも、「向き不向きはもちろんあるけれど、全くの初心者でも学びたい気持ちがあれば習得することが可能です。挑戦してみましょう」と言ってくださいました。

非エンジニアでもプログラミング知識が求められる時代

TechAcademyは、個人向けだけでなく、企業向けの研修などでも利用されており、上場企業やインターネット企業で多く採用されています。「エンジニアだけではなく、エンジニアではない営業やマーケティングの人も、自分たちが扱うシステムのことを理解することが必要です。そういう意味で、非エンジニアにとってもプログラミングの勉強は重要になってきています。」と村田さんは話されました。

立ち上げた会社を上場企業にバイアウト

キラメックス株式会社は、2016年2月にユナイテッド株式会社にM&Aされ、100%子会社になりました。ユナイテッド株式会社は、アドテクノロジー事業、コンテンツ事業、インベストメント事業を展開している東京証券取引所マザーズ市場の上場企業です。
村田さんにM&Aについて聞いたところ、「ユナイテッド株式会社からM&Aのオファーがあり、社内で検討し、2016年2月にグループ入りしました。子会社になった目的は大きくは2つ、成長のためのヒトとカネが手に入ることです。ユナイテッドの優秀な人員をキラメックスの事業に確保できることで、組織を強化できます。またユナイテッドは上場企業であり資金が潤沢にあるので、市況に関係なく攻めたい時に資金を調達できます。この2つがあることで、キラメックスの成長スピードが上がると確信していました」と話されていました。

キラメックス株式会社の今後の目標

村田さんは、「TechAcademyについてはプログラミング学習のスタンダード、プログラミング勉強するならTechAcademyだよね、と言われる存在にしていきたい。会社としてはTechAcademyでのプログラミング教育だけでなく、教育のリーディングカンパニーになることが目標です。これからの時代に必要なあらゆる教育を、テクノロジーを駆使して提供して世の中の課題を解決していきたい。」と話されていました。

在学生へのメッセージ

学生の皆さんには「自分が本当に好きなこと」を見つけて欲しいと思っています。好きなことと言うのは「嬉しい」「楽しい」「幸せ」そういう気持ちが沸き出てきて熱中できることです。その好きなことを見つけられたら、好きなことが出来る会社を探せばいいですし、なければ自分で仕事を作ればいいのです。自分が好きなことで誰かの役に立つこと、それが本当の意味での仕事だと思っています。大企業に就職すること、高い給料をもらうこと、そういう誰かと比べるような相対的な価値ではなく、自分にとって何が幸せなのか、という絶対的な価値を大切にして欲しいと思います。たくさんチャレンジしてください!

インタビューを終えて

私達は、IT企業といえば堅苦しいような会社のイメージを持っていたので、インタビュー前はとても緊張しました。ですが、落ち着きのある社内の雰囲気で、村田さんはとても優しくて紳士的な印象で、インタビューではとても気さくに話してくださり、緊張はほぐれました。インタビューさせていただいている時、学生の私たちでも理解しやすいように簡単な言葉を使って話してくださいました。
村田さんへのインタビューで特に印象に残ったことは、チャレンジ精神の強さと実行力です。私たちが一番驚いたことは一人で起業されたということです。自分だと仲間がいないと不安になってしまうので、一人で起業はできないだろうなぁ、と思いました。また、好きなことをそのまま仕事にされていてすごいなと思いました。
IT企業と聞くと、休日もなくてハードに仕事をしているというイメージもありますが、休日は普通に休んでリフレッシュされているそうです。村田さんへのインタビューで、ITやプログラミングというものが、文系の私達にも、少し近くなったように感じました。
PAGE TOP