2017年度「国際文化研修(インド)」の成果報告会が開催されました!

2017.11.15

文化学部では、海外における文化研修を授業計画に含む「国際文化研修(インド)」を開講しています。
この科目は、海外研修において、語学実習を集中的に実践するとともに、研修先大学の現地学生との交流や文化施設でのフィールドリサーチなどにより、現地の現状と歴史的・文化的背景について理解を深め、国際交流・国際相互理解のあり方を実践的に学ぶことを目的として開講しています。
2017年度においても、インドの文化や歴史などを学ぶ学内での事前学習を経て9月2日からの約2週間、文化学部の志賀 浄邦 准教授とともに、15名の学生が本学交流協定校であるインドのヴィドヤー・プラサーラク・マンダル大学(VPM)での海外研修に参加しました。現地研修では英語やヒンディー語の授業のほか、地元の祭への参加やターネー市長の訪問など、多彩な交流イベントが実施されました。

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帰国後の成果報告会では、学生たちが実際にインドに渡ったことにより見たこと・感じたこと・学んだことなどを「百聞は一見に如かず」として、いきいきと報告してくれました。海外から日本を見る良い機会ともなったようです。「国際文化研修(インド)」プログラムは、今年度以降、隔年での開講となり、次回実施は2019年度の予定です。

参加学生のコメント

  • 今までの人生の中で、最も充実した2週間を過ごすことができた。
  • 今後も海外留学にチャレンジしたいと思うきっかけになった。
  • インド人が日本のことを知りたいという気持ちを強く感じた。
  • 異文化理解とは、他国のことを知るだけではなく、自国の理解を深めることも大切だということが実感できた。
  • 海外に視野を広げるだけではなく、日本のことをもっと知りたいと思った。
  • 今でも交流したインド人とSNSでつながって情報交換している。今回お世話になったインド人が日本に来るときまでに日本文化の勉強をして、インドで伝えられなかった日本文化を伝えられるようにしたい。
  • 言葉が通じずもどかしい気持ちもあったが、何とかコミュニケーションを取ろとしてくれるボランティア学生の優しさが嬉しかった。
  • 海外に行くのは初めてだったが、インド人のホスピタリティ精神に圧倒された。
  • 現地に行く前は、インドはこわいイメージがあったが、インド人はあたたかく親切な人が多かった。
  • 最初はインド料理にとまどったが、途中から慣れた。朝のヨーガの後の朝食はおいしかった。
  • 最低限のお金と物があれば、なんとか生きていけるという勝手な自信がついた。
  • インド人学生ボランティアとの交流を通じ、インド人が自分に自信を持って生きていることを感じることができた。

担当教員の声

「国際文化研修(インド)」担当教員 志賀 浄邦 文化学部准教授

今年は15名が参加しましたが、大きな問題やトラブルもなく、無事に現地での全日程を終えて帰国の途につくことができました。これも参加者全員が、主体的・自律的に行動してくれたおかげであると思います。
滞在先宿舎での夕食風景
現地でのプログラムは、主にヨーガの実修、ヒンディー語学修、コミュニケーションを中心とする英語の学修、現地の学生や教員との文化交流プログラムなどから成ります。ヨーガは、毎朝朝食前に大学のキャンパス内で行いました。現地で体験したヨーガは欧米的(日本的)ないわゆる美容と健康のための「ヨガ」ではなく、呼吸法や瞑想を含む本格的なものでした。約1時間~1時間半みっちりヨーガを行った後は、とても清々しい気持ちとなり、心も体もリフレッシュした状態で一日を過ごすことができました。ヨーガを専門とする先生の指導の下、全員ヨーガの基本をマスターし、最後に思い思いのポーズを取って記念撮影を行いました。ヨーガの先生からも非常に意欲的で勉強熱心な学生さんたちであるとお褒めの言葉をいただきました。
ヨーガのレッスン
また週末には、ターネー市と同じ州にあるナーシクという都市を訪れ、アーユル・ヴェーダの研究施設やヒンドゥー教寺院、仏教遺跡を見学しました。翌日は、ムンバイ市内でのフィールドワーク(インド博物館、動物園、インド門、アラビア海クルーズ、ネール・センターなど)を行いました。
ムンバイ・インド門の前で記念撮影!
その他、ターネー市長(女性)を表敬訪問したり、研修の同時期に行われていたガネーシャ(象の神さま)のお祭り(ガネーシャ・チャトルティー)に参加する機会もありました。VPM大学の理事長のお宅にお邪魔したときには、現地の地方料理をふるまっていただいた他、帰り際に全員に贈り物をいただくなど大変な歓迎を受けました。行く先々でのインド人の盛大な歓迎ぶりに、学生さんたちはとても驚いていた様子です。彼らは研修を通して大いなる「カルチャー・ショック」を受け、自分の住む日本について、日本人について考え直すことを余儀なくされたようです。
ムンバイ・ネールセンター前で記念撮影
ガネーシャ(象の神さま)のお祭りに参加
みんなでメヘンディー体験
大学で行われたイベント(お祭り)に参加
今回参加した15名は、現地でも大いに活躍してくれました。初学者が多かったヒンディー語も自己紹介や簡単な会話なら問題なくできるレベルまで上達し、英語も「通じることが第一」をモットーに、現地の学生や先生方とのコミュニケーションを通じて、より実践的ないわば「サバイバルのための英語」をマスターすることができたと思います。ただ一方で、特に英語に関してですが、「日本でもっとしっかり勉強しておけばよかった」と自分自身の能力不足・準備不足を嘆く声も聞かれました。彼らは現地である種の「悔しさ」や「欠乏感」を感じたわけですが、そのような思いは次のステージに進むための大きなきっかけ、原動力となりえます。このような思いをバネに今後の大学生活、またその先の人生を過ごしてもらえたらと思います。

なお我々の訪問は、ちょうど安倍首相の訪印時期と重なっていたためか、ターネー市でも話題になっていたようで、現地の新聞社数社から取材を受けました。大手英字新聞「タイムズ・オブ・インディア」(全国紙)からも取材を受け、地方欄にではありますが、学生のコメントとともに「インドのホスピタリティーと伝統が日本人学生を魅了し、彼らのステレオタイプ(先入観)を打破した」というタイトルの記事が、掲載されました。(新聞記事のコピーは現在11号館1階の掲示板に掲示しています。)

最終日の前日には、文化交流プログラムの一環で日本文化に関するパフォーマンスを披露する機会がありました。学生全員が3つのチームに分かれ、現地でも連日打ち合わせや練習・リハーサルを行いました。最初に学生2名のチームが台湾式と日本式の茶道を披露した後、女子学生9名のチームが日本のアニメソングを2曲披露しました。その後、シャールク・カーン主演のインド映画「マイ・ネーム・イズ・ハーン」の挿入歌ともなった「We shall overcome」を英語とヒンディー語で熱唱しました。引き続き男女混合の4名のチームがよさこいソーラン節を熱演しました。最後は会場にいたインド人学生たちもステージに呼び込み、会場は大いに盛り上がりました。これらとは別に、日本人学生が書道や折り紙などの日本文化をインド人学生に教える時間もあったのですが、インド人学生は日本文化に興味津々の様子でした。
サリーと浴衣姿でパフォーマンスを披露
学生全員によるよさこいソーラン節の共演
VPM大学のボランティア学生17名は、研修期間中、食事の仕方から目的地への誘導、買い物、道路の横断に至るまであらゆる場面で本学の学生をサポートしてくれました。その献身的なホスピタリティ(おもてなしの精神)とボランティア精神は特筆すべきもので、我々日本人も見習わなければならないと感じました。彼らは、全員が学内の同じボランティア組織に所属しており、普段から社会活動や種々のボランティア活動に携わっているようです。最終日の振り返りのセッションの際には、双方の学生が2週間の研修を振り返り別れを惜しみました。短い期間ではありましたが、日本・インド双方の学生さんたちが最後に見せた涙が全てを物語っているような気がします。参加学生たちは、「これから日本でインドの良さをもっと伝えていきたい」「今度は私たちがインドの人たちのために何かしてあげよう」という思いを胸に、インドを後にしました。
インド人学生と大学前で記念撮影
今回研修に参加した学生15名は、当初初対面同士も多かったようですが、2週間の研修を終えてみると親密度も増し、「インド」を共有するかけがえのない仲間同士となったようです。
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