2026.01.16

2025年度 理学部 教職支援講演会を開催しました

卒業生が語る「数学と専門性がひらいた国際教育の道」

2026年1月7日、理学部 教職支援講演会を開催し、本学理学部の卒業生で、元兵庫大学教授・JICA海外協力隊OGの山本真弓氏を講師に迎えました。講演では「専門性が未来をひらく-数学×国際教育×キャリアの実践-」をテーマに、数学を学ぶことの意義や、教員免許がもたらすキャリアの可能性について、自身の体験を交えて語っていただきました。
講演の冒頭、山本氏は「将来像がまだはっきりしない人はいますか」と学生に問いかけ、参加者がうなずく中で講演がスタートしました。理学部生の多くが抱える進路への不安や迷いに寄り添う形で、大学時代の挫折や葛藤を率直に明かしました。

講演会の様子(山本 真弓 氏)

「高校までの数学と全然違う」大学数学での挫折

山本氏は、京都産業大学理学部数学科(現・数理科学科)に進学した当初、黒板に並ぶ記号や定理、証明に強い衝撃を受けたそうです。「高校までの数学と、まったく違う」と当時を振り返ります。
一時は「どうせ自分には無理だ」と自分自身に限界を設けてしまいましたが、数学への「好き」という気持ちと、大学で出会った恩師の存在が支えとなりました。この経験から山本氏は、「挫折は終わりではない」と強調し、学生たちに「専門性はすぐに役立たなくても、後から必ず自分を助ける」とメッセージを送りました。

JICA海外協力隊としてグアテマラへ

講演の後半では、山本氏が人生の大きな転機となったJICA海外協力隊への参加について紹介しました。若い頃に協力隊員の話を聞いたことが心に残り、「時間は有限。今、動かなければ後悔する」と応募を決意。コロナ禍による延期を経て、2022年から2024年までの2年間、中米グアテマラで数学教育に携わりました。
現地の教育現場では、簡単な算数テストでも多くの生徒が十分に解答できない厳しい現実がありました。そこで山本氏は、中学校だけでなく小学校段階からの基礎定着が重要だと考え、九九の暗記キャンペーンを実施。「できた!」という成功体験を重ねることで、子どもたちの学ぶ意欲が大きく変わっていく様子を紹介しました。
子どもたちが「¡Ya! ¡Pude!(やった!できた!)」と声を上げる姿に、教育の力を実感したという山本氏は、「専門性は机上で終わらず、現場で人を支える“軸”になる」と語りました。

数学と教員免許が広げる未来

講演の締めくくりでは、大学数学で身につく力について言及。「計算力だけではなく、問いを立てる力、論理的に考える力、判断する力は、AI時代にこそ人にしかできない力です」と述べ、日本の教育の強みが世界で高く評価されていることにも触れました。
また、教員免許については「教職に就くためだけの資格ではない」とし、「人生の選択肢を増やすカードとして、将来の自分を支えてくれる」と学生を励ました。

最後に山本氏は、「今の学びは、未来で誰かを助ける力になる」という言葉を贈り、「誰の人生に関わっていたいかを、ぜひ考えてほしい」と呼びかけ、講演を締めくくりました。
会場では、教員志望の学生たちが熱心に耳を傾け、多くの質問が寄せられ、教職支援講演会として大きな学びの機会となりました。

学生の質問に答える山本氏