
研究テーマ
ナノスケールからの物質デザイン
高校生に向けた研究内容の紹介
私たちの身の回りにある物質の多様で魅力的な性質は、物質を構成する原子がある規則に従って配列することで初めて現れます。私たちの研究室では、物質の原子配列を研究することで、なぜそのような性質が発現するのかを明らかにし、それを応用して意図した性質を持つ物質の構造を設計する「ナノスケールからの物質デザイン」を目指しています。電磁気学の常識「V=I R」が通用しない
電磁気学の常識「V=I R」が通用しない
ナノサイエンスの不思議に迫る
炭素がサッカーボール状に組み合わさったフラーレンや筒状のカーボンナノチューブなどナノスケールの物質は、マクロスケールの物質とは異なる興味深い性質を示します。中高時代に学んだ電磁気学、例えばV=I R(電圧=電流×抵抗)は、ミクロやナノの世界では通用しないのです。電気の流れる速さや滞留は、原子構造をほんの少し変えただけで劇的に変化します。その性質がどのような理由で現れるのかを量子力学を通して明らかにすることを目指しています。
ゼミナール/研究室のテーマ
計算物質科学・ナノサイエンス
フラーレン、カーボンナノチューブなどの炭素ナノ物質や、原子スケールで眺めた物質表面などナノスケールの物質は、マクロスケールとは異なる興味深い性質を示します。
その性質がどのような理由で現れるのかを明らかにすることを目指しています。
※特別研究とは、4年間の学びをもとに各自が研究テーマを設定し、教員の指導を受けて研究を深め、卒業研究としてまとめるもので、理学部での4年間の集大成となる重要な授業です。
ゼミ/卒業研究の紹介
科学者として必要な、(1)専門書や研究論文を読んで理解し、(2)その内容を自分で再現し、(3)他人に分かりやすく説明する能力を身につけましょう。この能力が十分に身につけば、(4)重要なのにまだ誰にも調べられていない問題の存在に、自ずと気づくようになります。(5)それに対して自分なりの方法で自分なりの答えを出し、論文にまとめましょう。
プロフィール
生まれは岡山県倉敷市です。大学生の頃は小説家になろうと思っていましたが、会社勤めなどを経て、今は物理学者をしています。自転車歴は約10年。昨夏は家族で琵琶湖を一周、完走しました。次の目標は淡路島です。最近はバードウォッチングも少々。
高校生へのメッセージ
理系の大学を志望する高校生には、ぜひ大学院に進学して、科学研究の楽しさと苦しさを体験して欲しいと思います。学部4年生と大学院の数年間を研究室で過ごす中で、まだ世界中の誰も答を持っていない問題と向き合い、何年もかけて自分なりの答を導き出し、その答の重要性を世に知らしめるという経験は、人間の営みとして他の何ものにも代えがたいものです。