【現代社会学研究科】社会協働型ワークショップ 第1回・第2回公開授業を開催しました

2023.06.14

現代社会学研究科 社会協働型ワークショップ 石川直樹氏ご講演(5月20日)

現代社会学研究科専門教育科目「社会協働型ワークショップ」では「自然と文化」「身体と社会」「家族とジェンダー」をテーマに、社会との協働の架け橋となるための理論と実践を、ゲスト講師とのディスカッションを通して学んでいます。毎回のゲスト講師による講演は、全学の学生と教員に向けた公開授業となっています。

本年度の公開授業の第1回目は冒険家で作家の石川直樹氏に「ヒマラヤ登山とシェルパ」というタイトルで講演をしていただきました。

石川氏はヒマラヤ登山やスター・ナビゲーションによる遠洋航海などのさまざまな冒険をおこないながら、自分の身体を通して世界を知ることをめざし、その経験を写真や文章のかたちで発表しています。これまでに『POLAR』(日本写真協会賞新人賞、講談社出版文化賞授賞)、『CORONA』(土門拳賞授賞)、『まれびと』(日本写真協会賞作家賞授賞)などの写真集や、『最後の冒険家』(開高健ノンフィクション賞授賞)、『地上に星座をつくる』、『すべての装置を知恵に置き換えること』などの著書を刊行されています。また、個展も多数開催されています。

今回の講演では、ヒマラヤ登山をガイドとして支えるシェルパと呼ばれる人々に焦点を当てながら、彼らの村での暮らしや彼らにとっての山と信仰の話のほか、従来、外国人登山家の陰に隠れて主役になることがなかったシェルパの人々のなかから「自分たちの登山」をめざす動きがでていることなども紹介してもらいました。また、石川氏がカンチェンジュンガ登頂をめざした様子を記録した動画の一部を紹介いただきました。

質疑応答では、受講した大学院生から、冒険を通して自分たちの日常とは違って「あたりまえ」ではないと感じたことは何かといった質問や、登山を通して考える人と人とのつながりのあり方、シェルパの女性たちの社会進出などについての質問が出て、限られた時間のなか、石川氏と濃密なディスカッションを行うことができました。

現代社会学研究科 社会協働型ワークショップ 山田ゆかり氏ご講演(5月27日)

第2回目は、スポーツライターで総合型地域スポーツクラブ「一般社団法人飛騨シューレ」の代表理事でもある山田ゆかり氏をゲストに迎え、「スポーツとジェンダー」をテーマに講演していただきました。

山田氏はスポーツライターとして長野オリンピック前にトップアスリート達を取材していた時、選手から、指導者による性暴力について相談され、衝撃を受けられたそうです。それをきっかけに、それまでメディアではほとんど取り上げてこなかったスポーツ界における性暴力、セクシャルハラスメントの実態をフリーランスの立場から記事にしてこられました。また、そのような実態を目の当たりにする中で、子供たちが安心して、スポーツ本来の楽しさを味わうことができるように、20年前に総合型地域スポーツクラブを立ち上げ、現在、代表理事として運営をされています。

スポーツ界ではなぜ性暴力やセクシャルハラスメントが生じやすいのか、しかしなぜそれが明るみにならないのか、なぜ被害者より加害者の方が守られてしまうのかなどについて、指導者と選手の関係性、組織の構造性などに触れながら、具体的に解き明かされました。続くディスカッションでは、参加者から様々な質問が出され、さらに、どのように性暴力を防止すべきなのかという課題に対しても理解を深めることになりました。また、性的マイノリティとスポーツ、スポーツのビジネス化、指導者の資格制度などにも話題が広がり、充実したディスカッションとなりました。

山田ゆかり氏のご講演の様子(山田氏はオンラインでのご登壇でした)

第3回目の公開授業の予定は以下のとおりです。

第3回 7月1日(土)10:45-12:15 清末愛砂氏(室蘭工業大学大学院教授)
「ターリバーンの再支配下でいきるアフガン女性たち‒女性運動のいまと教育」

学内の方はPOSTにて詳細をご確認ください。公開は学内のみとしておりますが、講演にご興味がおありの方は現代社会学部事務室(TEL:075-705-1724)までお問い合わせください。

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