令和4年度 秋学期 公開授業&ワークショップ 実施報告

1. 法政策基礎リサーチ

1. 実施日時

  1. 公開授業:令和 4 年 12月 21日(水)13:00~16:30 5クラス合同
  2. ワークショップ:令和 4 年 12月 21日(水)以後
    メールや科目担当者打合せ等で意見交換を実施

2. 実施場所

12号館3階・4階の6つの教室にて分散開催

3. 科目名

法政策基礎リサーチ(担当教員:久保、芝田、焦、中井、朴)

4. 参加者数

  1. 公開授業:
    学生数 学生数 法政策基礎リサーチ受講1回生約100名
    SA約30名が参加
    教員 7名
  2. ワークショップ:クラスごとの教員・SAによる振り返りとメール等による共有

5. 内容

(1)公開授業について[授業の概要]

  • 「法政策基礎リサーチ」は、2015年度に開講された科目で、法政策学科における初年次教 育であり、2018年度からは法政策学科の初年次導入科目として選択必修に位置づけを変 更されている。2回生科目の「フィールドリサーチ」に向けての準備的側面を持つ。法政策学科の初年次導入科目としての重要性から、その検証および今後の方向性を検討することも兼ねて今年度も実施することとした。
  • この授業は同一シラバスで5クラス開講がなされている。
  • 半年間のトレーニング(「アクションリサーチI」久保担当)を積んだSAがチーム(5〜9人程度)となって、各クラスに入っていることが大きな特徴である。
  • 授業内容については担当教員間ですりあわせをしているほか(但し、個別の内容やグループワークの形態などはクラスの規模等によって変えている)、SAも教育内容や教材づくりに積極的に関与して展開している(「アクションリサーチII」久保・芝田・焦・中井・朴担当)。
  • 「法政策基礎リサーチ」では、受講生に政策学の基礎を学ばせながら、グループワークによる政策提言を2回もしくは3回行わせることで、企画立案能力や班内で相談してまとめ、発表するコミュニケーション能力を習得させることを目的としている。
  • 公開授業の12月21日の合同ポスターセッションでは、それぞれが5クラス混成として6つ教室に分かれてスライド発表形式で、ミニ発表と質疑応答を行った。3つのサイクル(1サイクルで3〜4班が発表)制として、サイクルの間には教室間を移動することで、3回の発表を行い、10班程度の発表を聞くようにした。開会式・閉会式などはオンラインで結んで放送形式で行った。

(2)ワークショップ[意見交換の内容等]

■合同発表会の形式について
  • 合同報告会の運営方法は大変良かったと思う。基本来年からもあれでよいと思った。
  • プリントアウトしたスライドをテープで貼ったりしなくてよいので、ポスターセッションと比べて準備や撤収がかなり楽だった。
  • ジャッジの際に全員が着席していたのでPCなどの端末操作がしやすく、進行がスムーズだった。
  • たくさんの小教室を使って全班を小分けにして分散させていたので発表の交代や教室移動に伴う混乱が抑えられ、進行がスムーズだった。例年になく最初の第1ターンからスムーズに進んだ。ただし、一教室あたりの人数が少なく、混乱はなくても淡々と進行していくので、ポスターセッションのような活気がなかった。
  • 質疑応答の活発さが教室によって随分と差があった。とくに第1ターンは質問が出にくかった。今回の方式で実施するなら、事前に質疑応答の訓練もしておいたほうがよい。
  • 前年までのポスター発表の場合は、発表側と聴衆側とに分かれるので少ない人数(場合によっては1人)で発表をしなければならないことがあり、一人一人の責任感が大きくなる機会であったが、今回は全員で発表だったのでフリーライドする学生の意識が変化しなかったのではないかという懸念がある。
  • 7分での強制終了を恐れてか、早めに終わらせて発表時間を使い切らない班が昨年よりも多かった。もったいない。ポスターセッションなら7分ジャストで打ち切られず融通がきく余地があるので、時間を使いきって発表しようとする班が増えると思う。

■合同発表会での発表内容について
  • 全体的に発表の水準は高くなっているが、1回生の評価と、教員からの評価では少しズレているところがある。
  • 極端なケースだと思うが、火曜3限クラス2班の発表に対しては、3ターン合計でたった1つしか質問が出なかった。おそらく受講生にとってもSAにとってもとっつきにくく難しい内容(カーボンニュートラルではなくカーボンリサイクルを推進する)だったからだと思う。クラス内発表でも評価されずに最下位だったが、担当教員からするとむしろ非常に評価できる取り組みで、いずれは専門性が高くて難しめの内容であっても多くの学生が理解できるようなところまでもっていきたい、という思いがある。3サイクル制をとっていて、最初の2つのサイクルでは身近でイメージしやすい問題を取り上げているのだから、最終サイクルではとっつきにくいテーマであってもぜひ挑戦してもらいたい。
  • どのクラスのどの班もジャッジシートを意識した構成になっていてその点に関してはあまり差がなかったと思うが、情報量(スライドの総数や、1枚あたりのスライドに書かれている内容)にはかなり差があった。全般的に高いレベルで競い合えるような次元に到達しつつある分、逆に内容が薄かったり作り込みが不十分なスライドが出てくるとそこが悪目立ちしているように感じた。班のメンバーで分担してスライドを作成しているのは良いが、統合したときにあまり調整を行っておらず統一感に欠けているものもあった。そのあたりはSAが積極的に介入・指導すべきところで、次年度以降の改善課題にしたい。
■この科目での政策立案のグループワークや授業構成について
  • 来年度は3サイクルを2サイクルにして、産大の困りごとは5回程度で、その上で2回程度かけてテーマの分析・選択をさせたうえで、(合同発表2回除く)残り6回でじっくり政策を詰めさせるのもありかなと思った。
  • もし可能なら来年度からは5WIHの表のうち重要なものを整理して、政策主体(国・自治体等の政策の主体)、政策目的(WHY)、政策対象・事業主体(Whom) 、政策内容(WHAT  規制・補助・認定/表彰・相談・教育・広告支援等)、要件等(How   補助対象費用・補助率・補助額上限、認定の基準等 )に分けてより政策の企画者・実施者として政策内容を具体的につめられるようにしたらよいと思った。
  • 前例を調べろと言いすぎたせいか、前例を鵜呑みにしてしまってそれと同じにやるという発表が多かった。自分たちの頭で政策内容の改善を考えさせる工夫が必要だと感じた。

■その他
  • ジャッジシートがかなりしっかりとしたものになっていると思う。これをフィールドリサーチの合同発表会でも活用することができないだろうか。
  • フィールドリサーチの受講生は、全員が法政策基礎リサーチを修了しているわけではないが(法律学科の学生もいるので)、ジャッジシートの共有(あるいはジャッジ項目についての解説動画)をすることはできるのではないか。
  • 1回生で身につけたことを2回生以降につなげていくことを、考えていくようにしたい。

2. 法教育演習Ⅰ

1. 実施日時

公開授業:令和4年11月30日(水) 12:30~14:00

2. 実施場所:

真理館210教室

3. 科目名

法教育演習Ⅰ・Ⅳ

4. 参加者数

公開授業:
法教育演習Ⅰ受講者(3限授業がある学生は13:00に退出)
法教育演習Ⅰ・Ⅳ担当教員4名、SSA2名、SA経験者6名、参観教員2名

5. 内容

(1)公開授業について[授業の概要]

  • 「法教育演習Ⅰ」は、「プレップセミナー」に配属されるSA(Student Assistant)を育成することを主な目的とした演習科目である。そのため、「プレップセミナー」について担当教員との協働の在り方、科目内容と受講生との関わり方などが当該科目の重要なテーマであり、あるべき「プレップセミナー」のかたちを考える課題解決型学習という側面を持つ。
    なお、上記参加者のところにある「SSA(Super Student Assistant)(旧AB,AS)」とは、「法教育演習Ⅳ」の受講生のことを指す。「法教育演習Ⅳ」とは、「プレップセミナー」のSA経験者が「法教育演習Ⅰ」のSAを務め、「法教育演習Ⅰ」の受講生の学修を支援し、授業運営を助ける演習科目であり、同様の課題解決型学習という側面を持つ。法教育演習Ⅰの公開授業は、実質的には法教育演習Ⅳの公開授業にもなっているといえる。
    これらの科目は法学部におけるユニークな(SA育成、課題解決型)授業であること、SA候補の受講生、SA経験者、そして法学部教員がより良い授業について考える機会となること等が本科目を公開授業に選定した理由である。
  • 「法教育演習Ⅰ」は2クラス設けられており、公開授業は両クラスの合同授業で実施された。授業内容については、法教育演習担当教員が相談に乗りながらSSA2名が協働して企画し、当日の運営もSSA、そして、SSAの呼びかけに賛同し駆け付けてくれたSA経験者達が行った。
    初めに、進行を務めるSSAとSA経験者が簡単な自己紹介をした後、途中退室せざるを得ない学生がいたことから、13:00を節目として、質問コーナーとアイスブレイクの2部構成で行われた。
  • 質問コーナーは、SSAが事前に募集した質問に回答する形で進められた。「1回生と話すときに心がけていることは何か?」、「SAになって一番困ったことは何か?」等、SAに関する質問だけでなく、大学生活に関する質問もなされた。前者について、SSA・SA経験者達は、「SAは先輩と学生との橋渡し役なので壁をつくらないよう心掛けていた。」、「1回生がSAにどう話しかけたらいいか悩んでいた感じがしたときにこちら側はどう対応したらいいか悩んだ。」など、自らの経験談を交えながら回答していた。
    質問者数が多かった「なぜSAになろうと思ったのか?」という質問に対しては、SSA・SA経験者全員が回答した。回答を紹介すると、以下の通りである。「SAは法学部独自の制度なのでSAになってみたかった。」、「プレップセミナーでのSAを見て、憧れたから」、「先生や先輩に背中を押してもらったから。」、「人間的にも成長できると思ったから。」、「コロナ禍で人と接点がなかった。同じ志を持っている人の中に入って成長したいと思った。」、「自分を成長させられる環境に入りたかった。」、「楽しそうだったから。」等である。興味深かったのは、SAに関心があるものの、SAとして務められるか不安に思っている法教育演習Ⅰの受講生に対する「エール」のような回答が多くみられた点である。例えば、「添削や人前で話すことは苦手だったが、人と関わることが好きなので挑戦してみた。結論として、SAになってよかったといえる。」や「SAになるか迷ったら飛び込んでみると良い。SAのヨコのつながりが相談に乗ってくれる。」、「SAは自分を成長させてくれたので、『挑戦したい』という気持ちがあったらやってみた方が良いと思う。」などである。
    また、ゼミに関する質問に対しても、「大学生活で何か一つ夢中になれることを見つけてほしい」という「エール」のような回答もなされ、法学部で学んできた先輩が後輩に対して有益になるアドバイスをしようとする姿勢が見られた。
  • 両クラスが一堂に会するのは初めてであること、SAは縦・横のつながりが大事であることから、後半はバースデーラインのような簡単なアイスブレイクでグループ分けをした後、SA経験者と受講生の少人数グループでのフリートークが行われた。
     少人数グループに分けたことで話しやすくなったことから、どのグループも和気藹々と話している様子が伺えた。法学部で学んできた先輩達の体験談を興味津々に聞いている姿、SAになってほしいとの思いから、前向きに法教育演習Ⅱの履修を検討してもらおうと親身になって答えているSSA・SA経験者達の姿が印象的であった。
  • 終了後、SSA・SA経験者達と教員間で簡単な意見交換を行った。企画・運営してみた感想を聞いたところ、前半は一方的に質問に対して回答するスタイルであったため、途中退席した受講生達とのコミュニケーションがあまり取れなかったことを反省していた。一方、後半では、少人数グループに分かれたことにより受講生達と活発なコミュニケーションが取れ、積極的に後輩が質問してくれたことを嬉しそうに話していた。
    各人の発言から、SAを体験して成長できたと実感していること、是非後輩にもSAとして活躍してほしいと思っていることが伺え、法教育演習が学生に資するものとなっていると言えるのではないだろうか。

3.その他研修会等

「スタッフセミナー」

  • 実施日時:2023年2月24日教授会終了後
  • 場所:真理館1階会議室+オンライン
  • 実施内容:進路・就職支援センターから担当者を招き、4年次生の就職状況の分析を中心に報  告を受けるとともに、授業改善に向けた示唆を得るための議論を行った。
  • 参加人数:32名(内職員3名)
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