Pick upゼミナール

「社会安全学」

浦中 千佳央 ゼミ

実践的な学びで
社会の安全・安心の実現を目指す

私のゼミでは、京都府警本部人身安全対策課と連携して女性安全対策チーム「Abelia(アベリア)」を結成し、痴漢・盗撮・ストーカーといった性犯罪被害を抑止する啓発活動に取り組んでいます。誰一人として被害者にも加害者にもさせないという使命感の下、学生目線で対策を講じ、多様な観点から女性の安全確保に努めています。
性犯罪を未然に防ぐには、あらゆる事例を想定しておかなければなりません。例えば、障害のある人が知らないうちに性犯罪に巻き込まれているケース。そういった場合は、本人への安全意識の教育だけでなく、周囲や施設への協力要請も重要な鍵を握ります。万が一被害に遭ってしまった際の受け皿の周知や、加害者となってしまった場合の公的支援に関する情報の共有など、さまざまな角度から犯罪抑止の術を考えていく必要があるでしょう。
学生には、自分たちの活動が地域貢献の一翼を担っていることに誇りを持ち、この貴重な経験を将来に生かしてほしいと願っています。

職業観と倫理感が養われる
実践的な学びの場

京都府警と連携して女性安全対策を講じるこのゼミは、警察官を目指す私たちにとって何にも代え難い学びの場。リベンジポルノ被害の防止を目的としたターゲティング広告を制作したり、一人暮らしの女性に防犯チラシを配布したり、アスリート盗撮を防ぐために競技場で呼びかけたりと性犯罪防止の啓発に努めています。こういった活動が地域の安全につながっているという自信は、私たちの大きな財産です。リアルな現場を経験する中で警察の意義や仕事のやりがいを再認識し、この道を志す気持ちがさらに強くなりました。これからも初心を忘れず、安心安全の観点から社会に貢献したいと思います。

法律学科 3年次 中野 龍治さん
法律学科 3年次 増田 世奈さん
法律学科 2年次 小林 もかさん

※掲載内容は取材当時のものです。

「裁判外紛争処理」

久保 秀雄 ゼミ

実践的に学ぶ紛争への対処方法

対⽴や争いごとといった紛争への対処方法について、裁判だけでなく、裁判外での交渉や和解まで視野を広げて、幅広く学んでいます。また、事後的な解決策だけでなく、事前の予防策まで視野を広げて、幅広く学んでいます。
学び方については、体感的に理解できるように、実験やRPG(ロール・プレイング・ゲーム)の手法を用いるなど、工夫を凝らしています。また、学んだことを実際に活用できるようにするため、シミュレーション形式の実践的なトレーニングも行っています。その際、実際に起こった事件だけでなく、仮想の世界を舞台とする事件を創作して、対処の仕方を訓練しています。学生たちは「問題の原因は?」「どのような⼈間関係なのか?」「法的にはどのように判断できるのか?」「大局的に見ると最適な選択は?」といった多様な観点から考察を加え、様々な学術的知見を参照しながら、対処⽅法を探究しています。
こうした体験を通して、「なぜ法が必要か」といったことも理解しやすくなると思います。また、様々な学術的知見を本当に身に付けることができるようになると考えています。

普段の生活でも活かせる学び

久保ゼミは、実践形式で紛争処理に取り組むところが魅⼒。法律や人の感情に関する様々な知識を「どう活かすか」を学んでいます。今はA〜Fの6つの班に分かれて、様々な知識の活用の仕方を体感して理解できるように、実践的な練習問題と解説を自分たちで制作し、順番に発表しています。たとえばA班は紛争が起きる原因の分析、私たちのD班は対⽴が起きた場合の対応パターンなど、基礎から応⽤まで、取り扱うテーマが段階的に設定されています。
このゼミで扱う「紛争」は、身近な家族内での争いや企業間での揉め事、国際紛争など様々です。様々な紛争への対応策を考えるうちに⾏き当たったのは、怒りに任せるだけでは何も解決しないということ。親とよく⼝喧嘩していた昔の⾃分⾃⾝を振り返ってみても「あの時こう対処しておけば、もしかしたら」と思い当たることがあります。価値観の違いを埋めることや感情をコントロールすることが容易ではないからこそ、法律という「客観的」な指針がキーになってくることが理解できました。
今の私なら、トラブルに巻き込まれた⾝近な⼈に⼿を差し伸べることができるかもしれない。⾝に付けた知識がすぐに普段の生活でも活かせることも、この分野を学ぶ⾯⽩さだと思います。

法政策学科 3年次
佐藤 莉子さん

 

※掲載内容は取材当時のものです。

ゼミ発のNPOと提携し、リアルな「まちおこし」に挑む

中谷 真憲 ゼミ

「それ、おもしろいね」を形にする

よりよい国をつくるための政策を民間から提案する。「まちおこし」などを題材に、現場とグローバルな視点から改善点を考えていくゼミです。
中でも一番の特徴は、ゼミから誕生したNPO「グローカル人材開発センター」と連携していることです。ゼミ生は行政や企業との分厚いネットワークを使って、さまざまなプロジェクトにチャレンジしています。話し合いの中で、「それ、おもしろいね」と盛り上がったアイデアが形になる。政策を立案するノウハウが身に付くとともに、具体的に変革を起こしていく手ごたえを感じられます。こうした経験を経て実際に起業したゼミ出身者もいるほどです。
フィールドワークで役所の人たちと関わった学生からは「行政のイメージが変わった」という声も。このように行政や企業と連携できる貴重なチャンスを生かし、社会で役立つ実践力を培っていきます。

「知人のバッグを持ち帰った」 窃盗罪が成立する条件を考察

岡本 昌子 ゼミ

議論を積み重ね、ロジカルな思考力を身に付ける

刑事法の中でも、特に刑法解釈学を学ぶゼミです。「人を死亡させた」「人の物を盗んだ」という行為も、状況やそれに対する評価の仕方で罪名は大きく変わります。授業では毎回1つのケースについて、ど のような罪名が成立するのかをグループで調べて発表します。
例えば、Aさんが自動販売機で飲み物を買っている隙に、自動販売機近くのテーブルに置かれたAさんのバッグを持ち帰れば窃盗罪ですが、Aさんがバッグを置いたまま別のフロアに行き、10分後に現れたBさんがテーブルの上のバッグを持ち帰ったケースならどうでしょうか。バッグの形態や置かれた状況はどうだったか。後で警察に届ける気持ちがあったか。
故意と過失の境界線も見定めなければなりません。刑法解釈学はロジックの積み重ねが最も色濃く出る学問の一つ。学生は議論を通して論理的な思考力と多面的な見方を実践の中で学びます。

刑法ゼミの熱いバトル
「刑法討論会」

刑法討論会は法学部の刑法をテーマとする四つのゼミ対抗で行われるイベントです。事前に出題される架空の事件について、その行為がどのような罪にあたるのか、その根拠は何かを各ゼミの代表者がプレゼンし、教員の審査と聴講者の投票によって優勝が決まります。
例えば、「A が殺し屋に殺人を依頼したが、殺し屋が誤って別人を殺害してしまう。依頼者であるAと殺し屋はどんな罪に問われるか?」といった難問が出題され、会場では鋭い質問が飛び交う白熱のバトルが展開。教員のアドバイスなしに学生だけで準備を進めるため、苦労もありますが達成感もひとしおです。

学生自身の出身地の課題を掘り下げ、それらを解決する法政策を提案

焦 従勉 ゼミ

自ら問題を発見し、解決策を提示する

食品ロスや海洋プラスチック問題、あるいは地域限定の町おこしなど、昨今のメディアをにぎわす政策を研究するゼミです。
学びの柱としているのが「環境」と「地域」。特に盛り上がるのは、学生自身の出身地の身近な問題や政策を掘り下げるケースです。例えば、香川県は交通事故率が全国でも突出して高かったのですが、その改善策 を調査したり、大阪のヒートアイランド現象を防ぐための対策を分析したり、鳥取県倉吉市の町並み保存の政策を提案します。学生にとっては身近でありながら、「環境や地域をより良い未来につなぐ」という法政 策の原点を見つめ直す学びになるでしょう。法政策を考える上では、法律の解釈とは違い「自ら問題を発見し、解決策を提示する」という姿勢が不可欠です。このゼミでは日常の課題に目を凝らし、法律や政策を駆 使する力を身に付けていきます。

舞鶴市が抱える問題を検証。 それらの具体的な解決策とは?

山田 啓二 ゼミ

地域の問題を実感して法政策に取り組む

ゼミのテーマは、現場から法政策を学ぶことです。2019年度は、本学と包括協定を結ぶ京都府舞鶴市を舞台に「子ども農山漁村体験プログラム」の開発を目的としたフィールドワークを実施しました。
これは、地方活性化の政策として中学生向け「教育旅行のモデルコース」を提案・実践するもので、国と連携して進めている事業の一環でもあります。人口減少の影響で整備できない荒れ地や大量のプラスチックごみで埋め尽くされた海岸など、学生が実際に現地を訪れ、舞鶴市が抱える問題を肌で感じ、課題を見つけ出します。現場から見えてくる少子高齢化や環境、エネルギー、歴史といったあらゆる問題と向き合い、解決策を考えながらモデルコースを組み立てていきます。
実感なき政策は意味を成しません。現場に触れて政策を組み立て、それが実行されるまでをゼミ活動を通して体験できます。

ゼミ同士で競い合う
「政策立案コンテスト」

毎年秋に開催される、学生団体「法学部ゼミ連絡ネット」主催による「政策立案コンテスト」。法律系・政治系・政策系にかかわらず全てのゼミが参加可能で、例年約20チームがエントリーします。テーマの制限はなく、学生自身がテーマを決定して政策提言を行います。例えば「放置自転車」という都市問題の解決方法を考える場合、条例を作るためには地方自治法の知識が不可欠で、さらに自転車の所有権に関しては民法、自転車事故の問題には刑法や保険制度への理解も必要です。コンテストへの参加と議論を通じて、法律知識の実践的な使い方を身に付けます。

社会保障法・ 労働法の 基礎研究

高畠 淳子 ゼミ

バランスの取れた問題解決能力を獲得する

毎年扱うテーマはさまざまですが、社会保障法と労働法の両方の視点から、働き方改革やLGBT問題、障害者雇用など、なるべくタイムリーな課題を取りあげるようにしています。ゼミの進め方は、まず文献を読み込んでしっかりと内容を理解し、必要があれば企業や行政の担当者などにお話を伺い、それを踏まえてグループで調査や議論を行って成果報告をする。社会保障法と労働法は普段あまり意識することはありませんが、社会に出れば必ず関わってくる身近な問題を扱う分野です。労働者と経営者、貧困層と富裕層、弱者と強者、双方の価値観を理解した上でバランスの取れた解決法を見いだせるような、偏りのない思考のできる人材を育てる場になればと考えています。

消費者契約の視点から民法(契約法)を学ぶ

坂東 俊矢 ゼミ

リアルな“人”の視点から民法を考える

私のゼミではあくまで生活者(消費者)の目線にこだわって、民法に関する裁判例や理論、関連する立法などを勉強します。法律は合理的な判断をする人間を想定して作られていますが、実際には常に人が合理的な判断を下せるわけではありません。例えば未成年や高齢者のように、判断力が未熟であったり衰えている人たちもいます。そのために彼らは不利な契約で被害を受けることもあれば、違法行為を犯して責任を問われてしまう場合もあるでしょう。そういうときに民法はどんな役に立てるのか、実生活の中で普通の人が民法を活用していくためには何が必要なのか──?実社会に生きるリアルな“人”を想定して「普通の人の視点から民法を考えよう」というのがゼミのテーマです。

被害者学・被害者政策

新 恵里 ゼミ

現代日本の喫緊の課題である被害者支援について学外活動などを通して実態を理解し、研究していく

被害者支援の
しくみについて
実際の事例を基に考察

犯罪被害者への救済制度といった社会的支援について学びます。この分野は社会的要請が高かったにもかかわらず、日本ではほかの先進国と比較して法的にも政策的にも整備が進んでいませんでした。その経緯を踏まえながら、現在の被害者支援に関する法制度・システムの問題点や課題、そして将来の被害者支援のあり方について、官民で行われている事例を題材に考察します。そのため刑務所見学やイベントへの参加といった、学外活動の機会が多いことも特長です。

加害者の「被害者性」にも
着目し「見えにくい」
社会課題に挑む

被害者支援では、「新たな被害者をつくらない」という観点から、「再犯防止」のための取り組みも必要となります。そこでは幼少時の被虐待経験など、加害者に潜む「被害者性」についても考慮しなければならず、これらを踏まえた加害者更生のしくみについても学びます。犯罪被害者への社会的支援は、現代日本が抱える「見えにくい」喫緊の課題のひとつです。警察官など公務員を志望する学生だけでなく、あらゆる学生に関心を持ってもらいたいと思います。

制度やしくみだけでなく
「心のケア」の重要性も実感

法律学科2年次 山口 茜梨沙

このゼミでは、被害者支援における「心のケア」も重視しています。例えば、恒例行事のひとつである「生命のメッセージ展」のボランティア活動では、事件の当事者に寄り添うだけではなく、被害者問題について深く考えることができました。また、刑事施設・少年施設に参観をし、専門的な知識を学ぶと同時に、刑事政策を考える上での大きな手助けになっています。

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