文化学部京都文化学科「京都文化特論Ⅹ」にて黒谷和紙協同組合 理事長 林 伸次氏が講義

2018.11.29

文化学部京都文化学科では、京都の伝統工芸の後継者育成問題について学ぶ「京都文化特論Ⅹ」
(担当:成田 智恵子先生)を秋学期に開講しています。
11月29日の講義では、黒谷和紙協同組合 理事長である林 伸次氏をお招きしました。林氏は京都精華大学を卒業した後に、黒谷和紙協同組合の研修生となり、現在は和紙職人かつ組合の理事長として黒谷和紙の普及活動に注力されています。
黒谷和紙は約800年前に、平家の落武者が子孫へ残す仕事として始めたものと伝えられています。提灯や和傘、障子などの材料として、あるいは京呉服に関連した値札や渋紙、たとう紙などとして使用され、長きに渡り京都の伝統産業を支えてきました。機械漉きの和紙が主となった現代においても、黒谷和紙は全国でも希少な手漉き和紙の産地の一つとして、伝統的な技法を守り続けています。
講義では、黒谷和紙の歴史や和紙づくりの工程、後継者育成事業の現状について説明されました。また、和紙の原料である楮と、“ねり”と呼ばれるトロロアオイの根を原料とした粘液を混ぜ合わせることにより、水中の繊維の分散性がどのように変化するのかについて、手漉き和紙の実演を含めて解説されました。林氏はこれまでのご自身の経験を踏まえた上で、手漉き和紙に挑戦することの楽しさと、仕事として伝統工芸を続けることの厳しさについて述べられていました。
学生は実際に和紙を手に取り、使用することによって、和紙の特徴や天然材料の力に驚くとともに、多くの人々の手を通じて和紙がつくり出されていることに感銘を受けていました。手漉き和紙体験を行なった学生からは「簡単そうに見えていたが、全く上手くできなかった」「自分で漉いた紙を実際に使ってみたい」などの感想が得られました。
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