経営学部 卒業生インタビュー
滋賀電力株式会社 代表取締役 山根 裕輔さん(2010年卒)

山根さんは2010年に中井ゼミの1期生として卒業しました。コンサルティング会社での仕事を通じて多くの人と交わる中で、そうした人とのつながりが自身の成長の糧となったとのこと。電力自由化の波に乗って、地元に貢献したいとの熱い思いから滋賀電力を立ち上げた山根さんを、米原市の文化産業会館内にある事務所に訪ねてインタビューを行いました。

インタビュアー

経営学部 中井ゼミ:宇多 良介さん、増田 彩記さん

滋賀電力カスタマーセンター(米原市)にて
滋賀電力株式会社 代表取締役
山根 裕輔さん(2010年卒)

好奇心旺盛だった学生時代

まず、学生時代のことをお聞きしたいのですが、学生時代はどのような学生でしたか?

特にすごく勉強していたとか、図書館で本を読みふけっていたことはなくて、ゼミの友達と遊んで、一人暮らしをしている友達の家にいってそこで朝まで呑んでいましたね。そして昼から学校へ行く。サークル活動もしていなかったですから、ゼミと、帰宅途中の彦根にある飲食店でバイトが中心でした。まぁ、遊びに多くの時間を費やしていた、そんな普通の大学生活でしたね。

その学生時代の遊びやバイトがどのような影響をもたらしましたか?

もともとすごく好奇心が旺盛で、遊びやバイトに関してもですけど、いろいろなことがやりたかったというのが、間違いなくありましたね。何でもいろいろなことがやりたくて挑戦したかったというのはあります。具体的に顕著な行動を起こしたとかはないですが、これをしたら面白いだとか、刺激があるだろうなとか、ゼミの友達との遊びやバイトをしているときにそんなことを考えて、いろいろと試行錯誤してましたね。ただ、ビジネスに関しては特になかったです。

山根さんのお話を聞いているとゼミって大事だなと思いますが、最近ゼミに入らない人たちがいます。このような人たちについてどう思いますか?

サークルでもバイトでもいいと思うのですが、なにかコミュニティに属した方がいい。そういう意味では、ゼミには絶対入った方がいいと思いますし、もちろん一番良いのはゼミでちゃんと学び、自己成長することなのですけど、それだけではなくて人間関係も人間力といったそういうところも大事な気がします。
社会で求められるスキルなどは、ほぼみんなゼロベースでスタートして、人間のスペックは早々変わらないと思うのですが、そういう人間力的なのは意識するだけですごい差が出ると思いますね。人間力を意識していたというよりは、そういう人間でありたいなと思っていました。

学生時代にご自身で設定していた目標などはありましたか? 就職活動との関連でお話しください。

目標を設定していたというよりは、好奇心が旺盛なので、常に面白いことを探していたなって感じですね。就職活動においても、「面白い会社」を探していましたね。名の知れた会社や大手ではない、この会社が面白いとか、この社長が面白いみたいなところに行きたいというのはありました。

人とのつながりが刺激の糧に

好奇心が旺盛で学生時代に様々な思考を巡らせていた山根さんは、日常でも常に何が面白いのか、刺激があるのかについて考えていた。そんな山根さんの就職活動に影響をもたらしたのは、大学3年生の時、授業で来られたゲストスピーカーの船井総合研究所の社員の方のお話であった。これがきっかけで船井総合研究所や経営コンサルタントの仕事について興味を抱くようになる。

船井総合研究所の企業説明会の時に社長のお話を直接聞く機会がありました。そこで社長の話を聞き、この会社は面白そうだなと感じました。会社というのはトップでだいたい決まるのですよ。だからこそ、この時感じた印象を、会社を選ぶにあたってとても重視していましたね。社長のお話が私の好奇心を惹きつけたということだと思います。

ゼミの方たちと交友関係があったとお聞きしましたが、それらの人間関係は役に立っていますか?

ゼミで得た人間関係はすごく役に立っていると思います。2010年に社会人になって、とても忙しく、入社一年目の時に大阪で初めて一人暮らしも経験しました。そういうときに、たまに遊ぶのは学生時代の友達。会社のメンバーもそうですが、やっぱり学生時代の友達から声がかかると嬉しいですし、近況の報告なども入ってきますし、そういう意味では刺激というか精神安定というか、あいつが頑張っているから僕も頑張ろうとか、彼らには負けられないという気持ちにもさせてくれました。

地元で何かしたかった そんなビジネスを探していた

学生時代から起業などは考えていなかった山根さん。その山根さんが滋賀電力という会社を立ち上げようと考え始めたのは、船井総合研究所で働いて2年ほど経った時である。

経営コンサルティング会社のお客様は、主に中小企業の社長さんたちなのですよ。中小企業の社長さんの話を聞くと、雇われている側と雇っている側の人間のマインドって違うのが凄くわかる。僕は雇う側、中小企業の社長さんたち側にいずれなりたいなと、働き始めてから2年ぐらいからずっと思っていて、それは、そういう業界に入ったから思うようになりましたね。社長さんたちからも、早くこっち側にこいっていう感じで背中を押してもらった、そんな流れになっていましたね。

現在、滋賀電力という会社を設立している山根さんだが、電気ビジネスをやりたかったわけではない。地元で貢献できる何かがやりたかったという強い思いがあった。

コンサルタントの会社に勤めていた時から、エネルギーの業界は儲かると知っていました。新事業を始めるならこの4つを満たしたものをやれという法則があります。成功法則とでも言うのでしょうか、例えば場所がいらない、在庫を抱えなくてよい、初期投資がいらない、人がいらない、などです。そういうビジネスを模索していました。そんな時に、同時期に会社を辞めた同期の人がいて、彼に今後何をするか聞いたところ、「電気関係をやりたい」っていうんです。なるほど、そこに目を付けたかって思いましたね。だから、電気がしたくて辞めた訳ではなく、電気はいわゆるきっかけの一つです。だからこそ、色々なアンテナを常に高く多く張り巡らせて、その中で自分のやりたいことに合致するものを取捨選択して組み合わせていけばよいと思っています。

お話を伺っていると順風満帆にここまで来られたなって感じるんですが、困難に直面した経験はありますか。

キャッシュフローについて苦労したのはありましたね。帳簿上もうかっているのに手元にお金がないという状態がここ一年で何回かありましたね。売り上げの伸びに対して仕入れが追いつかない状態でしたね。銀行のお世話に何回かなりましたね。
あともう一つは、少し前にあった、僕の母校の小学校と中学校の電気の入札の件。僕は地元に貢献したいという気持ちでもともとこの事業を始めているわけで、地元の公的施設でしかも母校に電気を流すというのは、僕にとってとても価値があることだったのですよ。でも、できたばかりの会社は入札の資格を出せないということで関わることができませんでした。貢献したいと考えている地元から必要とされていないのかと思うと、ショックでした。
でも現在は米原市に電気を供給させていただいていますし、いろんな経験が自分の糧になっていることは間違いないですね。
これからは、もっとローカルな、地元密着型のエネルギー供給会社を創って、地域の皆さんから愛されながら成長する会社に発展させていきたいと思っています。まだまだ、緒に就いたばかりですけどね(笑)。


学生へのメッセージ:大学生にしかできないことをやろうよ

今日は楽しいながらも有意義なお時間をいただき、ありがとうございました。最後に、学生に対してメッセージをお願いします。

京都産業大学は関西有数の大規模大学で、あれだけの学生がいるから色んな人がいます。在学中、大学に行けば誰かには確実に出会い、またゼミやサークルにちゃんと行くだけでも友達や知り合いの輪は広がっていき、友達の友達もどんどん増えていきます。当たり前のことですが、ちゃんと大学に行って、ちゃんと人に会うということがとても重要です。
学業も、もちろん大事ですが、それよりも大事なことがある気がします。学業は場合によっては一人でもできますが、人とのコミュニケーションは一人ではできませんからね。
京都産業大学は、人も多いし、いろんな刺激があり、出会いの場も多く存在します。だから、あの環境を活かさないという手はないですよ。あれだけの人がいるのなら、触れ合った方がいいと思います。スマホで遊ぶ学生さんや家から出てこない学生さん達はもったいないです。大学生にしかできないことをやるっていうのがひたすら大事なんじゃないかなと思います。

インタビューを終えて

我々インタビュアーとは9歳年上の山根さん。起業家の社長さんというよりも少し歳の離れたお兄さんといった感じで親しみやすく、楽しい雰囲気の中でインタビューを終えることができました。しかし、お話しいただいた内容は熱く、エネルギッシュ。少しの歳の差でこんなにも大人になれるんだと感心させられました。
我々のゼミでは卒業生と現役生が一堂に会して交流する懇親会が数年に一度行われます。次回の懇親会で山根さんに再会し、その後の滋賀電力の発展についてお聞きたいし、少しでも成長した我々2人を見て欲しいです。貴重なお話、ありがとうございました。
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