研究概要

1. 脳活動および各種生体信号に基づく情報環境の実現に向けた基盤研究

ブレイン・マシン・インタフェースにおける脳活動の適応的変化の神経基盤(伊藤、森)

実験動物の脳から記録する神経活動データをコンピュータで分析することで、神経活動から直接に外部機器をリアルタイム制御するブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の実装を行います。特にBMIにおける脳活動と環境との間の閉ループフィードバックにおける神経活動の適応的変化の神経基盤の探求を行います。また、蛍光顕微鏡を用いた神経活動の光学的測定の導入を進めます。

非侵襲脳心身計測および脳刺激を用いたヒトと情報環境の相互関係の研究およびスポーツトレーニングへの応用(奥田、伊藤、加藤、橋本)

脳波や視線計測を始めとするヒトの脳身体活動の非侵襲計測と心理行動反応評価を併用して、外界や情報環境と相互作用するヒトの脳・心身状態の特徴および情報環境との相互関係を研究します。これに関連して、近年社会に急速に浸透した高度なAI応用技術が生み出す諸問題も鑑み、倫理面も含めたヒトとAIの関わりを計算論的に検討する試みも進めます。また、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を用いた非侵襲脳刺激実験を行い、ヒトの心身情報処理やスポーツトレーニングにおける効率の上昇の検証を行います。スポーツトレーニングにおいては、自分がどの程度の負荷まで行うことで効果が得られるか(それ以上の負荷は有効性が少ない)という負荷の閾値が提供されることが望ましいです。科学的なデータに基づいて個人の特性に合ったトレーニング効果の閾値の提供を目指します。

筋電を含む各種生体信号の測定とマルチモーダルデータ統合による文脈の抽出(赤﨑、伊藤、加藤)

筋電、脳波、心拍、皮膚電気反応、視線、モーションキャプチャーなどの生体信号から複数を同時計測し、これらのマルチモーダルデータの統合により被験者が現在置かれている環境、体調や感情などの文脈の抽出を試みます。抽出した文脈に基づき、被験者に適切な情報提供を行うシステムの構築に向けての基盤的な研究を行います。

視覚情報処理の神経基盤の生理学的研究(田中宏喜)

実験動物の視覚皮質から神経細胞活動を記録し、細胞レベルでの視覚情報処理の計算様式の解明を行います。

視線計測の新規デバイスの開発とその応用システムの開発(田中宏喜)

視線、瞳孔などの計測、脳波計測、表情検出や行動実験を組み合わせたヒトの視知覚や注意の研究を行います。

2. Social・Healthデータ分析および社会的応用に関する研究(河合、中島、 Jatowt、田中克己、角谷)

Society 5.0で実現する社会は、IoTで全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有されることで、これまでにないサービスを提供可能にすることが期待されています。例えば、ダイエットや体力維持を目的としたウォーキングやランニングに取り組む人々が増えていますが、継続して行うことは容易ではなく、ランニングの継続性を支援可能な研究開発は社会的価値および意義が大きいと考えます。これまで我々は、スマートフォン・スマートウォッチで取得可能な心拍数やエクササイズ履歴等のHealthデータと、周辺地域における位置情報付きツイート等のSocialデータに対してディープラーニング技術等を駆使したAI分析結果を、一般ユーザのライフワークの種々の場面で活用可能とする社会的応用を目指し、ランニング支援システムの構築を行って来ました。本研究では、多くのユーザと楽しさを共感できる多様性音響型ARランニング支援システムの構築に取り組みます。また、精神的および肉体的な健康に関するHealthオープンデータとSNSや購買データとなるSocialオーブンデータ分析と社会サービスの基盤構築に取り組みます。役割分担は、情報推薦システム開発を中島と田中克己が担当し、Health・Socialデータ分析を河合、Jatowt、角谷が担当します。

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