経営学部 卒業生インタビュー
株式会社長谷工アーベスト 田中 絵梨さん(2013年卒)

インタビューに応じて下さった田中絵梨さん(以下「田中さん」)は、2013年に京都産業大学経営学部を卒業した井村ゼミナールのOBです。大学を卒業後、株式会社長谷工アーベストに入社しました。田中さんが長谷工アーベストに入社してから5年が経ち、現在は営業職で活躍中です。 

インタビュアー

経営学部 井村ゼミ:中村 麻紗也さん 森 彩弥伽さん

株式会社長谷工アーベスト
田中 絵梨さん(2013年卒)

【企業紹介】

長谷工グループは、マンション事業に関わる全て(土地情報の収集、企画・設計、施工、販売、管理・修繕、リフォーム、仲介、賃貸、介護)を扱い、他に真似できない商品企画・販売戦略など提案型の営業活動を展開しています。マンション事業のあらゆる分野でトップ企業としての地位を確立しています。
田中さんが現在勤めている株式会社長谷工アーベストは、新築分譲マンションの受託販売を主な仕事としています。長谷工アーベストは、1978年から2016年までの間約39年間に、関東圏で225,025戸、近畿圏で136,428戸、合計で361,453戸のマンション販売を取り扱っています。
2016年は首都圏で5,515戸のマンション販売を取り扱っており、これは首都圏の総新規分譲マンション供給戸数3万5,722戸(2016)の約7戸に1戸(シェア約15%)となっています。

長谷工アーベストHP

首都圏実績
<首都圏新規分譲マンション市場における長谷工アーベストのシェア>
長谷工アーベストの会社紹介より
また、2016年の近畿圏の取り扱い戸数は2,735戸です。近畿圏の総新規分譲マンション供給戸数は18,676戸(2016)であり、約7戸に1戸(シェア約15%)が長谷工アーベストのマンションです。

近畿圏実績
<近畿新規分譲マンション市場における長谷工アーベストのシェア>
長谷工アーベストの会社紹介より

【仕事内容】

長谷工アーベストでの主な仕事内容は、住宅を購入するためにモデルルームにご来場いただいたお客様に対し、担当している物件のご案内をする新築分譲マンションの営業販売です。営業販売といってもモデルルームを案内するだけではなく、事前に担当物件の立地や特性等をお客様にお伝えできるよう調べたり、実際に自分の足で歩いたりすることで営業トークにつながるように勉強をすることが重要だそうです。さらに、ご来場いただいたお客様に担当物件の特徴等を説明するだけではなく、お客様が何を求めているのか、どうしてほしいのかなどを会話の中からくみ取り、お客様にあった住戸や資金計画などライフプランを提案できるよう接客にあたることが大切だとおっしゃっていました。その他、チラシを近隣の住宅に投函するなど、集客面での業務もあります。その際に目につくようなDMを作成し、チラシに添付して投函したりもします。
年次を重ねるにつれ、お客様への営業販売だけではなく、物件(担当しているマンションプロジェクト)責任者としての業務も加わってきます。例えば、広告物(HPやスーモ、チラシなど)をデベロッパーや広告代理店と打ち合わせをしながら作成したり、担当物件の完売までの計画をたてるなど、モデルルームの集客策等を考えたりします。

【学生時代のゼミ活動】

井村ゼミでは毎年、錦市場での調査を取り組みの一つとして行っています。現在井村ゼミでは、錦市場のマップを自分達で実際に錦市場を歩いて作成し、過去の変遷から現在の錦市場がどのような状態になっているのか、出店退出の契機になったこと等、地図からでは読み取ることのできない“錦市場が400年にわたって長く続いている秘訣”を調査し、資料としています。私たちが初めて錦市場で調査を行った際、協力してくださるお店が多い理由や背景を今回のインタビューで知ることができました。以下では、井村ゼミの先輩方が取り組んできたに錦市場のプロジェクトの中から2つを紹介します。

食育イベント『京育』

『京育』とは『京』に『育む』。錦市場の“ほんまもん”を知ってほしいという気持ちから、錦市場の方々に協力していただき、地域の子供達を対象とした食育イベント『京育』を企画しました。田中さん達が行った『京育』とは、学生と子供がチームになって京都の珍しい食材を探す「お買い物ゲーム」や、錦市場とスーパーマーケットの食材の「食べ比べゲーム」などを行い、楽しみながら錦市場の“ほんまもん”の食材に触れることができる食育イベントです。子供達にこのイベントの印象を強く残すため、錦市場の方に協力していただき、「マグロ小野解体ショー」も行い、その内容は新聞やラジオでも報道されました。一番苦労したことは何かと尋ねると、集客だという答えでした。
「ゼミの学生は、子供を集めるために自分達でチラシを作成し、さらに近隣の小学校にアポをとりチラシを配布させてもらいました。その時は先生の力を借りずに自分達でやらなければいけなかったこと、それに加え、やることが多かったので、早め早めの行動をとることが重要でした。ゼミの時は一日中錦市場にいることも当たり前でした。」

集客のために何が出来るかを考え、すべて自分達で行動したというお話を聞き、みんなが同じ目標に向かって一生懸命取り組むチームとしての意識を強く感じられました。私達も先輩達のような結束力のあるゼミを目指していきたいと思います。
『京育』の様子

錦市場の『鍋まつり』

田中さん達は錦市場の研究や『京育』を企画し、行ったこともあり、錦市場主催の『鍋まつり』という行事に協賛することになりました。錦市場の『鍋まつり』とは年に一度、錦市場の多くの店が閉店する7時以降の時間を使って、錦市場で扱う商品を使った鍋を提供するイベントです。
「鍋のブースを一つ持たせてもらうことになり、京都らしい鍋はどんな鍋かを自分達で何度も試作して考え、試行錯誤を重ねた結果、“豆乳鍋”に決定しました。当日は、5時間かけて煮出した鶏出汁や利尻昆布をたっぷり使った鰹出汁など『ほんまもん』の食材を作って、350食分の豆乳鍋を提供し、鍋まつりの活性化に貢献できたのではないかと思っています。」

錦市場の『ほんまもん』の食材を使うというこだわりをもって何度も試作を重ねられた豆乳鍋は、まさに田中さん達のゼミ活動、『鍋まつり』のプロジェクトに対する熱意の結晶です。私達もこのように熱意をもって取り組む大学生活を送らないともったいない、と、これから1年半の間のプロジェクトに対する想いが高まる刺激を受けました。
『鍋まつり』で田中さん達が作った豆乳鍋
錦市場の方々とゼミ生の集合写真
錦市場の方々とゼミ生の集合写真

【サイバー適塾塾生との共同研究】

井村ゼミでは毎年、サイバー適塾協議会に参加している企業の方と、近年、グローバリズムの影響その他で、日本経営がどう変わったのかという企業経営システムの変化の研究調査をしています。サイバー適塾とは関西経済同友会の外郭団体で、企業の将来を担う中堅社員のリーダーシップ研修組織です。私達の代含めて過去3年間は、大手企業がどのような組織体制を持っているのかをサイバー適塾塾生(関西経済同友会所属企業からの中堅社員)の方々と一緒に調査しながら報告書を作成し、研究発表会を開催しています。サイバー企業との共同研究が始まったのも田中さんの年代からでした。
田中さん達の学年では、メンバー企業11社の戦略を2、3人のゼミ生がチームになって調査し、前述した『錦鍋まつり』の前日に発表会がありました。最初は何をしたらいいのかわからず、手探りをしながら進めていくという状態で、他の行事とも被っていたためとても大変だったそうです。

私達も、サイバー適塾の研究プロジェクトで11社の訪問をしました。私は今まで私達の研究は時間の拘束も多く、社会人と同じレベルのものを要求されるので、要求水準が高くて大変だと思っていました。しかし、田中さん達の学年ではサイバー適塾のプロジェクトの他にもプロジェクトが2つも3つも重なっていて、私達よりもはるかに大変ながら、どのプロジェクトにもゼミ生全員が分担し、力を合わせて、前向きに取り組んで行く姿勢について聞かせていただきました。現状に満足せず、時には先生やゼミ生と意見の対立があってでも、とことん話し合いし、全員がより良いものを目指す、という姿勢がこのような忙しいスケジュールの中で、大型のプロジェクトをいくつも並行してできる力の源だと感じました。田中さんのお話を聞き、私達ももっと頑張らなければいけないなと気合いが入りました。
サイバー適塾での研究発表の様子

【学生のうちにするべきこと】

最後に、学生のうちにするべきことを田中さんに尋ねました。

『色々な人と関わる』
「社会に出ると一気に人間関係が広がります。その中にはとても長く付き合っていける人もいれば、関係が続かない人もいます。学生の時に仲がいい人と遊ぶのはいいことですが、学生だからこそ色々な人と付き合っていくべきです。」
田中さんはゼミの活動を通して錦市場の方々だけでなく、錦市場に関連する方々、錦市場の活動を広報するために新聞社や錦市場近隣の小学校への勧誘や説明活動、など、色々な人と関わっていたことが、社会に出た時の人間関係の広がりに役立ちました。

『一生付き合える友達を作る』
「私は、ゼミのプロジェクトを進める上で、みんなと何度も衝突しました。それはみんなが真剣に取り組んでいたからできたことだと思います。ゼミ活動での経験は今でも活きています。仕事は忙しいけど踏ん張れるし、営業でお客様と話すときの引き出しも多いと思っています。何より、一生付き合える仲間ができたことが一番大きいことです。ゼミは何度も辞めたいと思うほど苦しかったけど、今では笑い話になっています。今でも当時のゼミのメンバーとは連絡を取り合っています。」

『様々なことに挑戦する』
「色々な人と付き合うことも一つの挑戦、勉強をする、やったことのないことをしてみるというのも挑戦です。社会に出て失敗すると取り返しがつかないことになる可能性もありますが、学生のうちは取り返しがつきます。仕事をするとどうしても制約が出てきますし、社会人は学生と比べるとどうしても自分の時間が少なくなってしまいます。一人旅でも何でもいいので今のうちだからこそできることに挑戦するのがいいと思います。」

【インタビューを終えて】

今回田中さんのお話を聞かせていただき、田中さんの学生時代はまさに挑戦の連続で刺激を受けました。学生時代の思い出を話す田中さんは「とにかく1つ1つのプロジェクトも重量級だったし、ほとんど常にプロジェクトが複数重なってしんどかった」キラキラと楽しそうだったのが印象的でした。田中さんの充実したゼミ活動のお話を聞き、私達も残りの学生生活でもっといろんなことに挑戦していきたいと思います。
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