令和5年度 学部授業・カリキュラム改善に向けた「中間報告書」

「学習成果実感調査」についての分析結果

今年度より「学習成果実感調査システム」が更新され、設問内容を簡潔な全学共通設問のみとし、回答の負担軽減を図るとともに、実施時期についても最終授業から定期試験期間終了までとすることで、回答率の向上を期待した。調査対象科目は全科目であるが、春学期は、そのうち1年次配当の「プレップセミナー」およびその他の「AL科目」を重点科目に指定し調査を行った。今年度の実施率は法学部全体で82.3%と昨年度よりわずかに減少した。実施はしたが、回答者が0であった場合は未実施となることも要因と考えられる。なお「プレップセミナー」では100%の実施率であった。アセスメント・プランの一環としての本調査の意義が各教員には浸透していると評価できるものの、学生にとっての回答インセンティブが課題である。今学期の回答率は、全体では前回の28.2%から28.4%と微増の結果であった。設問項目や実施時期の変更と回答率の相関関係は今回の結果からは明確には読み取れない。「プレップセミナー」では毎年回答率が高く、今年度は64.0%と昨年度の56.7%をさらに上回った。全体でも30%を超えるくらいまでは高めていく必要がある。

秋学期は、実施率・回答率ともに向上させたい。
調査を実施した全ての科目において、「授業の到達目標にどの程度到達したと感じているか」との設問に対して、「達成できた(80%以上)」が32%、「概ね達成できた(60%以上80%未満)」が59%であった。学生の自己評価は実際の成績評価よりも高めであるようにも思われるが、回答率を考えると、比較的出席率や真面目に授業に取り組んでいる学生が多く回答していることの表れかも知れない。科目の満足度については、(強くそう思う+そう思う)と回答した者が、「プレップセミナー」および(プレップセミナーを除く)「AL科目」の両方において、80%を超えており、法学部全体でも70%を超えている。

「この科目を通じて大学で学ぶ意欲が高まったか」との設問については、(強くそう思う+そう思う)と回答した者は70~80%で昨年度までの類似の設問と大きな変化は見られず高い水準が維持できている。
基本的に対面で実施する「プレップセミナー」や「AL科目」で学びの意欲、到達目標への達成感を感じる者が多いことは、法学部で近年おこなってきたActive Learning重視のカリキュラム改革が目的としてきた主体的な学習態度の形成が定着しつつあると評価できる。

1回あたりの準備学習が1時間を超えていると回答した者は、今年度は「AL科目」では昨年度並みの64%であったものの、全体で51%、「プレップセミナー」でも57%と昨年度よりわずかに減少した。シラバスで準備学習・事後学習を指示しているし、課題も出しているはずであるが、授業以外での学習時間が減少傾向にある。明確な原因は明らかではないが、今後も継続的に観測していく必要があろう。学習成果の可視化や単位の実質化を見据えて、授業時間以外の学習時間を適切に確保し、各科目の到達目標への到達度を学習者が実感できるよう適切な事前・事後課題を与えることも今後のFDの課題である。

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