4年間の学び
1・2年次は基礎を徹底、3年次からは専門を深める
1年次バランスよく基礎を養成
入学直後から専門の基礎科目が始まります。数学と物理、講義と演習、理論と実験をバランスよく配置しています。
カリキュラムは、共通教育科目と専門教育科目、選択科目と必修科目から構成しています。
卒業するには所定の数以上の単位をとる必要があります。
主な科目紹介
力学
ベクトル代数を使って質点の運動学を学びます。ニュートンの運動方程式を解くということは、微分方程式を解くということです。力学は近代科学のプロトタイプなのです。
電磁気学
電場と磁場の満たす場の方程式がマクスウェル方程式です。ベクトル解析を駆使してその構造を学びます。連立偏微分方程式の解法に出合う科目です。
量子力学
原子や素粒子は波であり粒子でもあります。シュレディンガーの波動方程式を解いてエネルギースペクトルや波動関数を求めます。
素粒子・原子核物理学
物質には反物質があり、素粒子はクォークとレプトンに分類されます。それらに働く強い相互作用と弱い相互作用を学びます。
2年次専門分野の学びへ踏み出す
必修科目の数は理学部3学科の中で中程度で、1年生科目も再履修しながら2年生科目も履修できるよう配慮をしています。
教職科目も履修するとタイトなスケジュールとなる場合でも、アルバイトやサークル活動を楽しむ学生がいます。
理学部を特徴づけることとして、少人数教育、修学アドバイザー制、オフィースアワーといったイベントもあります。
3年次自らの専門性を高める
進路を見据えた選択とその支援授業や大学院に続く高度に専門的な授業が展開されています。インターンシップや夏の学校に参加する人もいます。
社会のニーズに合わせた2コースを用意
宇宙産業のものづくり人材育成のための「宇宙産業コース」と、半導体物理を学べる「半導体産業コース」を2024年度から設置。
興味や進路に応じて選択できます。
宇宙産業コース

学んだ物理科学を産業の役に立たせる広い視野を持つ人材を養成するため、「宇宙産業コース」を設けました。
宇宙空間で利用できる科学技術、それを支える基礎物理学の講義、実習科目を配置しています。人工衛星、次世代材料、ダークマターなどの話題を提供し、宇宙関係の「ものづくり」産業で活躍できるポテンシャルを身に付けます。
半導体産業コース

学んだ物理科学を産業の役に立たせ幅広い視野を持つ人材を養成するため、「半導体産業コース」を設けました。
電子論から学べる半導体物理や電子素子に関する講義、実習科目を配置しており、産業界で話題のパワー半導体や量子コンピューターにつながる固体物理への深い理解に加え、実践的知識・経験を積みます。
スペシャリスト支援プログラム
物理学の各分野のスペシャリストを目指す学生のための支援プログラム。高度な計算を行う技術を修得する「コンピュータ物理学講座」や、新しい物質を実際に作って性質を調べる「実験物理学講座」などの科目で、将来、理論と実験の専門家として活躍できる人材を育てます。
4年次卒業研究に取り組む
就職活動や大学院入試の勉強など各自の活動を継続しつつ、所属する研究室での卒業研究が開始されます。
特別研究

特別研究とは、4年間の学びを基に各自が研究テーマを設定し、教員の指導を受けて研究を深め、卒業研究としてまとめるもので、物理科学科での4年間の集大成となる重要な授業です。
卒業論文テーマ(例)
- ディラック半金属候補物質の作製
- カーボンナノチューブの分離精製の研究 など
研究
グラフェン積層系のエネルギーにおける魔法角の研究
物理科学科 4年次作田 真央さん
回転角度で変化するモアレパターンとエネルギーの落ち込みとの相関関係を探る
グラフェンという炭素原子の結合したシートを2枚重ね、回転させると分子間相互作用エネルギーが生じます。その回転角度とエネルギーの変化をグラフに表すと、エネルギーの落ち込みが周期的に観察できます。その時の角度は魔法角と呼ばれ、私の研究ではそれがなぜ起こるのかについて考えています。
一方、シート表面にはモアレと呼ばれる模様が現れ、回転角度によってさまざまなパターンが生じます。私は魔法角と、魔法角が出る際のモアレパターンとの相関を探ることから原因究明に取組んでおり、それがわかればグラフェンという素材の特性も明らかになり、産業界の発展に貢献できるのではないかと考えています。
※掲載内容は取材当時のものです。


蔵書が豊富で検索しやすい図書館は、研究活動の頼もしい味方。開放感あふれる明るい雰囲気もお気に入り
Dynamical Matrixによるフォノン分散の理論計算
物理科学科 4年次熊 貴志さん
量子力学による物理計算に取組み次世代技術への可能性を追究する
量子力学を用いて物理計算を行う理論物理学に興味があり、この研究室を選びました。内定先は産業分野の調査や分析を行う企業であるため、入社後はさまざまなシミュレーション業務に取組む必要があります。現在取組んでいるダイナミカル・マトリックスという手法を用いた原子の振動計算は、就職後の業務にも役立つ研究です。計算量が多く大変な作業ですが、この研究を通して計算能力の向上はもちろん、パソコンのプログラミング技術や、ミスを発見し原因を究明するスキルを身につけられました。不明点についても先生が親身になって教えてくださり、いい環境で研究生活を送れたと感じています。
※掲載内容は取材当時のものです。


ダイナミカル・マトリックスという計算方法では、パソコンや電卓ではなく、「手」と「頭」をフル回転させる