【理学部】数理科学科 談話会を開催しました

2024.02.21

2024年2月6日(火)に「数理科学科 学生向け談話会」を開催しました。
今回の談話会は、本学の卒業生でもあるお二方、大阪大学大学院の廣松 賢哉氏、滋賀大学大学院の三谷 治氏を招き、それぞれ「完全二部グラフに付随する同変𝐻∗ 級数のeffective 性について」「環境データを指標としたベイズ推定に基づく種子発芽予測」というタイトルでご講演いただきました。

廣松氏の講演では、Ehrhart理論について丁寧な導入から始めていただき、格子多面体や群作用などを用いて「同変𝐻∗ 級数」にまつわる「Stapledonによる予想」をご紹介いただきました。この予想は「H∗ がeffectiveであることと、多項式(有限べき乗)になることが同値条件になるか?」というものです。先行研究で「effectiveである⇒多項式になる」という事実は示されており、反対向きの条件は成立するかどうかが未解決です。廣松氏は「H∗ がeffectiveであり、多項式となる新しい例」を「対称辺多面体および有限群 Z/2Z」を用いて数多く構成しました。先行研究の結果を深く考察し、自身の結果に繋げた廣松氏の研究成果の報告は、本学の後輩たちにとって良い刺激になったことと思います。

三谷氏の講演では、自身の大学院生活での「企業連携の経験談」からお話がスタートしました。データサイエンスと農業業界の連携の重要性を語られ、「スマート農業」においてデータの収集だけにとどまらず、「分析する」ことが重要であるとご説明いただきました。三谷氏の修士論文の研究では、さまざまな種子の発芽予測の研究を行っており、温度や水分量に着目したHTTモデルに対し、MCMC(マルコフ連鎖・モンテカルロ)法を用いたベイズ推定で発芽検証を行っています。講演の最後には、後輩たちに向けて「データサイエンティスト」を目指す上で、どのような勉強方法があるか、どのような資格があるかについてもアドバイスをいただきました。本学科では企業に就職を目指している学生も多く在籍しており、実際の企業と研究連携を行った取り組みを学べる貴重な機会になったことと思います。

今回の談話会は教員学生ともに参加者が多く、盛況のうちに終了しました。今回の談話会が学生の勉強・研究の意欲向上に繋がれば嬉しく思います。

談話会は、学内教員や研究実績のある研究者を招聘して定期的に講演会を行うことで、理学の最先端の研究内容に触れ、研究意欲の促進、教育・研究の質的向上を図ることを目的として実施しています。参加は教員だけでなく、学部生、大学院生、その他一般の方々も可能です。
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