経営学部 卒業生インタビュー
株式会社アンクシステムズ 代表取締役 金 明淑さん(1997年卒)

左から谷口 紗也香さん、富岡 勇登さん

金社長が立ち上げた株式会社アンクシステムズ(ANKH Systems)は、「デジタルメディア全般での受託開発制作」を事業とし、現在、"Webシステム・アプリ開発""制御系システム開発""デジタルコンテンツ制作"の3つの柱を主軸にしています。

私たちが会社を訪問した際に驚いたのは、受付がソフトバンク社のロボット「Pepper」であったことです。
Pepperの声に誘導されながら、胸部のタブレットで簡単な操作をすると、受付が完了します。このPepperの受付システムは自社開発されたものでした。

金社長が、京都産業大学経営学部を卒業し、どのような道をたどって起業するまでに至ったのかを中心に話を伺いました。

インタビュアー

経営学部 久保ゼミ:谷口 紗也香さん、富岡 勇登さん

株式会社アンクシステムズ 代表取締役
金 明淑さん(1997年卒)

出会いを大切に

"挑戦する"をモットーに、今でも挑戦し続けている金 明淑さん。
しかし、学生時代に起業することはまったく考えていなかったそうです。学生時代のことを金社長はこう語ってくれました。

「京都産業大学の強みである、全学部が1つのキャンパスに集まっている中で、いろいろなタイプの友人に恵まれ、有意義な大学生活を過ごしました。フォークソング愛好会に所属し、バンド活動に熱中していました。今でも、本当に大切な4年間だったと思っています。」

3年次の頃にリリースされた、Windows95に興味を持ち、コンピューターの道に進むことを決断。1997年に本学経営学部を卒業後、独立系SIerに入社。家電製品に組み込まれるワンチップマイコン向けソフトウェア開発をするエンジニアとしてソフトウェア開発の経験を積んだ。その会社では、上司、同僚ともいい関係を築け、人との出会いには恵まれていたという。
ただ、エンジニア経験を積んで行く中で、マネジメントをしてみたい、という目標が金さんに生まれたが、その会社でマネジメントを行う立場になるには、時間がかかりすぎると判断したため転職。
ITバブルのさなか、その転職先である、ロジスティック3Dシミュレーションパッケージの会社でも、様々な興味深い経験をし、その中で「何か自分にも始められることがあるのでは?」という思いが生まれ、起業を意識するようになった。
2003年、以前の勤務企業で知り合ったメンバーとアンクシステムズを立ち上げたが、すべてが順調だったわけではなかった。成長するための壁には山ほどぶつかったそうだ。起業してすぐの時代を金さんはこう回想する。

「ソフトウェアを作れれば、すぐにビジネスになると勘違いしていました。創業後、経営の知識が圧倒的に不足していることに気付き、慌てていろいろと学び始めた中、参加した法律セミナーで出会った、同じく独立直後の女性の税理士に、最初から委託したことが岐路となり、彼女から会計や経営面の知識を学ぶことが出来ました。」

「何の実績も無い私たちが、お客様の与信調査をする状況にもなく、話を下さった方と、安易にレベニューシェアのようなアライアンスを組んでしまい、たくさんのトラブルにも直面しました。」

「売れるサービスを作ると言うことと、品質高いシステムを作ると言うことは、同じではないということも痛感しました」

これらの経験から、自分のアイディアをサービスとして実現することよりも、まずは、「お客様の想いをIT分野でカタチにしていく」受託開発に絞ってビジネスを進めていくことにしたそう。起業から10年以上、継続出来ている成功要因として、出会いを大切にしていたこと、受託開発に絞ったこと、専門分野以外はプロに任せたことが大きな要因であったと話してくれ、金さんが持つ行動力が成功要因のひとつだとは感じました。


恐れずに、挑め!挑め!挑め!

前述したとおり、アンクシステムズは、デジタルメディアでの受託開発に絞ってビジネスを進めています。
「受託開発である以上、顧客からの注文に対して120%の満足度になりうる、提案をしたいと思っています。」
そのために、日々、技術面でも実験と検証を繰り返し、試行錯誤しているそうです。では、アンクシステムズでどんな製品やサービスをリリースされたのか、いくつか紹介します。
2014年4月にリリースされたSEIYUのコーポレートサイト。
更新頻度が高く、各地に分散した店舗情報の一括管理を可能にしたCMS(コンテンツ管理システム)を提供。
日本で生まれた「Ruby」と言う開発言語を利用しての、フルスクラッチ開発。
2012年にリリースした「みんなのしおり」。
1つの書籍に対して、インターネット上で様々な読者が、SNSなどを通して「しおり」を挟み込むと言うプロモーションサイト。
上位の広告代理店、大手制作会社とともに携わったこのプロジェクトは、国内外の複数のアワードを獲得し、ANKH Systemsもチームの一員として、トロフィーなどを頂けた「思い出深いプロジェクト」だそう。
「会社としての、将来的な目標は、お客様に選ばれる技術集団になりたいということです。お客様にとって、安心して仕事を任せられる会社という評価だけでなく、常にチャレンジしている会社として認められたいですし、そんな場所で働きたいと思ってくれる、未来の仲間たちにも選ばれたいです。個人としての目標は、いつかは、自分のアイディアをビジネスとして形にしたいと言うことで、ANKH Systemsを守りながら、既に並行して模索も始めています。」 一から作り上げた会社が軌道にのっても満足することなく、新しいことに挑戦し続けている。そういったチャレンジ精神やハングリー精神を金さんのお話からうかがい知ることができた。

学生へのメッセージ:まずはアクション起こしてみませんか?

学生へのメッセージとして、金さんはこう語ってくれました。

「周囲と“違ってしまう”ことや、失敗してしまうことを恐れず、まずはアクションを起こしてみることが大事だと思います。 立ち止まっている時間はもったいないと思っているんです。“こうすべき”と言う先入観に捕らわれすぎず、自分自身が納得出来る道を選ぶと自ずと道はつながり、そこから“自分らしさ”が生まれていきます。まずはアクションを起こして、たくさんの小さな経験をきちんと積んでいけば、必ず未来の結果につながります。」

「興味を持ったことに対して、“やるかやらないか”ではなく、“どうやるか”を考えることが大切。“理系だから”“文系だから”“大企業だから”“中小企業だから”というようなカテゴライズよりも、自分の直感を信じて、気になる会社を見つけ、その会社に“どうすれば受かるか”“自分のどういうところを活かせていけるか”を考えることが大切だと思います。」

とはいえ、むやみに何でも挑戦すればいいという訳ではなさそうだ。金さんは自分を“コンパス”に例えてこう締めくくってくれました。

「コンパスのように自分なりのぶれない軸を持つことが大事。自分なりの芯をしっかり持ちながら、いろんな事に挑戦していって欲しいですね。」

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