就業力を育成する7つの取組(平成22年度策定:5ヵ年計画)

1)キャリア形成支援科目の受講生拡大

目的
  • 全学的な就業力育成に向けて、対象となる学生数を増やす
内容
  • 1年次対象科目を統合し、「初年次キャリア教育科目」として強化する
  • 2・3年次においては、各学年に適応した科目に改編し、クラス数を増やす
  • 一拠点総合大学のメリットを活かし、多様な学生の相互刺激を生み出す授業を展開
  • 教材・テキスト開発による授業内容の標準化

 キャリア形成支援科目の受講生数を拡大する「横」の展開である。そのために、既存科目を評価・点検し、統廃合を進め、「初年次キャリア教育」を強化するといった、受講学年に適した科目へリニューアルし、クラス数を増やしていく。学生に対しても、受講を促す機会を積極的に設けていく。

 大規模大学であるため少人数クラスの設置には限界があるが、150人程度のクラス規模であっても、アクティブラーニングを活用し、一拠点総合大学という多様な学生の相互刺激を生み出す授業を展開する。

 内容・構成については、キャリア形成支援教育を受講した上級学年学生とも協働し、学生の視点を取り入れて検討、開発を進めていく。複数クラスとなるため、内容の教材化・テキスト化をし、クラスによるバラつきが生じないよう標準化も図っていく。

受講生の拡大チャート

2)就業体験型の実践的科目群の新展開

就業体験型実践科目群の体系

就業体験型実践科目郡の体系

「スタートアップ・インターンシップ」【新規】

目的
  • 中堅・中小企業への関心を涵養し、大学と実社会との結びつきを早期から実感する
内容
  • 1年次、2年次を対象に、地域の中堅・中小企業で就業体験を行う

 大学での学びと実社会との結び付きを実感させるものである。主に地域の中堅・中小企業を中心とし、関心を涵養する。また、コーオプ教育は国際的には3ヶ月〜1年の長期就労体験が一般的である。本学でも、将来的には長期の就労体験プログラムを専門教育に位置づける方向で検討をしていく。

「企業人と学生のハイブリッド」【新規】

目的
  • 企業の若手社員と大学生とのハイブリッド(Hybrid:混成)による人材育成
  • 学生がリアルな仕事の流れを体感する
  • 若手社員はリーダーシップ等が身につくと同時に、仕事や自社に対するプライドを再認識する
  • 学生の就業力育成および若手社員の研修
内容
  • 2年次以上を対象に、地域の中堅・中小企業で企業実習を行う

 若手社員(主に地域の中堅・中小企業)と学生のハイブリッド(Hybrid:混成、雑種)による人材育成プログラム。学生はリアルな仕事の流れを体感でき、若手社員はリーダーシップ等が身につくと同時に、自らを振り返る機会ともなり、自分自身、自社へのプライドなどを再認識し、モチベーションアップへもつながる。学生の就業力育成と若手社員の研修という、企業・大学双方にメリットをもたらし、早期離職の抑制にもつながる。

「実践フィールドワーク」【発展】

目的
  • 就労体験に負担感・不安感を持つ学生に対する導入科目として発展させていく
内容
  • フィールドワーク先を地域の中堅・中小企業を中心に受入先を拡大し、受講生を増やす

 現在、フィールドワークを取り入れた科目として「キャリア・デザイン応用」「インターンシップ6」がある。今年度の受講生は、両科目を合わせて約45名ほどであるが、5年後には現在の3倍強にあたる約150名の受講体制を目指す。そのために、現在フィールドワーク先は3社程度であるが、地域の中堅・中小企業を中心に10社程度にまで増やす。就労体験にいきなり参加することに負担感を持っている学生に向けた導入科目として発展させる。

「就業力総合実習」【新規】

目的
  • 就職活動を経験した学生が、より実践的な就業力を獲得する
内容
  • キャリア形成支援科目を受講した主に4年次生が、連携する高等学校でのPBL型授業に参加、協力し、自らの経験を高校生に伝える

 就職活動を経て一回り成長した学生こそ、より実践的な就業力の獲得が可能になる。そこで、キャリア形成支援科目を受講した主に4年生が、高等学校で取り組まれているPBL型授業、本学のキャリア形成支援科目等に参加、協力し、自らの経験を後輩達の学習に活かしていく。

3)「PBL型」科目の洗練・拡大

目的
  • 実践的科目群を深化させ、就業力を高めていく体制を構築する
内容
  • 平成20年度・21年度の2年連続で経済産業省「体系的な社会人基礎力育成・評価システム開発・実証事業」に選定された、PBL型科目の充実・発展
  • これまでにPBL型科目で培ってきた「教育メソッド」を洗練させ、協働企業等の開拓および受講生の拡大を図る

 本プログラムは、平成20年度、21年度と2年連続で、経済産業省「体系的な社会人基礎力育成・評価システム開発・実証事業」に採択された本学のコーオプ教育を代表する教育プログラムである。学生のみならず、新入社員研修等でも応用されている。

 これまでの成果を蓄積した「教育メソッド」も確立し、教育効果は極めて高い。今後、メソッドをさらに洗練させるとともに、受講生を大幅に拡大していく。5年後には現在の6倍にあたる900人の受講体制を構築していく。

「PBL(Project-Based Learning)型科目」とは
問題や課題を解決するために、日頃学んだ知識を活用して調査・検証しながら取り組む実践型教育。主体的に学習していく教育プログラムとして注目されています。

4)「コーオプ・スタッフ」の育成

目的
  • コーオプ教育の推進ために、専門人材を養成する
内容
  • コーオプ・スタッフを募集・採用し、プログラムの運用・推進を進める

 コーオプ教育を推進するには、専門人材の養成が不可欠である。諸外国においては、コーオプ・スタッフという専門人材が一般的に存在し、プログラムを担当している。学生への支援(授業担当等)や企業等とのネットワーク開拓・強化等その業務は多岐にわたる。教員的及び職員的素養を兼ね備えつつも、その両者にはない素養も持った新しいタイプの専門人材である。本学にはすでに5名のコーオプ・スタッフが在籍しており、5年後には15名の専門スタッフを育成し、プログラムの運営・推進を担う。

コーオプ・スタッフとは
 諸外国では「コーオプ・スタッフ」という専門的人材(例えばアメリカのCoop Faculty)が一般的に存在し、学生への支援(授業担当など)や、企業等とのネットワーク開拓・強化など、多様な業務を担当しています。教員的および職員的素養とともに、両者にない素養を併せ持つ新しいタイプの専門的人材です。

5)ゼミ等を活性化、活用した就業力育成

目的
  • ゼミ等において、担当教員の専門分野と実践指向型教育を融合させ、就業力の育成につなげる
内容
  • 全ゼミ等の教育活動を把握する仕組みを整備
  • 事例や課題を蓄積、共有化し、教育活動に取り入れる
  • 「PBL型科目」での教育メソッドを活用し、研修等の実施をサポート
  • 全学的な普及・推進に向けて、成果を発表する「コーオプ教育グランプリin京産大(仮称)」を開催

 ゼミ等において、人文社会系・理工系でゼミ等の形態は異なるが、むしろその特性を生かしながら、実社会と連携した実践志向型教育と担当教員の専門分野とを融合させ、就業力の育成につなげる。担当教員が単独で取り組むことが困難な場合、上記3)「PBL型科目」での教育メソッドを活用し、研修も行い実施を可能とする。

 その成果を発表する機会として「コーオプ教育グランプリin京産大」(仮称)を開催し、多数のゼミ等からの参加を促し、全学的な普及、推進につなげていく。

6)全専任教員の参画体制の構築

目的
  • 学生の「社会的・職業的自立」に向けて全専任教員の参画体制を構築
内容
  • 「就業力育成FD」実施、「キャリア形成支援科目」の担当、「進路・就職ガイダンス」への
    ゼミ等の学生と同伴での出席、「就業体験プログラム」の企画・実施など

 「就業力育成FD」実施、「キャリア形成支援科目」担当、「進路・就職ガイダンス」へのゼミ等の学生と同伴での出席、「就業体験プログラム」の企画・実施等を通して、学生の「社会的・職業的自立」に向け全専任教員が参画する体制を構築していく。

7)「コーオプ教育推進ネットワーク」の展開

目的
  • 企業と大学が対等の立場で協働し、成功事例を積み上げながら、「日本型コーオプ教育モデル」の構築・普及を図る
内容
  • フォーラム開催実績を活かし、全国的組織を立ち上げる
  • 海外ネットワークを構築し、海外からコーオプ・スタッフやコーオプ学生を受け入れるとともに、先進的なノウハウを取り入れる

 企業と大学が対等の立場で協働し、成功事例を積み上げ、「日本型コーオプ教育モデル」を構築しつつ、その水平展開を図っていくことは、今後、極めて重要である。そのための全国的組織を立ち上げる。準備段階として、すでに昨年度2回、フォーラムを開催した実績がある。また、海外ともネットワークを構築し、海外のコーオプ・スタッフ、コーオプ学生の受け入れを行い、海外での先進的なノウハウを本学に取り込んでいく。

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