
研究テーマ
高校生に向けた研究内容の紹介
よく見聞きする物質の三態、気体・液体・固体という区別は、実は曖昧なものです。ソフトマターとは、難しく言うと「液体と固体の性質をあわせ持つ柔らかい物体」ですが、実際には液晶からゼリーまで身の回りに広く存在するものです。このソフトマターの振る舞いを決める重要な要素が、分子・原子の「ミクロ」と、我々の目に見える「マクロ」の中間の大きさである「メソ」の構造です。私の研究室ではメソスケールの粒子(微粒子)に新しい性質を与え、これまでにないソフトマターを作り出そうという研究を行っています。
ソフトマター物理学
物理学には「物の性質」を探究する“物性物理学”という分野があります。普段よく見聞きする「気体・液体・固体」という物質の三態は、実は非常に曖昧なもの。物性物理学ではさらに複雑な物質や状態に踏み込みます。中でも研究が盛んな分野の一つが「ソフトマター」です。難しくいえば「液体と固体の性質を併せ持つ柔らかい物体」ですが、実際には液晶からゼリーまで日常の中に広く存在する物質でもあります。
ソフトマター物理学では「中間のサイズの構造」が重要な役割を果たしています。分子・原子の「ミクロ領域」と、われわれが目で認識できる「マクロ領域」の中間を「メゾスコピック領域」といいますが、物質の中にあるこの領域のサイズの構造がソフトマターの性質を特徴づけているのです。私の研究室では微粒子を手掛かりに、新たなソフトマターを生み出す研究を行っています。特に今、注目しているのが「砂」です。具体的には「せっけんのような性質を持った新しい砂」をつくることができないか、試行錯誤をしているところです。
そもそもせっけんでは界面活性剤という、水分子と油分子がくっついたような性質を持つ分子が油を包み、水に溶かし込んでいますが、同様のものが砂でつくれないかと考えています。研究が進めば、原油が流失した海にまいて海水と分離させることができたり、地震による地盤液状化現象の防止に役立つようなものができるかもしれません。原子や分子と違い、物質を構成する単位を自在に制御できる利点を生かし、新たな物質をつくり出せるこがこの分野の醍醐味だと思います。
ゼミナール/研究室のテーマ
ソフトマター物理学
ゼリーや人体は柔らかいけれど一定の形を持ち、砂山は傾けると液体のように流れます。通常の固体・液体・気体とは異なるこのような「柔らかい」物質群をソフトマターと呼びます。その新奇な性質を解明し、新たなソフトマターを創り出すことを目指しています。
※特別研究とは、4年間の学びをもとに各自が研究テーマを設定し、教員の指導を受けて研究を深め、卒業研究としてまとめるもので、理学部での4年間の集大成となる重要な授業です。
ゼミ/卒業研究の紹介
私の研究室の方針は、「本気で研究することを楽しもう」です。学術的に未解明な問題に自ら取り組み、解明し、世界に向けて発信して、科学の発展に貢献する-これにより、目標に向けて真剣に取り組む楽しさ、やりがいを感じてほしいと思っています。勉強するソフトマターの教科書、具体的な研究テーマなどは、教員と相談の上で学生が自分で選びます。研究では、教員のサポートのもと、実際に微粒子を作成し、興味深い現象を発見するなどして、多くの学生が充実した時間を過ごしているようです。