下村 晋

SHIMOMURA SUSUMU
理学部 物理科学科 教授
学位
博士(工学)
専門分野
構造物性物理学

研究テーマ

構造物性物理学

高校生に向けた研究内容の紹介

物質の性質をミクロな結晶構造(結晶における原子の並び方)の視点から解き明かす構造物性物理学が私の専門分野です。X線を用いた回折実験をおこなって、結晶構造やその変化を調べています。大学の実験室のほかに放射光施設でも実験をおこなっています。温度や圧力や磁場といった物質を取り巻く環境を変えることで、物質の性質の本質に迫ったり、応用に役立つ性質や新しい性質を探したりもしています。写真は実験室で使用しているX線回折装置です。

物性が大きく変化する相転移から物質の本質に迫る

物質の性質をミクロな結晶構造の視点から解き明かす「構造物性物理学」が私の専門分野です。結晶は原子や分子が規則正しく並んで結晶構造を形成していますが、その結晶構造の変化をX線回析・散乱実験により調べています。実験は大学の実験室だけでなく放射光施設(Photon FactoryやSPring‐8)でも行っています。放射光施設では、物質の動的な性質や磁気的な性質を調べたり、新たな実験手法の開拓を行ったりもしています。実験を通して物質の性質の謎に迫ることができたときが心躍る瞬間です。
私が特に興味を持って研究しているのが「相転移」です。相転移は物質内で起こる「革命」とも言える現象です。身近な相転移の例として、水が氷になったり水蒸気になったりする現象があります。このような、液体が固体になったり気体になったりする相転移のほかに、固体の中で起こる相転移もあります。例えば、超伝導状態が現れるのも相転移の一種です。また、磁気的な性質や電気的な性質が劇的に変わる相転移もあります。相転移は基礎科学的な興味の対象となっているだけでなく応用上も極めて重要な現象です。
物性物理学は現在でも実験・理論の両面から発展し続けており、その知見はさまざまな分野に応用されています。このことから、物性物理学を学ぶことは幅の広い進路選択につながるといえるでしょう。

ゼミナール/研究室のテーマ

構造物性物理学

結晶構造(原子の並び)やその揺らぎから、物質の性質を明らかにすることを目的として、主にX線を用いた実験を行っています。温度・圧力・磁場といった環境下で物質が示す新しい現象を探索したり、その発現機構を解明したりしています。


※特別研究とは、4年間の学びをもとに各自が研究テーマを設定し、教員の指導を受けて研究を深め、卒業研究としてまとめるもので、理学部での4年間の集大成となる重要な授業です。

ゼミ/卒業研究の紹介

卒業研究(特別研究)では研究室に1年間所属して、主に物性物理学に関する実験をおこなっています。具体的には、X線やレーザーを用いた回折・散乱実験、物質の電気的性質を調べる実験、実験装置の開発、コンピュータを用いた計算シミュレーション、などです。物性物理学はさまざまな産業の基礎と言える学問分野ですので、卒業研究を通して身につけた知識や経験は卒業してからも役に立つと思います。

プロフィール

私は京都生まれですが、進学や就職・転職を機に奈良・兵庫・大阪・茨城・埼玉・神奈川に移り住んできました。京都産業大学で働くようになって再び京都で暮らすようになりました。京都には歴史的な文化や数多くの史跡があるうえ、山や川も近く自然も豊かです。京都を楽しむのに自転車はとても便利なので、最近また自転車にハマりはじめています。

高校生へのメッセージ

わたしたちはさまざまな物質に取り囲まれて暮らしています。物質の性質は物性物理学の発展によって解明され、その魅力が引き出され、そしてわたしたちの生活を便利で豊かにしてきました。これからも物性物理学の魅力と有用性が尽きることはないでしょう。物理学は物性物理学を含めたさまざまな分野からなる幅の広い学問です。物理科学科では物理学のほかに数学やコンピューターについても学ぶことができます。