Catch Up WORLD
- 今、世界中の企業で戦略化され始めているダイバーシティ(多様性)という言葉。ダイバーシティ戦略の背景には、組織の活性化には多様性がきわめて重要だという考えがあります。人種、性別、年齢、思考などの多様性を認め合い、新しい活躍の場が創り出されることで、今後、企業のあり方や労働の仕組みは大きく変わっていくことが予想されます。その一環として女性活躍の声が広がりつつある日本社会では、これからの働く環境はどのように変化していくのでしょうか。
- 「女性の雇用」は、どのように推進されてきたのですか?
かつて日本は女性の労働力率は
トップクラスだったのに。
いつの間にかおいてきぼり状態の日本。
経済の発達した諸国の協議体であるOECD加盟国のなかで、1970年の日本の女性労働力率はフィンランドに次いで第2位でした。しかし今では、どちらかといえば女性の労働参加が低いとされる国の一つに数えられるように。日本でも1970年代以後働く女性の割合は少し増えていますが、他の国々の女性の労働参画が急増したため、いつの間にかおいてきぼり状態になっているのです。働く女性の割合が多い国々は、男女ともに仕事と家庭・個人生活がバランスよく担える仕組みを作ってきたため、少子化にも歯止めがかかっています。しかし、南欧や日本のような国々では、女性の労働力率と出生率ともに低い状態が目立っているのです。日本ではこの状態を問題視し、2016年に女性活躍推進法を制定。301人以上の従業員のいる企業・事業所は女性活躍に向けた行動計画を作ることが義務付けられました。
※OECDとは、Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構の略。先進国間の自由な意見交換・情報交換を通じて、経済成長や貿易自由化、途上国支援に貢献することを目的として活動している。
- 女性の雇用推進、最近の傾向は?
女性の採用企業は増加しています。
20世紀の末に日本の夫婦の働き方が、男性稼ぎ主モデルから夫婦共働きが主流の時代へと大きく変化しました。今や共働き夫婦が多数派です。近年では、CSR(企業の社会的責任)やSDGs(国連の持続可能な発展目標)などを視野に、女性の昇進を積極的に進める動きもあります。企業の社会的責任に敏感な企業は信用できるということで、投資家が優先的に投資をするようになっている背景もあります。
- 女性の働き方について、完全に定着したといえるのでしょうか?
もちろん、まだ課題はあります。
日本の企業の多くが女性を低賃金で雇用する非正規労働力として考えてきたため、女性の働き方が完全に整っているとは言えません。ただし、国際感覚に優れ、先見の明のある経営者は女性管理職の増加も含めてダイバーシティ戦略を実行しつつあります。こうした企業は、今後も大きく発展する可能性を秘めていると考えます。
- 学生が就職活動する際、
企業選びにおいて注意することはありますか?
企業サイトを通して
じっくりチェックしてください。
女性活躍推進法により301人以上の従業員のいる企業は、行動計画とともに女性の採用比率、男女の勤続年数差、労働時間、女性の管理職割合などを公表する義務が付せられています。まずは、これをチェックしてください。またワークライフ・バランスの状況やダイバーシティ推進といった具体的な計画内容などにも注目してください。もちろん、こうした女性が活躍できる企業の多くは、男性にとっても働きやすい職場だということも付け加えておきたいと思います。