平成29年度 秋学期 公開授業&ワークショップ 実施報告

1. 法政策基礎リサーチ

① 実施日時・場所・参加人数

公開授業

  • 平成29年12月8日(火)13:15~13:45 (中井 歩 教授)
    学生約40名 参観教職員3名
  • 平成29年12月21日(木)13:15~14:45(芝田 文男 教授)
    学生約35名 参観教職員0名
  • 平成29年12月21日(木)15 : 00~16:30 (焦 従勉 准教授)
    学生数約35名 参観教職員1名
  • 平成29年12月22日 (金)10 :45 ~12 : 15(久保 秀雄 准教授)
    学生約35名 参観教職員0名
  • 平成29年1月10日(水)13:15~16:20 4クラス合同
    学生数 法政策基礎リサーチ受講1回生約150名 法社会学B受講生約220名 ポスターの見学・質問役として参加 参観教職員7名

ワークショップ

平成29年1月10日(水)16:20~16:40
参加教職員5名

実施場所 雄飛館ラーニングコモンズ、情報教室、13号館各教室等
科目名 法政策基礎リサーチ
担当教員 中井 歩 教授(火曜3限)、芝田 文男 教授(木曜3限)、焦 従勉 准教授(木曜4限)、久保 秀雄 准教授(金曜2限)

②公開授業の概要

  • 「法政策基礎リサーチ」は、平成27年度からの新規開講科目で、法政策学科における初年次教育であり、平成30年度からは、法政策学科の初年次導入科目として選択必修に位置づけを変更される予定であり、2回生科目のフィールドリサーチに向けての準備的側面を持つ。法政策学科の初年次導入科目としての重要性から、その検証および今後の方向性を検討することも兼ねて今年度も実施することとした。
  • この授業は同一シラバスで4クラス開講がなされている。
  • 半年間のトレーニング(「アクションリサーチI」久保担当)を積んだSAがチーム(5〜9人)となって、各クラスに入っていることが大きな特徴である。
  • 授業内容については担当教員間ですりあわせをしているほか(但し、個別の内容やグループワークの形態などはクラスの規模などによって変えている)、SAも教育内容や教材づくりに積極的に関与して展開している(「アクションリサーチII」久保・芝田・焦・中井担当)。
  • 「法政策基礎リサーチ」では、受講生に政策学の基礎を学ばせながら、グループワークによる政策提言を3回行わせることで、企画立案能力や班内で相談してまとめ、発表するコミュニケーション能力を習得させることを目的としている。
  • 公開授業(12月分)は、各個人が課題と思われることや先行事例についての調査を持ち寄って、グループで行う提言の方向性について議論をするグループワークなどを行った。1月10日の合同ポスターセッションでは、4つのクラスが一堂に会して、ミニ発表と質疑応答を行った。

③ ワークショップでの意見交換内容

  • 12月実施授業では、楽しみながら意欲的に政策提言づくりに取り組んでいる様子に対して、好評価を得られた。またSAが質問に答えたり、班内の議論の活性化に取り組んでいる様子を評価する意見もあった。
  • 合同ポスターセッションの開催場所として、開放的なラーニングコモンズの方がよかったのではという意見があったが、昨年まで開催していたラーニングコモンズが一部食堂に転用され、150名以上(今回は法社会学Bがポスターの説明を聞き、質問する側として参加してくれたため、300名以上の参加となった)のポスターセッションの開催がラーニングコモンズでは不可能となり、13号館の3教室を借りて開催せざるを得なかった。ただ、机・椅子の整理等、発表する場所の動線スペースの確保については改善の余地がある。
  • グループ発表の精粗に差がある。下位層の底上げがどこまでできるのかが、引き続き今後の課題である。4クラスのうち2クラスはクラス内発表後、合同ポスターセッション前に1回授業を持ち、クラス内発表で受けた指摘を授業中に修正する機会があった。4クラスともにクラス内発表で受けた指摘を課外の課題として修正するように指導していたが、学生の課外での自主的取組みだけでなく、フィードバックによる内容改善の機会を授業内に行わせる授業編成に全体的にすべきかもしれない。
  • その他、moodleを使い発表の事前準備である課題への取組みを添削することで、発表準備の質を挙げているクラスもあったので、このような取組みを行うことで、班内での学生の取組みの熱意や質の水準を上げ、底上げを図る工夫も必要と思われる。
  • 合同ポスターセッションでは発表は活発にできていた。参加教員からも生き生きした発表を見て、ゼミでのPBLの取り入れを検討したいという意見等好意的評価が複数あった。班内で発表する側と他のクラスのポスターを見て質問する側に分けて、2時限の間で6~8回以上の発表の機会を与えたことが良かったと思う。この結果12月に行った各クラスのクラス内発表では一部のコミュニケーション能力の高い学生が主として発表していたのに対して、全員が曲りなりにも発表の経験をし、一定の自信を得たようだ。
  • 見に来た学生から質問する数が少なかったのでより関わりを積極的にする仕組みが必要ではないかという意見があった。法政策基礎リサーチの受講生である1回生については、質問することでシールを与え、その枚数を加点評価する仕組みを取り、ほとんどの学生が1回以上質問し、中には10数個質問シールをもらった者もいた。法社会学Bの受講生の多くが質問せず見ていたのかもしれない。ただ、法政策学科生の受講生については1回生の際受講していた者が多かったので、懐かしく感じ、一部質問もしてくれたようだった。
  • 自身の立論に執着し、反論に対する反応が弱いという意見があった。そのため議論が盛り上がらず、ご意見を拝聴しますといった受け身のグループがあるという指摘もあった。クラス内発表の際にも担当教員やSAから比較的厳しい意見・質問を出すとともに、質問を予想して立論・発表するように指導しており、それなりに対応している班もあったが、まだまだ改善の余地は多いと思われる。
  • 教員が「よく調べている」と評価していた班の発表が、受講生(1回生)からも多くの票を得ていた。評価基準を表にして、基礎知識でもその内容を取り上げたことで、政策基礎知識についても理解が進んでいると思われる。

2. 法教育演習Ⅰ

① 実施日時・場所・参加人数

公開授業

平成29年12月26日(火) 9:00~10:30
学生(受講者)21名、担当教員1名、F工房職員1名、
参観教職員1名

ワークショップ

平成29年12月26日(火)12:30~13:00
参加教職員2名
実施場所:公開授業:4号館3階4I演習室、ワークショップ:4号館2階会議室
科目名:法教育演習Ⅰ(火曜1限、担当教員:岡本 昌子 教授、中井 歩 教授)

②公開授業の概要

  • 「法教育演習Ⅰ」は「プレップセミナー」に配属されるSAを育成することを主な目的にした、演習科目である。そのため、プレップセミナーについて担当教員との協働の在り方、科目内容と受講生との関わり方などが当該科目の重要なテーマであり、あるべきプレップセミナーのかたちを考える課題解決型学習という側面を持つ。法学部におけるユニークな(SA育成、課題解決型の側面)授業であること、SA候補の受講生と法学部教員がより良い授業について考える機会となることが、本科目を公開授業に選定をした理由である。
  • この回のテーマは、「ファシリテーションとアイスブレイク」であった。具体的には、まず、①受講者がそれぞれ事前にアイスブレイク案を作成していることを前提に、②3~4人程度のグループごとに提案する企画案を選定し、③その中から実際に授業で実施するものを受講者が1つ選定する。そして、④その企画の提案者の司会により実際に選定された企画を受講者が実施する。企画終了後に、⑤企画を実施してみての感想や改善点等について全体で議論した。なお、授業の進行は「法教育演習Ⅲ」受講の指導役学生3名が行った。

③ワークショップでの意見交換内容

  • 公開授業で実施したアイスブレイクについては、受講学生の方が慣れている。公開授業の際に担当教員よりその実施対象や目的等についてより意識するよう指摘があった(公開授業では「参加学生が初対面」との設定であったが、曖昧になっている部分があった)が、受講者が実際にSAになるときには、しっかり考えていい提案をしてくれるであろう。むしろ教員の側がアイスブレイクの目的や内容についての知識を持っていないので、その共有を図るべきである。
  • 他方、SAの学生には教員に対して遠慮があるので、授業内容の趣旨を教員に対して説明させるのは荷が重いように感じる。あらかじめ教員に趣旨を理解していただく必要があるのではないか。また、SAの意義についても教員にまだ十分に理解されていない部分があるので(教員のアシスタントではなく、どちらかというと学生の側に近い立場である)、そのあたりの周知も必要であろう。
  • 学生が教員に遠慮する点のほか、学生間においても、下級生が上級生に対して遠慮している。例えば「2/3年次演習」においては、2年次で参加する学生は概して意欲的であるものの、3年次生よりも学力的にもその他の面においても上のレヴェルに立つことを避けようとしている(やってはいけないと感じている)面がある。
  • 学生の指導に際しては、教員が前面に出るよりも、学生がアドバイスする方が効果的である。また、SAについては今後100人/年くらい養成できれば、と考える。
  • なお、プレップセミナーに関しては担当教員の側に実施についての悩みや負担感があるので、同科目の意義を教員に周知することが必要である。他方、学生にとっても、プレップセミナーという科目がなぜ必要なのか、同科目履修の意義についてのアナウンスが重要であると思われる。

3. 活動の効果を高めるための今後の方策

  • 公開授業の対象がここ数年同じなので、より多くの授業を対象にする方が望ましいという意見があった。法学部内の実験的授業形態としての検証の意味から、ここ数年同じ授業としていたが、今後の対象については、FD委員会内でも議論していきたい。
  • 教員間での情報共有は重要であるので、公開授業やワークショップ等には多くの教員に来ていただきたい。そのために、できるだけ多くの教員が参加できる時間帯に開催することを検討して欲しいとの意見があった。特に1限は出席しにくい。法政策基礎リサーチの1月10日の合同ポスターセッションを水曜の午後としたのは、専門科目が開かれていない時間帯にしたことがある。公開授業と各教員のそれぞれの担当科目の時間帯が重なるのは、仕方がない面はあり、現在の方法では参加者を劇的に増やすことができない。その代わりに、教授会等で開催日時を告知し参加を促すとともに、プレップセミナーの担当者会議、フィールドリサーチ委員会などの、学部内の各種会議などの機会をとらえて、ワークショップでの議論を紹介するなどの形で、少しずつでも授業改善の試みを発信し、議論を重ねることが必要であると思われる。
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